風船

誰かがとなりにいてくれる

「友だちや、隣の人の背中をそっと押してあげられるような人になってほしいと思います」

息子が高校に入学するときに学校の先生から贈られたことばである。

それまで、学校ではどちらかというと「努力して、自分の目的を達成しよう」と激励されることが多かった。いろいろなことにチャレンジして、努力して、目標を達成する。それは、もちろん学校に通う年頃の子どもには大切な視点だ。自己実現とも言える視点かもしれない。

だから、冒頭で紹介した「友だちや、隣の人の背中をそっと押してあげられるような人になってほしい」という、自己実現とは全く違う視点のことばがとても印象的だった。結果重視のことも多い今、結果について全く触れない潔さにも驚いた。

息子の通った学校は進学校だったけれど、先生のことばの通り大学受験にもごく自然に助け合って臨んでいた。受験のコース別のクラスだから、クラスメートはライバルとも言えるが、放課後得意科目を教え合ったりして一緒に頑張っていた。

勉強は個人ですることだから、ひとりでやりたいと思う生徒もいると思う。(私自身は、高校生の時にそう考えていたし、学校全体もそういう雰囲気だった。)

でも、息子にはすごく「友達の背中を押してあげる」というのが合っていた。息子も学校の友達や先生にずいぶん助けられたし、息子もまた、友達の支えになっていたと思う。そのことは、高校を卒業した今も息子の核となっているように感じている。

息子は、隣の人の背中をそっと押すことを知っているし、押してくれる人がいてくれることを知っている。隣の人を信じることができる。それは、これから先も大きな力になるだろう。





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