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舞台降板について、そして、これからのこと

初めましての方も、お久しぶりな方も、こんにちは!森川耶美です。
2022年もよろしくお願いいたします!

私、森川耶美は、俳優や歌手活動、
パフォーマンス公演『ユメミテイヨウ』をプロデュースしているパフォーマーです。

今回のnoteでは、みなさんにお伝えしたいことを書きたいと思います。

延期になった舞台『アリス』についてです。

長くなりますが、
私の気持ちも交えながら書かせていただきます。

追記:2022年2月7日をもちまして、note内公開内容の個人情報をアルファベット表記に変更させていただきます。


はじめに


2020年3月、
私たちはある団体主催の舞台『アリス』の稽古真っ只中でした。

私は養成所以来初めてのミュージカル出演で、
写真の白ウサギ役に配役!
一人で歌うシーンもあり、要役でとても嬉しく、「頑張ろう!」とやる気に満ちていたことを覚えています。


そんな私たちを突如襲った新型コロナウィルスの猛威。

その影響で当作品の公演は、1年後の2021年4月に延期になりました。

延期決定を受けて私たちは、
「必ずまた同じメンバーでやろう」と約束を交わし、その時を1年間待っていました。

そして2021年4月。予定通りに舞台『アリス』は本番を迎えましたが…

そのステージに私たちの姿はありませんでした。

出演を予定していたパフォーマー18人が降板
し、
出演者を一新して公演を行なったのです。

18人それぞれが降板に至った理由があり、

主催団体(過去団体名変更経歴あり)

代表 A氏

顧問 B氏

への悔しい想いを抱え続けています。

降板に至った経緯


■①降板した理由


この団体では、出演者との間で、
「出演をするにあたり、演者が作品に対して責任を持つ」という名目で、
自身のチケットノルマ分の前納金が発生します。

そのため、出演者によって金額は異なりますが、
平均20万円を前納金として支払っていました。

中には
支払うために親に借金をした人や
奨学金を払うはずだったお金を充てた人もいました。


また、出演契約書の
「自己都合による降板は、ノルマ分を全額収める
(前納金の返金を行わない)」

という内容に出演者は署名と捺印を行っています。

森川耶美 契約書 25万円前納


※契約書内に「各一通を保持」とありますが、控えはもらっておらず、写真を撮った者のみが控え画像を持っていた状況です。
契約書記入の状況は、印鑑・訂正印不要。顔合わせ時に主催の前で配布・記入し、その場で提出を要求されました。

しかし、
公演が延期になる=契約と異なる
という理由で一旦の返金と契約書の破棄・契約書の更新を申し出たところ、

「返金は行わず、来年の公演終了後に精算をする。契約書は有効で、もし今降板をするならば契約書にある通り、返金はしない」

との返答。

この時点で延期後のスケジュールが合わない出演者は、契約書通り前納金を返金されないまま、泣く泣く降板しています。

降板までの経緯の中で、前納金と別の、契約書には記載のない違約金を要求された者もいました。

別日顧問に直談判をしに行く者もいましたが、
”如何なる理由でも前納金の返金をしない”の一点張りでした。


半ば強制的な空気を感じながらも、
団体と出演者の間で具体的な方針が定まらない中時間だけが流れ、2021年2月。

コロナ収束の兆しが見えない情勢に不安を抱える出演者がいながらも、
延期した舞台『アリス』の概要が明らかになりました。

その公演概要は、

・「4日間4回公演」から、「1日のみの昼夜2回公演」に変更

・配信、DVD販売を行う

というものでした。全て、出演者に対して一切の相談のない無断決定です。

加えて、

・概要変更後のギャランティ相談
 (当初予定されていた日程から大幅に変更があるため、
それに応じた変更の相談)

・出演者、お客様への新型コロナウイルス感染症対策の案内

の説明もなく、
こちらからのLINEでの問い合わせに対しても返答がありませんでした。


当団体に不信感を覚えた出演者たちは
団体の情報を集めることに決め、
結果として、過去の出演者、携わってきた技術スタッフなどの証言から明らかになった当団体の実態が、下記になります。


■②団体の実態


・過去の出演者へのギャランティ未払い、遅延
...70人以上、総額800万円超え

・国からの助成金申請に使用する架空領収書を作成する為、スタッフに署名を強要

・運営する役者育成スクールの生徒に対しての金銭の要求

『アリス』の出演者たちは当団体への不信感をさらに強め、
森川耶美が代表して団体へ

・契約書の改定

・各出演者への概要変更後ギャランティ相談と、その確定

・コロナ禍における出演者、お客様への感染症対策案内

を求めましたが、返答は、問い合わせに関係のない感情論のみでした。

何を言っても感情論しか返答がないことに困り果てていたある日、窓口として動く私の存在が煩わしかったのか、
「団体に対する言動に問題がある。君とは一緒に出来ない、降板してもらう」
と、自分の意思ではないのにLINEの連絡1つで突然降板させられ、LINEグループからも退会させられました。

もちろん一切の返金はありませんでした。

その際弁護士から「あなたの場合は契約違反として裁判を起こすこともできる」と言われましたが、私は裁判をせずに、他出演者と一緒に行動する手段を取りました。

精神的にも落ち込んでいましたし、
一人で裁判の心労を負えないと判断したからです。

このような経緯で、それぞれが降板を決めました。


『アリス』降板者の前納金額は、
総額300万円を超えています。



一連の出来事を消費者センターに相談をしましたが、管轄外との返答でした。
日本俳優連合からは法的措置「調停」を勧められます。

■③法的措置「調停」に非対応


降板を決めた・降板をさせられた私たちは団体に対して、主に前納金の返金について冷静な話し合いがしたい、という趣旨で調停という法的手続きによって、第三者の判断を仰ぐことに決めました。

