【14】人はストーリーがあるものに惹かれる

先日、日傘を買いにデパートに行きました。

お気に入りだった日傘を失くしてしまったので、

同じブランドの

黒の

フチにフリルが付いた

10,000円のやつ!

と完全に狙いを定めて、あるデパートに突撃しました。

日傘

※こういう日傘を指名買いに向かいました。


迷いもなく傘売り場に到着して、店員さんに

「〇〇のブランドの黒いフリルの付いた日傘はありますか?」

と聞くと、ものの10秒で「こちらでございますね」

と、欲しかった黒の日傘を目の前に持ってきてくださいました。

値段も前回と同じ、10,000円。

「あ。これですこれです、ありがとうございます。」

と、日傘を受け取りレジに向かい、

私の買い物はデパートに入って1分で終わろうと

終わろうと

終わろうとしていた、その時!


レジ横に、渋い日傘が並んでいて

レジ待ちしながら何気なく横目で見ていたら、

感じの良さそうな女性販売員さんが

「どうぞ、良かったら開くだけでも良いのでお手に取ってみてください」

とこちらを見て笑顔で話しかけてくれました。

買う気100%の黒いフリルの日傘を手に持ったまま、「悪いけど、本当に開くだけよ」とか思いながら、

白い日傘を手にして開いてみた瞬間、

わぁ!

と声が出てしまいました。


表と裏の生地が二重に張られていて、開く時に上下の生地が近付いてランデヴー♡したのです。


日傘gif


こんな傘見た事ない。

素晴らしい出来栄えに感動していると、

「私どもの傘は、1本1本すべて職人が手作りしているんです」

「1日に作れる数は4本程度と少ないのですが、木や竹の持ち手・タグ・ロクロ(後述)まで、全て手作業にこだわっているんですよ」

「アフターフォローもしていますので、何かあったら日本橋のお店に来ていただければ、末永くお使いいただけると思います」

と、販売員さんが丁寧に説明してくださいました。

聞けば、日本橋で90年続く老舗の傘屋さん『小宮商店』というお店が、期間限定でデパートにポップアップストアを出店されているとの事でした。ちょうど社長さんもいらしていて、色々とお話を伺いました。


わたし今日、黒い傘を買いに来たんだけど。

ブランドも決まっていたんだけど。

金額も…この傘、結構高いんだけど。


それでも、この傘を作っている職人さんの思いやこだわり、ストーリーが伝わってきて、強く惹かれてしまい、

「あの・・・この黒い傘、返してきます」

と、小宮商店の白い日傘を買いました。


そして面白い事に、他のお客さんもここで説明を聞いて、私のように持っていた傘を返してこの傘に変えている方が何人かいました。仲間感w


ロクロ

※ロクロとは、傘を開く時に上に押し上げる部分で、針金がそのまま剥き出しになっていると怪我をするので、樹脂のキャップを被せたりする部分です。この日傘は、ロクロ部分も職人さんの手縫いで付けられていました。


日傘もちて

※持ち手も職人さんが良い竹を選び、手作りで成形されるそうです。一般の竹の持ち手よりひと回り太い竹でした。


帰宅した後『小宮商店』のホームページを詳しく見ていると、「洋傘づくり」のページ

職人の手仕事を感じながら使える傘。
そんな傘づくりを目指しています。

と書いてあって、まさに、私がこの傘を買った理由だなぁと思いました。


朝 晴れていると「ラッキー!日傘が使える!」と思い、

傘を広げる時には毎回「ランデヴーー♡」と思い、

竹の持ち手と軸部分の絶妙なギシギシ音に「職人さんがこの傘を作った面影」を感じられる。

ブランド品では感じられなかったであろう「作り手の温かみ」を感じる事ができ、この日傘を買った事に大満足しました。



この経験から感じたことは、

【人は、ストーリーがあるものに惹かれる】

ということ。

そして、それ以前に大事なのは

【ストーリーは積極的に伝えないと、人の心に届かない】

という事でした。


黒い日傘を持ってお会計待ちしていた私を見た販売員さんが

「あの人はもう買う傘が決まっているみたいだから話しかけないで良いや」

と思っていたら、私はそのまま小宮商店の事は知らずに、黒い日傘を買って帰っていたと思います。


「開くだけでも良いので、お手に取ってみてください」と話しかけてくれて

何も知らなかった私を感動させてくれるほどの丁寧な説明をしてくれたからこそ、この日傘と出会えたわけでした。

まさに『傘×傘職人×販売員』のストーリーに惹かれたのです。



これは、セラピストにも共通する事だな、と感じました。

「ボディケア60分コースのご予約でご来店されたから、このお客様は全身が疲れているんだろう」

と思ってそのまま施術をするよりも、

「このお客様は今日、どうしてボディケア60分コースを受けようと思ったんだろう?」

と疑問を持ち、素直に質問してみる。

お客様の回答次第で、プロとして提案をしてコースをガラっと変更する事もあるだろうし、

「それではボディケア60分コースがピッタリですね」

となる事もあるでしょう。

セラピストとして大切なのは、お客様とストーリーを作り上げる事だと思います。

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