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500字以内のショートショートに応募した末路。

最近なんだか現実世界が慌ただしくて、こっちの世界の更新が疎かになってしまっていたことを反省。反省がてらに、応募していたショートショートの結果が先日発表されたので、ここに公開。

「超ショートコンテスト」指定の4テーマに沿って500字以内のショートショートを募集していたもの。審査員はやっぱりあのショートショート作家ですよ。

募集テーマは「ライオンの像」「そうめん」「老人ホーム」

私が選んだのは「ライオンの像」。応募した作品はこちら。私的落選文学展への掲載決定です。

それぞれの立ち位置

――最近仕事はどうです?
――観光客が減っちゃってね。寂しいよ。
――そちらは観光客がいてこそですものね。私のところは何であれ人が来なくなるということはないですが。
――やっぱり百貨店は強いよね。
――でも私は座っているだけなので、あなたが羨ましいです。私も、働いた、という実感が欲しい……
――いやいや。自分、水吐いてるだけだし。
――いいじゃないですか。それを撮影しようと、たくさんの国から人が集まるんですから。私なんて……
――何言ってるんだよ。そっちは歴史ある百貨店の顔として堂々と座っているんだから。かっこよくて憧れるよ。
――国の顔として活躍しているあなたに言われても……
――いや、俺なんて下半身、魚だし……あっ、ちょっと交信止めるね。客だ。
「もっと右。そこで止まって。口開けて。はい、撮るね」
 彼女がスマホで撮った写真を見せてもらう。口を開けた横顔が大写しで画面に収まり、口からは、背景の像から吐き出される噴水の水が出ているように見えた。
「やっぱシンガポール来たらこの写真撮らなきゃだよな」
「SNSアップしよ。マーライオンと私、みたいな。あ、でもライオン写ってないや」

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