マガジンのカバー画像

小説

6
運営しているクリエイター

記事一覧

15のちいさな物語~ツイノベまとめました~

15のちいさな物語~ツイノベまとめました~

「ツイノベ」とは1ツイートに収まる短いノベル(小説、物語)のことを指します。1ツイートの中にハッシュタグ #ツイノベ  などをいれるともっと短くなりますが、わたしはタグやお題(あとで説明します)はツリーでつなげて、物語が140字ぴったりになるようにしています。

わたしがはじめてツイノベを書いたのはこの夏(2021年7月)。小説家の川内祐さんが17(イチナナ)というライブ配信アプリの中で、リスナーさ

もっとみる
短編小説「雪が降ったら、理科室で」

短編小説「雪が降ったら、理科室で」

                                 
 わたしは理科室が好きだった。透きとおったガラス製の器具。巨大な耳の模型。石の標本。あまり見ないようにしているいろいろなアルコール標本も、こわいけれどひきつけられる。いつもは勝手に入れないように鍵がかかっている。
 でも紺君は、その鍵を開けられるらしい。
 わたしと同じでからだが弱く、よく保健室で一緒になる六年生の紺君は一つ年上。

もっとみる
超短編童話「さくらのなみだ」

超短編童話「さくらのなみだ」

 公園のさくらのはなびらがはらはらはら散っています。さくらのはなびらのかたちは、なみだのようだとユウナちゃんは思いました。カナコちゃんとけんかして帰るゆうがたです。春の終わりのいちにちの終わり、ユウナちゃんのかわりにさくらが泣いているのかもしれません。泣きやまないさくらのなみだを浴びながら、ユウナちゃんはしばらく立ちつくしていました。
 そのころユウナちゃんとわかれて歩いていたカナコちゃんのところ

もっとみる
【掌編小説】わたしのさくら、わたしたちのさくら

【掌編小説】わたしのさくら、わたしたちのさくら

                     
 拝啓 すっかりご無沙汰しています。いかがお過ごしでしょうか。
 この間まで続いていた残暑が嘘のように気温が下がり、昨晩はいかにもつめたそうな風雨と雷の音で心細い思いをしました。
 今日も空気はひんやりとしていましたが、心地よく晴れ上がったので、散歩にでかけました。足元に、気の早い落ち葉が転がってきます。そういえば習慣で聞いているラジオの英会話番組で、「

もっとみる
短編小説 スノードーム

短編小説 スノードーム

大陸の北に位置する、大国たちのあいだに、まるでたてたビンのようにすっぽりとおさまった小国を、すこし長めの出張でおとずれた。

「ビンのようだ」と思ったのは季節のせいもあるかもしれない。

冬の厚い雲が、ぴっちりとしめられたフタのようにいつも頭上をおおい、真っ白な雪が、積み木のような建物の上にも、狭い道の上にも、すっかり葉を落とした樹々の上にも、たえまなく降りしきる中を歩いていると、まるでスノードー

もっとみる
超短編ストーリー三つ

超短編ストーリー三つ

Twitter上で見つけたタグや診断メーカーのお題や字数制限で書いてみた、とても短い物語三篇です

①「54字の物語」

月が綺麗ですね。彼からのメッセージを開くと立体画像が浮き上る。地球に残った最後の人類が見る私達の居留地の姿。

②冨樫さんには「それは人魚の恋に似ていた」で始まり、「君には届かない」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば2ツイート(280字程度)でお願いします。

それは人魚

もっとみる