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こんなに違う!外資系テック企業と純ジャパ企業の組織文化_トーキョー奮闘自営生活

産休を機に1年半勤務した外資系テック企業を卒業しました。フリーランスなので業務支援という形だったものの、週5日常駐だったのでほぼ社員さんと変わらずに働いてました。
もともは純ジャパ企業で13年間働き、パリ節約自炊生活を経て久々の勤務が外資系テック企業。最初はあまりの組織文化の違いに驚くことばかりでした。
外資系テック企業も純ジャパ企業もサンプル少ないので全ての会社に当てはまらないかもしれませんが、1年半で気付いた組織文化の違いをまとめてみたいと思います。

全員ファーストネームで超効率的

外資系テック企業は、全員ファーストネームで呼び合います。どんなに偉い人でも「Hi XX, How are you doing?」とカジュアルに話しかける様子を見て最初は驚きました。
一方、13年働いた純ジャパ企業は「苗字+さん」、昨年一時期業務支援していた純ジャパ企業は「苗字+肩書き」で私の上長は「課長代理」でした。
言わずもがなですが、上司や同僚の名前は仕事上の最頻出単語です。例えば「桜井翔さん」が上司だった場合、

桜井課長代理(10音)
桜井さん(6音)
Syo(2音)

とこれだけ音数が変わってきます。お互い短く呼び合うだけ、1日、1ヶ月、1年の時間に換算するとかなりの違いになるのは一目瞭然です。

また、全員ファーストネームなので、純ジャパ企業と比べて関係性はフラットになります。ただし勘違いしていただきたくないのは、外資系テック企業でも上司には敬語(に相当する丁寧な英語表現)を使うし、純ジャパ企業以上に空気読んだり根回ししたり、当たり前に皆さんやっています。ただし、それらが仕事を円滑化し、パフォーマンスを向上させる場合には。仕事を一歩離れた時にはフラットな雰囲気で話し合うことができる、チームとして良い関係性を築けるのは、やはりファーストネーム効果は大きいと思います。

大胆な事業再編とプロフェッショナル人材

外資系テック企業は事業の新陳代謝が激しく、私が関わった1年半の間にも大規模な事業リストラが数回ありました。リストラに伴い何が起きるかというと、所属している事業や自分のポジションがある日突然無くなるのです。そして「ポジションが無いからあなたのhead accountは来月からありません、さようなら」となります。パフォーマンスが低いから、能力的に問題があるからという理由なら理解できますが、ポジションなくなるという理由での解雇は、総合職として純ジャパ企業で育った私には衝撃でした。純ジャパ企業でも事業再編はありますが、社員の雇用は守られ、別部署に異動になるのが当たり前だと思っていたからです。

もちろん突然解雇と言われてもみんな困るわけですが、私が働いていた外資系テック企業は新卒一括採用が無く全員キャリア採用、よって全員自分の専門分野で経験を積んだプロフェッショナル人材でした。このプロフェッショナル人材は、転職する時も自分の専門分野の職種で転職していきます。

数ある外資系テック企業の中で、今その事業や能力をリストラする会社もあれば、一方で拡大基調で喉から手が出るほど欲しい企業もあり、こうして高回転で外資系テック業界の中で人材が入れ替わっていきます。よって、必要とする企業の必要とされるポジションと、必要とされる能力を持つ人材が即マッチングされ、業界内で上手く均衡している状態となるわけです。一企業だけ見ると人材の出入りが激しいとは言え、業界全体ではいわゆる窓際やWindows2000のような余剰人材は発生する余地がなく、それはそれで幸せな業界構造なのだと思いました。

業界全体でシステムや用語が共通

一人一人がプロフェッショナル人材である事に加えて、外資系テック企業で人材がどんどん入れ替わる理由がもう一つ。それは、各社で使っている業務システムやツールが共通、あるいはサードパーティーのシステムを使っているので感覚的に即利用できるため、転職して3日目からバリバリ結果を出す事ができるのです。

