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短編小説「雪が降ったら、理科室で」
わたしは理科室が好きだった。透きとおったガラス製の器具。巨大な耳の模型。石の標本。あまり見ないようにしているいろいろなアルコール標本も、こわいけれどひきつけられる。いつもは勝手に入れないように鍵がかかっている。
でも紺君は、その鍵を開けられるらしい。
わたしと同じでからだが弱く、よく保健室で一緒になる六年生の紺君は一つ年上。
【掌編小説】わたしのさくら、わたしたちのさくら
拝啓 すっかりご無沙汰しています。いかがお過ごしでしょうか。
この間まで続いていた残暑が嘘のように気温が下がり、昨晩はいかにもつめたそうな風雨と雷の音で心細い思いをしました。
今日も空気はひんやりとしていましたが、心地よく晴れ上がったので、散歩にでかけました。足元に、気の早い落ち葉が転がってきます。そういえば習慣で聞いているラジオの英会話番組で、「
短編小説 スノードーム
大陸の北に位置する、大国たちのあいだに、まるでたてたビンのようにすっぽりとおさまった小国を、すこし長めの出張でおとずれた。
「ビンのようだ」と思ったのは季節のせいもあるかもしれない。
冬の厚い雲が、ぴっちりとしめられたフタのようにいつも頭上をおおい、真っ白な雪が、積み木のような建物の上にも、狭い道の上にも、すっかり葉を落とした樹々の上にも、たえまなく降りしきる中を歩いていると、まるでスノードー
超短編ストーリー三つ
Twitter上で見つけたタグや診断メーカーのお題や字数制限で書いてみた、とても短い物語三篇です
①「54字の物語」
月が綺麗ですね。彼からのメッセージを開くと立体画像が浮き上る。地球に残った最後の人類が見る私達の居留地の姿。
②冨樫さんには「それは人魚の恋に似ていた」で始まり、「君には届かない」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば2ツイート(280字程度)でお願いします。
それは人魚