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薪の思い出

 貸し部屋の一室。ニ階の真ん中くらいか。廊下に面する引き戸に隙間があるので、丁度いい角材で塞いだりしていると、廊下に各部屋用の薪が用意されていた。部屋の中はストーブなのだが、そういうものを欲しがるところもあるのだろう。
 部屋の中では中途で入った独身男性や、数人の看護士さんが同居しており、彼らのスケジュールを確認したり、その予定が近い場合は付き合っているのかもしれないと思ったりしていた。
 突然、屋外で妙なパフォーマンスをする若者がいて、なんだなんだという雰囲気になったが、それを察した彼はアパートに面する裏通りから表通りに抜けて、彼の住むマンションに戻らずに、その向かいのビルに忍び込んだ。そのとき私は彼になっており、その堅牢なビルの中空にぶら下がる大きな黒いブランコのような階段に身を隠していた。
 しかし、私を追いかけてくる女性がいて、そのビルの上階に住んでいる大きなボディビルダーの黒人男性にも追われる状況になっていた。そのビルにある書店に追い詰められると、私はその追いかける女性になり、そのボディビルダーを抱きしめることで全てが解消した。
 もう一人の私はそうした出来事の隙に逃げており、逃げた末に妻が迎えに来た車に乗り込んだ。左ハンドルの軽自動車で、彼女は後部座席から運転していた。私は身を横たえるに丁度いい広さを感じた。
 その一帯はかなり危険な地域で、ガソリンを入れた場所で、向かえの建物から銃撃があり、私もピストルで応戦していた。私はこうした戦場に慣れている手練でもあり、一人を残して全員仕留めることができた。
 残る一人は顎髭を伸ばした細身の男で、爆弾か何かを仕掛けて隣の建物に廊下伝いで逃げていった。しかし仕掛けたものは地面の下にあるベルトコンベアーのようなもので、それが一斉に動き出して、私は挟まれて轟音の中で消えていった。

《何かが消えてしまう作品を紹介します》
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薔薇と電線
あおりのダイブ


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