私が関わっていた外資系テック企業では、メールはGmail、スケジュールはGoogle calendar、ファイル保管と共有はGoogle drive、会議はZoom、チャットはSlackでした。外資系テック企業を3社渡り歩いてきた上司曰く、これまでの会社でも基本的にGoogleのプラットフォームしか使った事がないそうです。同様に人事総務系や業務系のシステムも全てサードパーティーなので、転職する度にマニュアル読み込んで独自システムに慣れる必要が無く、既に前職で使った経験があるか、感覚的にすぐに使いこなせるものばかりです。

また、自分の専門分野に関わる専門用語は会社が異なってもある程度共通である、という点も、転職して3日目にはパフォーマンスを発揮できる要因です。私はマーケティングに携わっていましたが、マーケティングの基本用語や考え方は会社関係なく共通なので、それを自社ビジネスに応用して考える事で理解が早くなりスムーズに理解する事ができました。

一方、13年間働いた純ジャパ企業も昨年業務支援で関わった純ジャパ企業でも、社内の独自システムが多く、覚えて使いこなすのに結構な時間がかかりました。更に後者の会社は「社内専門用語全集」なるものがあり、読み込んで理解するのに丸1日かかりました。当然、独自システムや専門用語は使いこなせるまでパフォーマンスは発揮できないわけで、この差が、外資系テック企業業界で転職を容易にし、即時パフォーマンス発揮を支える大きな要因であると思います。

福利厚生が半端ない

という訳で、プロフェッショナル人材は業界内でどんどん入れ替わります。それを象徴するエピソードがこちら。外資系テック企業で働き始めたばかりのある日の夕方、突然会議室から「happy “社名” anniversary‼︎」と聞こえて何事かと思ったら、なんとある社員の勤務1周年をサプライズでお祝いしてたのです。純ジャパ企業で勤務1周年お祝いされた事ある人いますか?いませんよね?1年勤務する事がお祝いになるくらい1社に所属する期間が短く、どんどん人が入れ替わる、それが外資系テック企業なのです。
そんなスピードでプロフェッショナル人材が入れ替わるので、優秀な人材は業界内企業で取り合いになります。そして加熱していくのが福利厚生。多くの外資系テック企業で、当然ランチは無料、お菓子や飲物などコンプリメンタリー大充実は当たり前で、帰宅のタクシー代は会社負担、残業や出張の飲食代も会社負担、果ては東京都内の住宅借り上げで家賃負担無しなど、まぁ景気のいい話をよく聞きました。
福利厚生は、優秀な人材を確保するための戦略的投資であり、他社との競争要因であると捉えているところが、純ジャパ企業とは感覚が違うなぁと思いました。

仕事は問題解決

仕事をどう捉えるか、その定義は人や企業によって様々だと思いますが、外資系テック企業の時の上司に言われてとても心に残っているのが「仕事は問題解決」という言葉。言葉にしてしまえば当たり前と思うかもしれないのですが、問題解決としての仕事をチームで行う、それが外資系テック企業には組織文化として根付いていると感じる場面が多々ありました。
具体的に違いが表れるのは上司の部下に対する態度。プロジェクトが予定通りに進まない時、純ジャパ企業では頻繁に?遭遇していた「叱る」「つめる」「怒鳴る」上司はほぼ見かけず、代わりに外資系テック企業では「何が障害になっているか教えてほしい」「私ができる事があれば教えてくれ」と言う上司が大半でした。
最初こそ驚きましたが、仕事が問題解決であり人材の流動性が高い外資系テック企業の環境を考えれば、優秀なチームを導いて問題解決できる上司が評価され残っていくため、こういう態度になるのだなと納得しました。

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ここまで紹介した組織文化は、人により合う合わないがあると思うので、手放しに外資系テック企業を称賛するわけではありません。しかし、変化が激しく臨機応変に意思決定をしていかなければならない今のビジネス環境の中で、どちらが対応力が高いかは見ていて一目瞭然だと感じましたら。

前述の通り外資系テック業界の人材は業界内で頻繁に回遊している一方、純ジャパ企業時代に外資系テック業界から転職してきた人に出会った事がなく、この2つの業界間の障壁は大きいと思うので、両方の組織文化を体感する事ができて貴重な経験をする事ができました。

最後に、英語もままならない私に仕事の機会をいただいた、前職で関わった全ての方に感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。


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