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短編集

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ネットではあかんって・・・やけど、続けることにしたの。 ジャンルしたら、おそらく純文学系やとおもうけど、 少し表現和らげて、よりアクセスしやすくしてる(・・つもり)
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『半熟卵』 (500字ショート)

半熟卵料理人 ザス伯爵「この間の半熟卵というものをつくってくれたまえ。」 料理人「は、はい、かしこまりました。」 料理人は怯え切っていた。 ザス伯爵「失敗するなよ。したら、こっぴどく懲らしめてやるからな。」 料理人「は、はい!伯爵様。」 料理人はなべに水をいれて火をつけた。と、そこにドアノブの音が天井の高い屋敷に響いた。しばらくして使用人が顔を出した。 使用人「伯爵様。学者ガラバ様がお見えです。」 ザス伯爵「おぉ、とおせ、とおせ。こちらにとおせ。」 学者ガラバ「これはこれ

ショート1400字『夕顔』草稿案

花の妖精たちが集まっていました。ひまわり、チューリップ、それからスイレンたち。 きれいで、 あいらしい。 ある妖精は軽やかで、ある妖精はしとやかで、ある妖精のほほ笑みは天女のよう。 「おや?ユウガオさんがおりませんわ。」 朝顔が言いました。 「まだ咲かぬユウガオさんから書面をあづかっています。」 「書面?」 「えぇ、書面。」 辺りがざわつきました。 「えっほん。わたくしが読み上げます。」 女郎花が朗読をはじめました。 「『みなさま、 本日は出席とならず、残念の至りです。

『やさしさってなに?』あなたは優しい?どんな風に?

<『京都の心恵』のブログ> 優しい人、『優しい』って何でしょうか? にんべんを抜けば憂いとなるのですから、なんとも意味深いようにも思えるのです。  人が傷つくのを喜ぶサディストはやさしくはないでしょう。 さて、 「あなたはやさしい人ですか?」 そう問えば、心中ほとんどの人がはい、と答えるのではないでしょうか、たとえ、サディスト傾向の高い人でもです。 鬱病の方々は別として、 自分は平均以上と信じているという”平均以上バイアス”があるといいますが、多くの人が自分は優しい人間

『2157年の僕とわたし」3分で結末よ~(3月8日女性デーネタ)1000字ショートショート

「『神様、わたし、来世はもう恋愛懲り懲りです!』 って、君、願ったよな。」 「確かに。だ、だから、こうなったの?」 わたしは膨らんだおっパイと、下半身を見た。トホホ。 「それに、前世では鬱、鬱、鬱で悩んだ時期があったでしょう。だからね、今回はセロトニン優等生だよ。ビタミンDも見事に豊富。これでメンタル安定だよ。おめでとう。とは言ってもセロトニンについて言えば純系ではなくヘテロ型ね、辛うじて1つ、セロトニン受容体多め遺伝子プレゼント🧬まぁ、前世そこそこ頑張ったじゃない?!4次元

『天国と地獄』vol.1

1⃣僕は個人輸入とメルカリで副業をしながらフリーで挿絵をかいている。まだ本業一本では生活できないが、大きな不安に襲われずに済むのは副業の個人輸入とメルカリが期待以上にうまくいっているからではないかと考えている。収入の柱を複数もつことがスタンダードになりつつある時代に僕らはいる。  おやじは僕を33歳のときに生んだ。おやじは僕に耳にたこが内耳から侵入し、肺にまで届きそうなほど繰り返し繰り返し言う。 「絵でなんぞ食っていけないぞ。うまいやつらなんて、五万といるからな。いい歳。どこ

不思議なお話集【ミロワール線形非対称】 1⃣亜希菜の記録

1⃣今朝私、亜希菜はまだ夜が明けきらないうちに起床した。東雲の頃街は辺りは薄暗い。星もきっと西の空にはまだあるだろう。暗がりで読む時計が伝える時刻は七つ寅、つまり午前4時、とおに10代はすぎ、無邪気さや未来への過剰なほどの期待も現実世界との折衷を果たしているものの、明け方に目が覚めるのはうん十年は先のはずだ。話題ときたらもっぱら健康ばなし、平安の頃ならばご来光が訪れるのを読経しながら熱心に願うような歳の人のように、こんな明け方に起きるようになったのは昨日今日のことではなく、実

