見出し画像

【食材宅配】都会の中心で自炊するための食材調達【cookpad mart】

一人分の料理のテイクアウトを始めた飲食店が増え、UberEatsをはじめとしたデリバリーサービスも充実し、「出来上がった料理を届けてもらう」ことがより容易で自由度が高くなりました。一方、自炊にこだわる消費者へのサービスはそれほど選択肢が増えていません。今回は、新興食材宅配サービスの一つであるcookpad mart(運営会社:クックパッド株式会社)の利用についてまとめます。短期間の網羅性のない調査ですので、あくまで個人の感想としてご覧ください。


食材宅配レジェンドの憂鬱

食材宅配のレジェンドといえば、オイシックス・ラ・大地株式会社ではないでしょうか。それぞれ別会社だったオイシックス、らでぃっしゅぼーや、大地がオイシックスを主導に一つの会社になり、それぞれのブランド商品を宅配しています。オイシックス・ラ・大地の良さは、高品質でエシカルなブランドイメージ。商品も、米国ビーガン食材キットを提供するpurple carrot等、エシカルで品質の高いものを選択したい消費者、アレルギー等食事に高い配慮が必要な家族がいる消費者、環境問題などに強い関心のある消費者を取り込めるような商品やブランドを揃えています。

栄養バランスのとれた食事を生ゴミを極力出さない形で作っていきたいと考え、スーパーなどでオイシックスのミールキットを買うことまではしていましたが、今回はpurple carrot目当てにオイシックスの宅配利用を開始。

配達日は変更可能で、毎回一週間ほど前の注文締切日までに注文内容を確定させる必要があります。専用の配達員ではなく、運送会社の方がクール便などで配達します。商品は、環境や生産者の事業継続に関心があり舌も肥えた消費者向けのラインナップで、高めの価格設定も納得がいくものでした。常備したい食材(牛乳、卵、ヨーグルト等)については「牛乳とか飲み放題」というサブスクサービスがあり、品質と購入のしやすさの点から非常に満足しました。

サービス継続に至らなかった理由は下記の通り。

・毎回締切日までに注文を組み直すのが面倒(リマインドに追い立てられる、デフォルトで膨大な量の商品が自動的に選択されており解除が手間)
・一人暮らしの分量と送料とのバランスを取るための商品選択が面倒(一定程度注文しないと送料がかかる)
・配達日は必ず家にいないといけない
・キット系の消費期限の早さ(2人以上用なので作りすぎて太る)
・キット系のプラごみの多さ
・想定していたよりも商品選択肢が少ない

キットがあるという理由で5年ほど前にヨシケイを、エシカル食材配達という理由で今年に入ってから東都生協を利用しましたが、いずれも上述のようなメリット・デメリットがあり、最終的に継続に至りませんでした。「品質の良いエシカル食材を決まった時間に必ず家にいる家族メンバーが一人以上いる2人以上の世帯向けに自宅配達するサービス」を主体としている事が理解できました。


「都会×一人分×自炊」の最適解

最寄駅にcookpad martの冷蔵庫が設置してあり、サービスを試してみる事にしました。特に分析して選択したサービスではありませんでしたが、下記の「都会×一人分×自炊」の最適解に近いサービスである事がわかりました。

・商品の受け取りは能動的にできる=送料かからない
・一人用のポーションが選択可能
・思い立った時に注文できる 
・献立の自由度と一人用ポーションが両立している=程よい量の詰め合わせ

サービス内容はいたってシンプルで、「専用アプリをダウンロード→住所や決済方法などを登録→アプリで商品選択・注文・決済→最短で翌々日には指定場所に出向いて受け取り(受け取り損ねても約1日専用冷蔵庫で保管可能)」の流れで完了します。冷蔵庫の中身は他の利用者の商品と一緒になっている事があり、取り違えや盗難のリスクも懸念されますが、少なくともアプリで受け取り状況を報告するようになっているため、なんらかのフォローアップはあるようです。

上記の最適解を実現できる背景には、サービスサイトにもある「生産者から市場から直接お届け」があるようです。出品者は市場に店を構える卸売りの店舗、農家、受け取り場所の周辺の地域の専門店などで、運送会社を介さないため送料なし、個別宅送ではないので一品からでも発注、が実現できているようです。掲載されていた野菜のおまかせセットが一人暮らしの一週間分に最適で、見た事のない野菜の使い方を検索して自炊を楽しむ事もできます。提供商品を通じて出品店舗自体に興味を持つ体験が多く、当該サービスを通じて出品店舗と「出会った」ような感覚になります。


まとめ

一人用の自炊をするためにはアクセス可能圏内で最適ポーションの食材調達をする必要があります。商店街があれば実現するものの、商店街が成立しない都会の真ん中には商店街はそうそうありません。都会の中に生き残る専門店と消費者がサービスを通じて歩み寄る事で、バーチャル商店街を都会の中に作り出す事が可能になりました。サービスでの出会いを経て各店舗に出向いてみようという気持ちが起こるのが、アプリベースのサービスの先にある人間性の再発見のようで面白いです。






少しでも共有できる思いがあったのであれば嬉しいです。 電気を届けるしごとに思いをはせる「白金プラチナ電設」もご贔屓に。