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【お前はお姫様】
私の祖先は、戦国時代のドラマによっては登場することもあるサムライだ、主役ではないけれど。父だけがそう言うのであれば、父の妄想かもしれない。が、父方の親戚一同が口をそろえて同じことを言う。となれば、まんざら嘘ではないのか、それとも一族そろって同じ記憶を植え付けられてしまったのか。
代々伝わる家系図があり、銀行の貸金庫に預けていて、一族の長男が受け継ぎ、守っているという。「お前が中学生になったら見せてやる」と父は言った。私は中学生になり、私自身から言い出すことはなく、父から言い出すこともなく、父は死んだ。ホントのところ、事実はよくわからない。
「時代が時代なら、お前はお姫様だったんだぞ」
父は私に言い聞かせた。だが、時は昭和。太平洋戦争を知らない世代が増えつつあるベビーブームがやってきていた。「今は戦国時代じゃないし、私はお姫様じゃないし」心の中で反抗していた。
大人になって思う。父は「どんな時も、誇り高く生きろ」、そう言いたかったのかもしれない。クヨクヨ悩むことが多い人生だけど、自分の頭で考え、決断し、実行に移してきた。「あの時、もっとうまい方法があったかもしれない」、そう思うことはある。でも、これまでの人生を、1ミクロンも後悔したことはない。そういう意味では、父の教えは守れているだろう。
もし私が戦国時代に生まれていたら、馬を乗り回し、剣や弓矢の稽古をして、「私も戦(いくさ)に連れてゆけ!」とわがままを言う、相当な”じゃじゃ馬”だっただろう。だが、そっちの方が、現代社会よりも、ずっとワクワク、ノビノビ生きていたかもしれない。
追記:chitoseshizuokaさんの画像を使わせていただきました。ありがとうございました。
「人生経験の引き出し」がいっぱいあります。何か悩み解決のヒントになる話が提供できるかもしれません。