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ベルリン生活日記 打ち合わせ 作品売れた 友達とお茶

ドイツ、ベルリン2023年6月6日の日記
最高気温24°最低気温14°心地いい気温

朝、二度寝

最近は朝6時に目覚ましをかけて、そこからの二度寝を楽しんでいる。
二度寝とは「本当は起きたいのに、ついまた寝てしまう」という現象であり故意的に生まれるものではないという自分の見解がある、
なので6時に一度起きた後、再度目覚ましをかけてしまうとそれは二度寝にならない。
睡眠を延長しよう、何時までには起きよう、という意志と行動が生まれてしまうとそれは二度寝にはならない。

ああ、起きたいのになあ、このまま寝ちゃうといつまで寝てしまうかわからないな、
という気持ちの狭間で一歩一歩足を吸い寄せられるような霧につつまれた夢の世界と睡眠がとても心地がいい。

とはいえ寝すぎると体も頭もだるくなるので対策をとっている。

ベッドからまっすぐ腕を伸ばしてその先の手にスマホを持ち、
うつらうつら夢を見て完全に睡眠に入ってしまうと手の先からスマホが床の上のカーペットに落ちて、ゴトリ、と音が響いたら目覚めの合図だ。

これは人為的な目覚ましではない、
睡眠と現実をつなぐピタゴラスイッチなのだ。

スマホを床から拾って起き上がる、
昨日米を食べすぎたせいか顔が浮腫んでいる、もっと言えば一昨日の知人宅で食べた手作りピザもいまだに体に浮腫を及ぼしている。


昼前 パフォーマンス打ち合わせ



今日は11時から打ち合わせがあった、
7月15日に行われるパフォーマンスに出演するにあたって、三人のアーティストと主催者との四人で喋る。

私はビジュアルアーティストとして参加するが、他の出演者のサウンドアーティスト、
ダンサーと、企画者と、会場と、
一体どんなものを生み出せるだろうか、とても楽しみだ。

打ち合わせに必要なものは体と経験だけ、と言いたいところだが自分がやれることを伝えるために道具なども持っていく。

言葉の自信がない表れだなあ、と思うが、絵や染め物、視覚をメインとして表現するものの性かな、とも思う。


荷物を詰めていたら10:30になっていた、
歩いて向かうつもりだったが間に合いそうにない、
気持ちのいい気温だ、仕方ない、電動スクーターで向かうことにした。

道に停まっているスクーターとアプリを連携し、右手のつまみをひねると加速する。
早くもなく遅くもない速度で風を切る、木が茂り揺れている、いい朝だ、こういう時は必ずあいみょんの歌の歌い出しを歌う、

15分ほどで目的地に着いた。

小さい会場で1時間半ほど打ち合わせをする、

イベントのテーマや目的の企画書をその場で読む、英語のリーディングのテストみたいだ、と思いながらもあらかじめ話は聞いていたのでなんなく飲み込めた。

テーマについて話し合い、自分達がそれぞれやってきたことを織り交ぜて展開し、会場の使い方と3時間という時間軸を立体的に考える。

即興の要素が強いアート作品であるが、こうして4人と会場で磨かれた表現と自由と偶然性というものがパフォーマンス当日に観客を通して作品となる。

人と作品作りをするとき、
なんだか戦隊モノ、アベンジャーズ、セーラームーンのようなワクワクと楽しさがある。

それぞれでも強い、でもその個々が団結した時はもっと強い。
その団結の仕方はそれぞれである、一丸になろうとも、個々で好きにやろうとも、一人では作り出せないものがある。



結局持って行ったほとんどの道具は使うことなく、話し合いと会場の確認で話が膨らみ、次回は実際に道具や動きを通してリハーサルをしてみることとなった。

言葉を使った意思疎通はとても大切だし、その上で感覚や行為を通した意思疎通もとても大事である。
次回のリハーサルがとても楽しみだ。


昼過ぎ 世界一長い昼寝

昼過ぎ会場を後にし、私は北側に位置するプレンツラウアーベルグに向かった。

14時に予定があるが1時間ほど時間が余った、周辺の公園に赴き少し小高い丘でヨガをした。

子連れの親子がピクニックをしているのが見える、本を読んでいる人や話し込んでいる人もちらほらいる。

大きくポーズをとっていたら骨盤周りの血流が良くなった、そうだ、昼寝しよう、

地面の上で寝てしまったら熟睡しそうだったので、小さいベンチの上で横になった。

二度寝のスタイルでスマホを落とす仕掛けをして寝てもいいが、待ち合わせ時間までには起きたい。
目覚ましをセットし腹の上にスマホを置いて半分意識を手放した。

虫の羽音が近づいたら離れたりする、子供のはしゃぐ声がする、生ぬるい空気、血流が良く少し汗ばむ。

この時間を何時間でも過ごしていたい、もう15分くらい経ったかと時計を見たらまだ4分しか経っていなかった。
時間がゆっくり流れている、
そのまま目を閉じて世界一長い20分間をベンチで過ごした。

