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マレーシアの観光体験から見る日本のインバウンドの可能性

こんにちは。Yuriです。
企業から業務委託を受けてコンテンツ制作をしています。

近年、世界各地からの旅行者が日本を訪れるインバウンド市場は、ますます拡大しています。しかし、その一方で、日本が本当に国際的な観光地としてのポテンシャルを最大限に引き出せているかどうかは、改めて考える必要があるかもしれません。先日、家族とともにマレーシアを訪れ、様々な観光地やサービスに触れる機会を得ました。この旅行を通じて感じたのは、マレーシアの観光業が持つ魅力と、日本の観光業が抱える課題、そしてこれからの可能性についてです。

マレーシアの観光地は、自然の美しさや文化の多様性を活かした工夫が随所に見られ、旅行者にとって満足度の高い体験を提供しています。日本にも素晴らしい自然や文化がありますが、その魅力をどのように引き出し、国際的に通用する観光地として磨き上げるかが、今後の課題だと感じます。本記事では、マレーシアの観光体験を通じて見えてきた日本のインバウンド市場の可能性について、具体的な視点から探っていきたいと思います。

自然の中での体験:五感を満たすマレーシアの自然観光

マレーシア旅行でまず印象に残ったのは、その自然の豊かさと、それを最大限に活用した観光体験です。ボルネオ島の熱帯雨林やランカウイ島の美しいビーチなど、マレーシアは多様な自然環境を誇ります。特に、これらの自然を生かしたアクティビティやツアーは、旅行者にとって非常に魅力的です。

例えば、熱帯雨林のジャングルの中でのトレッキングや川下りのアドベンチャーは、単に景色を楽しむだけでなく、ガイドの説明を通じてその地域の生態系や文化的な背景を学べるという価値を持っています。これらの体験は、単なる「見る観光」ではなく、「感じる観光」へと昇華されており、五感を通じて深い満足感を得られるのが特徴です。

私たちはボルネオ島でリバークルーズを体験しました。熱帯雨林の中、野生のテングザルを探したり、夜は蛍を鑑賞したりと、ボルネオの自然ならではの体験をすることができました。特に蛍鑑賞は、その場にいた人でないと感じられない幻想的な風景。まるでクリスマスツリーのように木に群がる蛍の光に子ども達も大人も感激でした。


また自然を体感するだけではなく、ボルネオの生態系や自然保護への取り組みについても学ぶことができて、非常に興味深いツアーでした。

一方、日本にも豊かな自然が広がっていますが、その魅力を引き出すための観光プログラムは、まだまだ洗練が必要です。例えば、日本の美しい山々や海岸線を活かしたエコツーリズムの発展には、大きな可能性が秘められています。単なる自然鑑賞に留まらず、地域の文化や歴史を交えた体験型プログラムを充実させることで、より多くの旅行者に日本の自然の魅力を深く感じてもらうことができるでしょう。

ツアーガイドの品質の高さ:深い知識とスキル

マレーシアでの観光体験を支えるもう一つの要素は、ツアーガイドの品質の高さです。現地で体験したツアーガイドは、ただ道案内をするだけでなく、その地域の歴史や文化、自然について深い知識を持ち、興味深いエピソードを交えながら説明してくれました。

私たちが参加したボルネオのリバークルーズのガイドさんは、素人ではとても探せないテングザルやワニの赤ちゃんまで、ボルネオに生息する生物を間近に見せるための知識とスキルを持ち合わせています。動物をびっくりさせないような配慮もすばらしかったです。

日本でも優れたツアーガイドが多くいると思いますが、インバウンド市場においては、さらに多言語対応や文化的理解を深めたガイドの育成が求められると思います。特に、地域ごとのユニークな魅力を外国人旅行者に伝えるためには、その地域のバックグラウンドを熟知したガイドが重要です。マレーシアのガイドが持つような、深い知識を備えたガイドを増やすことで、日本の観光体験の質を大きく向上させることができるように感じます。

おもてなし(ホスピタリティ)

マレーシアの旅を通じで感じたのは、ホスピタリティ(いわゆる「おもてなし」)の概念が、根本的に日本とマレーシアでは異なるのではという点です。

日本で「おもてなし」というと、相手に対する無償のサービス精神と、細やかな気配りが根底にあると言われます。「おもてなし」の精神は、相手が何を望んでいるかを先回りして察し、その期待を超える形で応えることを重視します。日本のホスピタリティは、相手に負担を感じさせないように、さりげなく提供されることが多いです。このため、静かな礼儀正しさや謙虚さが表れることが一般的です。

一方、マレーシアで感じた「おもてなし」は、もう少し欧米寄りでした。マレーシアの「おもてなし」はあくまでも「サービス業」の一環として位置づけられ、常にプロフェッショナルな対応でした。日本の「おもてなし」との一番大きな違いは顧客との相互コミュニケーションを大切にする点です。先回りして察して期待に応えるのではなく、そこには必ず言葉での明確なやりとりがあり、そのうえで顧客のニーズやリクレストに柔軟に応えるプロフェッショナリズムを感じます。

例えばですが、ボルネオのリバークルーズツアーの日は、私たちはホテルを移動する日でした。前日に「ホテルを移動したいから、スーツケースを携行したいのと、drop offのホテルをpick upとは別のホテルでお願いできないか」「30分ほど追加で運転してもらわないといけないんだけど」とツアー会社へ相談したところ「できます」「●●リンギットでどう?」「ツアーガイドに●●リンギットを支払ってね」と、とても良心的に柔軟に対応してくださいました。(このやりとりはWhatsAppでテキストメッセージのやりとりで行われました。このように旅の間はWhatsApp大活躍でした。)
ツアー当日はガイドさんは追加のドライブをとても快く対応してくれて「とてもいいホテルを選んだね」「ガーデンビューにしたの?それともオーシャンビュー?」「楽しんでね」など、気さくに声をかけてくれます。夜遅いこともあり、静かに快適なドライブを提供してくれました。プロフェッショナルです。

また、私たちが参加したリバークルーズは英語を話すガイドさんのツアーで、オーストラリア、ヨーロッパなどからの観光客が参加していました。ガイドさんは欧米人を楽しませるためのジョークを飛ばしたり、あるいは唯一の日本人であった私たちにはガイドが個別に話しかけてくれて「日本の蛍はもっと大きいんだと聞いたよ」など、日本のトピックに触れながら会話してくれたりしました。また、車いすのシニア女性が1人参加していたのですが、安全にリバークルーズを楽しめるよう必要なタイミングで会話しながら配慮していました。声をかけずに勝手に車いすサービスを提供するのではなく、必ずそこにはコミュニケーションが介在し、各顧客に対して個別対応をしている点が印象的でした。

日本流、マレーシア風、どちらのおもてなしが正解か、ということではなく、欧米やアジアのおもてなしのスタイルと日本のおもてなしのスタイルには乖離があることを知っておくことが重要だと思います。


日本のインバウンド事業に関わっていきたいと思っている私としては、学びや気づきが多いマレーシア旅行でした。インバウンド向け体験コンテンツを開発してみたいという意欲が湧きました。

最後までお読みいただきありがとうございました。


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