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ぶらりウィーン旅行1日目(宿編) ヒュッテル村の男 夜の丘散策

夜行バスでベルリンからウィーンに移動し、日中は街をうろつきギャラリー巡りをした。


雨が止んだので街から離れ宿へと向かう。

Hütterdorf ヒュッテル村 へ向かう

今回、宿の予約で使用したのはairbnb、通称エアビー。普段booking.comをメインに使用しているのだが、今回ウィーンの自然を体験するという目的もあったため、ちょうど田舎のハイキングコースに位置する一軒家をエアビーで見つけ、その一室を予約した。

緑のU4ライン、西側の最終地点Hütteldorf(ヒュッテルドルフ)まで向かう。

dorfとは英語でvillage、ヒュッテル村という地名。どんな場所が待っているんだろうか。

45分ほどの鈍行電車で辿り着いたヒュッテル村駅は、地元の人たちが長らく使用しているような地元感が残る駅だった、UラインとSラインが交差していて割と大きく、ホームをつなぐ通路は古いタイルが張られている。

私の生まれ故郷、東京青梅市の駅を思い出す。同じように都心から中央線の電車に揺られ西の果てにある青梅駅。地元をぬるっと飛び出して11年、いろんな場所に行ったがこうしてウィーンに来ても都会から少し離れた田舎を訪れてしまうのは、青梅で生まれ育った影響なのかな、と思う。

ウィーンのヒュッテル村

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東京の青梅市

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国や文化が違くても通ずるものがある。

予約した家へ

駅から外に出ると小高い山が続くのが見える。バスに乗り、うねうねと坂を登りこれまた終点で降りる。そこから3本先にあるストリートを目指し坂を登る。リュックの荷物はあまり重くはないが、スーパーで買った食料とワインを入れたトートバッグが肩に食いこむ。

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後ろを振り返るとなだらかな斜面から景色が広がっていた、壮大な空となだらかな地形が見渡せる。私の住むベルリンはひたすら平地なので山から見る風景は久しぶりだ。

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別荘地というよりは地元の人が暮らしているようでたまに散歩中の人と犬とすれ違う。目的のストリートを曲がり家番号の33を目指して歩くと、植物の塀に囲まれた庭とこじんまりした家が出てきた。

シェアメイトの男の番号に、着いたから開けてくれと連絡する。

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ルームメイトの男

すぐに男と犬が家から出てきて庭の鍵を開けた、挨拶をして家に入る。玄関で靴を脱いでいると食料の入ったトートバッグを運ぶよ、とキッチンまで運ばれる。家の中はこじんまりして綺麗にされていた、木でできた階段があり、階段横のスペースにソファベッドが置かれている。彼はそこで長期滞在しているらしい。二階部分はオーナーが住んでいて明日スペインから帰ってくるという。

私が泊まる部屋はキッチンの奥に位置し、さらにその先にバスルームがある。予約時は立地が気に入り決めたため部屋はどんなでもいいやと大して確認していなかったが個室でベッドも広く綺麗だ。

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荷物を置いてから何か飲む?とインスタントコーヒーを入れてもらいシェアメイトの男と会話をする、英語はほぼ喋れないというので拙いドイツ語で会話をした。

30代半ばか後半の男は肌寒いのに半袖短パンを着ていた、シリア出身でオーストリアにきて6年、ウィーンで飯屋を開いたもののコロナの影響で閉めざるを得なくなり今は3ヶ月間街から離れここで生活しているらしい。

ベルリンでもレストランをやりくりしている人を何人か知っているが皆この状況に必死だ。知る限りベルリンの飲食店は回復の傾向にあるが、ロックダウンを乗り越えきれず畳まれてしまった店も多い。ウィーンは街の規模も小さいのでさらに厳しいのかもしれない。

移民として生きていくには苦労が多いが、その代わり移民のコミュニティも強くなる、今後は友人のつてで新しい仕事を探すらしい。

こうして現地のリアルな会話ができるのは一人旅や民泊のいいところだ。

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会話した限り明るくフレンドリーな男だが、どうにも距離感に違和感がある。

ニョッキの袋を開けようとハサミを探していると「危ないから僕が切る」と切ってくれた時に違和感が生じ、茹でるだけのニョッキを僕が作ろうか?と提案してくる。鍋も皿も全部用意しようとする。

コーヒーに砂糖は入れないと言ったら、だからそんなに痩せてるんだよと腹を軽く触ってくる。(ちなみにどう見ても男の方が痩せている)

明日のハイキングに備えこの周辺を散歩すると話すと「一緒に行こうか?」と提案される。

個人主義が強いヨーロッパではなかなか珍しく距離が近い。

自分のことは自分でやるし、わからないことがあったら聞く。1人で自然に向き合いたいと伝えるとごめんごめんと大人しくなった。

ドイツってみんなドライって有名でしょ、私はそれに慣れてるからそこまでしてくれなくていいよと付け加える。

国の差、彼の生まれ育った文化、性格、色々あるだろうが嫌なものは断っておかないと今日は男と2人、変な気を持たせたら一番面倒だ。

茹でたニョッキに瓶のソースをかけたものを食べ、1時間ほど仮眠をとった。

夜の丘散策

18時半、日没まで30分ほどあるので周辺を散歩してみる。夕方の雨のせいか霞かかった空がパステルカラーに染まっている、登り坂を登りながら振り返りつつ沈む夕日を眺めた。空気が冷たく吐く息が少し白い、太陽が消えると途端に暗くなり月がはっきりと姿を現す。

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切り株に座ってスーパーで買ってきたワインを少し飲む。

Gemischter Satz (ゲミシュター サッツ)、ウィーンで作られている混植混醸で作られた白ワイン。ベルリンでもなかなか見つけられないのでウィーンに来た時の楽しみの一つ。

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すっかり暗くなったので街灯が灯る道を歩いて家に帰る。

21時にはシャワーを浴びてすぐにベッドに潜った。シェアメイトの男がこんな早い時間に寝るの?と聞いてきたがうん。と答えた。移動と観光で疲れた体は横になるとすぐに眠りについた。

2日目の予定は午前はハイキングと展望台。午後に宮殿の庭を見て夕方には待望の緑爺さんの展示鑑賞。