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大学院一年目の読書録 その10 「逆・タイムマシン経営論」

こんにちは。

買っただけで、読まなければならない本も目の前に山積みなのですが、
買ってなくてこれから買わなきゃいけない本リストも山積みな私です。。。

そして読んだのに、記録できてないものも山積み…ということで、サクサクっと読書録をしたためていきたいと思います。

楠先生の「逆・タイムマシン経営論」、話題の本ですし、関連セミナーも多いので、目にされた方も多いかと思います。

この本こそ、私たちオトナ世代の出番ですね。高度成長期から2010年代までの近過去に遡って、当時のメディアを振り返る…
今20代のZ世代の皆さん、知らないでしょう。私たちには知っていることばかりなのですよ。ほとんどのことが、「そうそう、ついこの間」(本当か笑)なことばかり笑

そうそう、こんなメディアの論調、当時たっぷり目にしていました。果たしてそれって…と振り返るとそこに本質を見抜くセンスと大局観が養えますよ、というのが本書の主張です。

早速ですが、備忘録の目次です。


はじめに
「逆・タイムマシン経営論」とは何か
第1部 飛び道具トラップ
第1章 「サブスク」に見る同時代性の罠
 ・スマホ決済の普及が火をつけた「サブスク」
 ・Adobeの成功事例
 ・サブスクに飛びつき、静かに撤退する企業
 ・「同時代性の罠」が経営判断を誤らせる
第2章 秘密兵器と期待された「ERP」
 ・コスト削減の「救世主」
 ・SAPが着火したERPブーム
 ・参天製薬:ERP導入の成功事例
 ・「国内最大級のERP」を導入したコマツの混乱
 ・経営の思惑とのミスマッチ
 ・「新規性」と「即効性」がトラップを誘発する
 ・手段の目的化
第3章 「SIS」の光と影
 ・マイクロプロセッサーとネットワークの登場
 ・「情報システム部門」の設立
 ・SISの成功事例 ケース1:ヤマト運輸、ケース2:花王、
   ケース3:セブン_イレブン・ジャパン
 ・ブームの収縮
 ・戦略が先、ITは後
第4章 「飛び道具サプライヤー」の心理と論理
 ・「組織改革」という飛び道具
 ・「組織改革」を主導したマッキンゼー
 ・ブームは去り、サプライヤーは残る
第5章 「飛び道具トラップ」のメカニズム
 ・歴史は繰り返す
 ・「オートメーション」にのめり込んだ小野田セメント
 ・トラップ作動のメカニズム
 ・「文脈剥離」がトラップを生む 
 ・「トラップに陥りやすい人」のプロファイリング
 ・飛び道具トラップを回避する
 ・サイゼリヤの「キャッシュレス」への構え
第2部 激動期トラップ
第6章 「大きな変化」ほどゆっくり進む
 ・ことごとく外れる未来予測
 ・「できる」と「する」のギャップ
 ・インフラは30年にしてならず
 ・要素はシステムに先行する
第7章 技術の非連続性と人間の連続性
 ・「インターネットは隕石だ」
 ・人間の需要は連続している
 ・ユーザーの「不慣れ」
 ・火連続な技術への「不安」
 ・「不安」な問題解決の押し売り
第8章 忘れた「革新的製品」
 ・セグウェイ
 ・3Dプリンター
 ・ランドロイド
 ・グーグルグラス
第9章 激動を錯覚させる「テンゼロ論」
 ・「商社3.0」
 ・「商社冬の時代」
 ・商社はいまだに「2.0」
 ・「インダストリー4.0」
 ・「ソサエティー5.0」
第10章 ビジネス「革命」はない
 ・「マジックワード」が同時代の空気を増幅する
 ・自動運転の文脈剥離
 ・「シェアバイク」の浮き沈み
 ・「時価総額」が招く思考停止
 ・「文脈思考」で激動トラップを回避する
 ・「大きな変化」は振り返った時にはじめて分かる
第3章 遠近歪曲トラップ
第11章 「シリコンバレー礼賛」に見る遠近歪曲
 ・「シリコンバレーに学べ!」
 ・四半世紀前の「シリコンバレーブーム」
 ・シリコンバレーの酷い企業
 ・「超多産多死高速新陳代謝」の生態系
 ・ロバート・ノイス:シリコンバレーの体現者
 ・原点は「軍需」
第12章 半世紀にわたって
 「崩壊」を続ける「日本的経営」
 ・「Consider Japan」から「Japan as No.1」へ
 ・そのとき日本国内では…
 ・1970年代後半に早くも「ソニー神話崩壊」
 ・いつの時代も外資は「黒船」
 ・「隣の芝生は青く見える」
第13章 人口は増えても減っても「諸悪の根源」
 ・「人口減少が諸悪の根源」
 ・「移民」というソリューション
 ・「産児制限」というソリューション
 ・高度成長期になっても「人口増が諸悪の根源」
 ・人口の増減は「メガトレンド」
 ・脅威を逆手に取るビジョンを描く
第14章 海外スターCEOの評価に見る遠近歪曲
 ・同時代の空気は「非連続的な改革」と「グローバル化」
 ・ケース1:カーリー・フィオリーナ
 ・後継CEO マーク・ハードとその後のフィオリーナ
 ・ケース2:ウルトラ・バーンズ
 ・背景錯誤による遠近歪曲
第15章 「日本企業」という幻想
 ・「今の日本はとにかくダメ」?
 ・人手不足こそ絶好のチャンス
 ・ミクロとマクロは「混ぜるな危険」
 ・「環境他責」による思考停止
 ・「プロフェッショナルマネージャー」の真骨頂
 ・「日本企業」は存在しない
 ・「日本企業」という主語との決別
おわりに

以上、これらの近過去に学ぶ経営知は、強力な差別化の武器になる、というのが、本書の中で学ぶメイン主張です。ただ、面白いのは、楠先生の単著ではなく、社史研究家 杉浦泰さんとの共著ということですね。

企業の歴史がビジネスパーソンに語り継がれるべき、それが日本経済の活性化に寄与する、という杉浦さんの主張と相まって、「過去からの学び方」「長期視点」など、えてして、やれDXだ、SDGsだ、と今”旬”なものに飛びつきがちなビジネスパーソンに、新たな視点を示してくれる興味深い書としておすすめです。

自らの第二の人生のために、そしてそれを広く恩返しできるよう、生涯学び続けたいと思っています。よろしければサポートお願いします。