小説【はずき】33の手紙『恋愛そのものはそもそも異常説』

6⃣恋愛依存症なるものの前に、恋愛そのものが異常説? わたしは、どこがどう恋愛依存症? そもそも恋愛依存症とは? 彼を大切に思っていることと、何が違うの? 依存症、と名まえがつくように、それは治癒の対象となって完治をめざすべき症状ということなんだろう。 異常があるから、正常になりましょう、って。 そもそも、恋愛は、すべて 人にとって異常事態じゃない? 人を好きになると地球きってのIQを誇る生命体であるはずの人類もチンパンジーと変わらない判断能力となるという。これは、積極的な

HAZUKI結ぶ恋『33の手紙』①~⑧

<プロローグ:自立した恋愛を楽しみたいすべての女子へ><女心を知りたい男子へ> 恋愛依存症って一体何なのでしょうか?”症”なんてつくから、あまりよくないことなのでしょう。しかし、病名として治療方法が確立されているわけですし、これといって明確な定義があるわけでもありません。 そして、現代人に完璧主義が増えていると言われるように、自覚しないままに”恋愛依存症”傾向にある人が実は多いと聞きます。 主人公のはずきちゃんは、恋愛依存症です。大人の恋愛へと成長していくはずきちゃんを

HAZUKI結ぶ恋『33通の手紙』<まさかということが起こる>

3⃣第二日目、まさかということは本当に起こる。次の日、早起きをしたわたしは、コロナ禍で勉強をはじめた神社検定のテキストを眺めようと、会社の近くの珈琲店に行った。すると、目の前で並んでいた人が彼だった。嘘でしょう、ということはこうして起こった。もしかしたら、同じ時間帯にこの店にいたこともあったかもしれないし、すぐお向かいに座っていたり、こうして目の前にいたこともあったのかもしれず、そのときはただ病院の待合室の人のように、電車で居合わせた人のように、環境の中にとけこむ人としての認

HAZUKI結ぶ恋『33通の手紙』<不安症なはずき>&<はずきと彼はこうして出会った>

<あらすじ>主人公のはずきちゃんは、恋愛依存体質ですが、本人はどこがどう依存体質なのか釈然としません。ある日、ハイソなレストランで大好きな彼に婚約指輪の代わりに3冊の本を渡され、彼はというとドイツへと留学に行ってしまいました。取り残されたはずきは、自らの恋愛を振り返りつつ、大人の女、大人の恋愛達人へと変容しようと強く心に誓ったのです。 「お互いが至福度も才も最高境地を超えるぐらいのパートナーシップを築ける女になる」 と。(↓前回からどうぞ~。) *** 2⃣<不安症なは

HAZUKI結ぶ恋『33通の手紙』<プロローグ>せつないプレゼント

<自立した恋愛を楽しみたいすべての女子へ> 恋愛依存症って一体何なのでしょうか?”症”なんてつくから、あまりよくないことなのでしょう。しかし、病名として治療方法が確立されているわけですし、これといって明確な定義があるわけでもありません。 そして、現代人に完璧主義が増えていると言われるように、自覚しないままに”恋愛依存症”傾向にある人が実は多いと聞きます。 主人公のはずきちゃんは、恋愛依存症です。大人の恋愛へと成長していくはずきちゃんを見守ってあげてくださ~い。 また、

『出立』

たまには、大人のリアルなシンデレラストーリーはいがかでしょうか?秋の夜長のおともになれば幸いです📚(2万字短編) **************************************************************************** 1⃣避暑地コモ湖 わたしは、ひょんなことからこんな高級リゾート地のオープンテラスレストランで優雅に香り高い紅茶をいただいている。 ここは地球上の湖水地方で最も美しいといわれている避暑地のひとつ、コモ湖。湖とい

【天国と地獄:餓鬼道編】(草稿)

1⃣僕は、メルカリで副業中しながらフリーで挿絵をかいている。まだ、本業一本では生活できないが、副業のメルカリは、意外と上手くいっていた。収入の柱を複数もつことがスタンダードになりつつある時代に僕らはいる。  おやじは僕を33のときに生んだ。おやじは、僕に耳にたこが内耳にまで届きそうなほど繰り返し言う。 「絵で食っていけないなら、どこか安定したところに就職するんだぞ。」 親父の言うことは、33年分じゃない、100年古い。だけど、親父にもう反抗したりはしない。以前はしていたけどね