調停とは…
裁判所の調停機関が間に入って当事者同士が話し合いを行い、
それによって適正・妥当な解決を図る制度です。

調停は1回では終わらず、計2回行われました。

調停1回目は、団体側から
「俺たちも一生懸命やってるんだ!」
と感情論のみを伝えられ話し合いにならず、解決が見出せなかった為、
調停2回目で、私たちは以下2点を提示しました。

①団体へ支払った
前納金の半額の返金を要求

→返答:拒否

②半額の返金が不可能ならば、
ここまでの全ての事実を記した
クラウドファンディングを始動する

→返答:承諾


結果として、
団体が一切の返金に応じることはありませんでした。

調停の場でも
"降板者へは如何なる理由でも前納金の返金をしない"を押し通したのです。


”半額の要求”にも応じない...
調停の準備にどれだけのエネルギーと時間を使ったのか...

個々が憤りと虚しさを感じ、悔しくて悔しくてたまらなかったです。

調停の最中に「裁判」という別の法的措置の案があがり、弁護士や調停委員に相談をしたところ、法的措置を起こしても相手方に支払い能力がなかった場合は、そこで手続きは止まってしまうようです。

つまり、こちら側が正しいということが証明できたとしても、
「支払う金銭がない」と団体側から言われたら、そこで話は終わってしまうということです。

これからのこと


調停実施後に今後のことについて話し合いました。その結果、

私たちは一連の出来事を世に広め、
『アリス』2020年元出演者の有志5人で、クラウドファンディングプロジェクトを立ち上げることに決めました。

このまま私たちが泣き寝入りをしてしまったら、
「またこうして悲しい想いをしてしまうパフォーマーが増えてしまう」
そう考えると、私たちは行動を起こさずにはいられませんでした。

◆CAMPFIREにて、ユメミテイヨウクラウドファンディングプロジェクト公開中!
◆2月27日(日)23:59まで
◆目標金額110万円
◆公開中プロジェクト
https://camp-fire.jp/projects/view/426411

クラウドファンディングプロジェクト内容は2つの願いと目的があります。

①共演が叶わなくなった『アリス』2020年元出演者の有志+このプロジェクトに参加・賛同をしてくれるパフォーマーでお送りする、パフォーマンス公演を実施したい!

②降板者が発生するまでの出来事を全国に広め、知ってもらいたい。
そして同じ悔しい想いをしてしまう役者を減らしたい!

この2つです。

※このプロジェクトは、ありのままの事実を書いた内容を公開してクラウドファンディングを行うことを、調停の場で団体の代表と顧問に承諾してもらった上で実施いたします。


長くなりましたが、
これが私たちと団体との間に起こった契約トラブルの全て、そしてこれからのお話です。

応援してくださっている皆様にはショックな内容だと思いますし、
何より、『アリス』を楽しみにしてくださっていた方々には本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。

中には「自業自得」とお思いになる方もいることでしょう。
前納金請求、契約書署名の時点で辞退することもできただろう…と。

私自身、稽古当初「良い役をいただいたのだから頑張ろう!」と前向きな気持ちばかりで、警戒心が薄かったこともこの出来事が起こった原因の1つです。

森川耶美が"自分の言葉"で今の気持ちをまとめると…

「過去の無知な自分のお尻を叩きたい!
契約書の内容に疑問を持つべきだったし、前納金なんて普通じゃない!
でも過去の自分を正すことはできない。
私は、このまま泣き寝入りするのはあまりにも悔しい。
そして他のフリーランスのパフォーマーが私たちと同じ想いをしている可能性があるのかと思うと本当に恐ろしい。

私に今できることは、悔しい経験をポジティブなエネルギーに変えて、最高なメンバーと、最高にハッピーな公演を実現させること!!

今回、私は「物事を知らないこと」が何よりも恐ろしいということを身をもって学びました。
この活動を行う事で、事案を知り考えてもらい、悲しい想いをするパフォーマーが一人でも減ってくれることを、私は願っています。

この活動を始めるということは色んなリスクが伴います。私自身の今後の芸能活動に支障をきたすかもしれません。
承知の上で、強い意志をもってこの活動を最後までやり通したいです。」

ギャランティ未払いの件についても、パフォーマーがこのような労働環境で働いている事実にショックを受けた方も多いと思います。

補足をすると、前納金は全ての劇団で発生するわけではありません。

ですが、チケットノルマ制
(○枚チケットを販売する契約。販売ができなかったノルマ分はパフォーマーが支払い、ノルマ達成以降がギャランティとなる。)
がある劇団は多く存在します。

この一連の出来事を一人でも多くのパフォーマーに知ってもらい、
同じ経験をするパフォーマーが一人でも減ってくれることを願っています。

コロナ禍だからこそ自分のことを大切にし、自衛してもらいたいです。

また、パフォーマー以外の職業の方にも、
このような労働環境がある事実を知ってもらいたいです。

私たちはパフォーマーという仕事が好きで、
この仕事に誇りを持っています。


コロナ禍で風当たりが強い業界ではありますが、
私たちは強い意思でこの仕事を続けてきました。

今回のトラブルについて、「自分たちが悪かった」「今後は気を付ける」と諦めることも考えました。
しかし、おそらく今後もこの団体は公演を行うと思います。

私たちが知らないだけで、同じような団体もまだまだあるかもしれません。
被害に遭って苦しんでいる人がいるかもしれません。

そう思った時、動かずにはいられませんでした。


クラウドファンディングの舞台内容は『アリス』ではなく、完全オリジナルのものです。

是非、応援と拡散をしていただけますと幸いです!

最後までお読みいただき、
本当にありがとうございました!!

『アリス』2020年元出演者 有志代表   
森川耶美


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