初夏の昼寝とはいいもんだ。

14時に会うと思っていた友人の予定は、2日後の予定を今日だと私が勝手に勘違いしていたことに気がついた。

まあいい、近くにある私の刺繍作品を扱ってくれている店に立ち寄る。


午後 作品を置いてる店へ立ち寄る

一階にある店舗はたまに鍵がかかっていて、オーナー二人は同じ建物内の住居でご飯を食べいていたりする。
店に不在の時はドアに電話番号の張り紙が貼り付けてけてある。

電話をかけて今店に立ち寄っている、と伝えたら今ちょうどランチを作っているところらしかった、下に降りるからと、オーナーの一人が建物の住宅スペースから出てきた。

いつ会っても綺麗に整えられたオールバックと口髭のオリバー、ハグをしたらいつもの香水の香りがふわりとした。

全くいつ会ってもイカしている男である。
対照に私はおそらく汗臭いだろう。

店の中に入り少し会話をする、ちょうどビーフラグーパスタを作っているところらしい。
ラグーって何?と聞いたらトマトソースとビーフを煮込んだものだという。


いくつか作品が売れたから請求書を送ってくれ、と嬉しい報告があった。

刺繍作品の巾着とパッチワーク、日本語の諺、バカと煙は高いところが好き、という言葉をもとにデザインした刺繍と、
温故知新という言葉の英語 " Learning from the past"に最後 a を付けると
パスタから学ぶという言葉に変身する、という言葉遊びの刺繍。

とてもありがたい、早速請求書とまた新作を作ろう。

週末何するのかの話と、私の個展の話をして店を出た。

お店はここ
Soul Objects 



そのあと道の向かいにある図書館に入り書類関係を整理する、

初めて入った図書館は一階スペースのみだったが細長く奥に続く作りで、人も少なく静かだった。

図書館の雰囲気が好きだ。

夕方 友達とお茶 カラスの脅威



1時間くらいしたら別の友達と待ち合わせのため、10分くらい歩いたところにある公園へ向かう。

公園の中を探してみると、
私と同様、青髪仲間の友人は一瞬で目に止まった。
青髪は便利だ。
以前私の自宅でお互いの髪をメンテナンスした頃はまだ肌寒かったものだ、唇を紫にして髪を青くしたことを思い出した。


コルヴィッツエリアを少し歩いてカフェに入り、コーヒーを飲みながら他愛のない話をした。

他愛のない話とは思い出せないようなものが多い、日本のカラスは賢くて怖いという話をしたのは覚えている。
あとは透けている生地はいいよね、とかそんなん。



それと彼女が以前、陶芸作品をマーケットで販売していた際、
私の刺繍作品のトレーナーを着たお客さんと出会ったという話を聞いた。

とても嬉しかった、
そのトレーナーを購入してくれた人もはっきり覚えている。

自分の作品が誰かの日常の中に溶け込んでいる。
とてつもない喜びだ。


夜 図書館 老眼爺さんの文字の代読

友人と散歩して主要駅まで戻り、別れる。
そのままフンボルト大学の横の図書館に向かい、また資料をまとめた。


おじいちゃんが声をかけてきた、老眼で読めない小さい文字を「ここなんて書いてある?」と指差してきた、
頑張ってドイツ語を声に出して読んだ、なんとか伝わったらしい。
1969年にデビューしたバンドの話だった。
私が声にして読むと、そんな昔にデビューしてたのか!と驚いて喜ぶ姿が可愛かった。

21時の閉館後、まだ空は明るく40分ほど歩いてクロイツベルグの家まで帰った。
帰ってからこの日記を書いた。


日常とは他愛なく、なんとなく流れて行ってしまうものだけど、確実にそこに存在し自分を作っている。

そんな2023年6月6日の日記。