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迫りくるプレマママーケティングの猛攻勢_トーキョー爆誕子育生活

普段お仕事でマーケッターの端くれをしているので、どうすればパーセプションを獲得できるか、市場創造できるか、LTV(ライフタイムバリュー)を最大化できるか、なんてことを日々考えていたりします。しかし、自分自身がいち生活者として、特定マーケットに見込顧客として突然参入するという経験はなかなか無いものです。
それが突如やってまいりました妊娠判明。ようこそマタニティ市場へ。ということで今回は、マーケッターの視点、生活者の視点の両方から感じたプレマママーケティングについてまとめてみました。

先鋒:見込顧客獲得のための豪華グッツプレゼント

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BtoCなら見込顧客、BtoBならリード獲得は、ファネルの最上位として非常に重要です。プレママ市場の場合、プレママとして市場に認識された瞬間、先鋒としてあらゆるマタニティ雑誌(初めてのたまごクラブ、ゼクシィBaby、Pre-moなど)がこの見込顧客・リード獲得に猛攻勢を仕掛けてきます。

最大かつ最強の顧客接点はもちろん産婦人科です。書店で販売されているレベルの情報が詰まった分厚いフリーペーパー(いわゆるお試し版)には、これでもかとクリームやサプリのサンプルがベタ貼りされています。妊娠初期は突然新たなライフステージに突入し、かつ突如体調の変化が訪れるため、喉から手が出るほど情報が欲しい状態。そんな時に目の間に分厚いフリーペーパー&お試しサンプル、こんなんなんぼあっても良いですからね、ということでゴソゴトと持ち帰るわけです。

さて、中を開いてみると可愛いらしいキャラクターの絵柄の、買ったら高そうな「全部まとめて!母子手帳入れ」だの「持ち運べる!ベビーグッツ収納ポーチ」だのがプレゼントと書いてあるではないですか。しかも無料!というわけで、ここで「登録フォーム送信」をポチッとしてプレママ市場へのエントリーを自ら各媒体に申告し、個人情報と引き換えに可愛らしいキャラクターグッツを入手するわけです。

マーケッターの視点からすると、見込顧客・リードの獲得単価は顧客のLTV(ライフタイムバリュー)からある程度決められているはずなので、プレママ1人を獲得するコストは、豪華グッツプレゼントしても見合うだけの価値のあるものなんだぁと改めて実感します。

次鋒:迫りくる薄ピンクと黄色のターゲティング広告

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先鋒マタニティ雑誌の攻勢に見事押し流されている頃、次鋒としてWebでのターゲティング広告が来襲します。マタニティ雑誌の申し込みですでに検索情報からプレママであることがバレていますし、万が一申し込んでなかったとしても、前回noteで書いたように「つわり 辛い」など検索しようものならもう自分はプレママです、ターゲティングしてくださいとwwwに宣言しているようなものです。

というわけでここから大量の「マタニティクリーム」「葉酸サプリ」「抱き枕」「マタニティウェア」の広告が襲ってきます。つい昨日まで「資格取得」「投資」「マンション」「ラグジュアリーブランド」で溢れかえっていたWeb広告は一夜にしてマタニティ一色、淡いピンクと黄色の洪水。自分のライフステージが一変したという事を否応なく感じさせられます。

中堅:恐るべきカテゴリー幅の関連購買促進カタログ

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先鋒マタニティ雑誌の「おすすめ♪」や次鋒大量バナー広告に押し流され、葉酸サプリなど買おうものなら、中堅「分厚い商品カタログ」が襲ってきます。マタニティ市場の企業やブランドが巧妙なのは、マタニティというライフステージに特化し、関連購買の喚起を集中的に攻めていること。サプリメーカーのはずなのにマタニティパジャマや抱き枕も品揃えしてていたり、マタニティクリーム屋さんのはずが数々のサプリやママバックも品揃えしていたりと、マタニティに特化した品揃えの幅と関連購買喚起がとにかくすごい。マタニティ市場の企業は、自社の業種を一体「何販売業」と定義しているのでしょうか。サンマの横に大根、焼売の横に練り辛子、とかのレベルや製品カテゴリーを遥かに超越したマタニティ市場の関連購買促進、恐るべしです。

大将:LTV最大化という名の未来消費喚

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もうここまでくると、オンライン・オフライン問わず私を取り巻くマーケティング活動は完全にマタニティ市場一色になっている訳ですが、話はここで終わりません。

もちろん「選ばれるブランドになる」「顧客のLTV(ライフタイムバリュー)を最大化する」のはマーケティング活動の究極のゴールですし、そのためには純粋想起TOM(トップオブマインド)を獲得することは非常に重要です。そして、マタニティ市場の場合、プレママに対してついに大将としてLTV最大化を目的とした未来消費喚起の広告が大量投下されます。もちろんそれらの広告主は先鋒「マタニティ雑誌」の関連ブランド・企業が多いということは言わずもがなです(個人情報と引き換えにキャラクターグッツを手に入れたからね)。

と、此処まではマーケッターとして「その通り」なのですが、いち生活者としては、妊娠中期の段階でやれ「10歳まで使えるベビー用教育商材」だの「高校卒業まで安心の学資保険」だの「子どもが喜ぶ新しい生活(というコピーのマンション)」だのの広告が、ずいずい表示されるようになり不思議な気持ちになります。あの・・・まだ妊娠中期なのでそこまで考えられませんが・・・。

一人の人間のライフスタイルが変わった瞬間、それはマーケッター視点では新しい市場に見込顧客が参入した瞬間であり、ありとあらゆるマーケティング活動で猛攻勢を仕掛け、TOMを獲得しLTVを最大化する好機でもあります。しかし、いち生活者としてはあまりに巧妙に連続して襲ってくると、やっぱりちょっと引いてしまうなぁと、実体験を通じて感じているプレママライフなのでした。






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