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3か月予報(7~9月)

6月25日発表の3か月予報です。

梅雨明けからは猛暑で、残暑も厳しいでしょう。

1.一般向け

暑い夏~初秋

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向こう3か月の気温は西日本で平年並みか高く

その他は高い予想です。

偏西風が平年より北寄りを流れ、暖かい空気に覆われやすいためです。

月ごとに見ると

7月は沖縄・奄美で高温傾向

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8月は沖縄・奄美と東~北日本で高温傾向

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9月は全国で高温傾向となっています。

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暑さの要因となるチベット高気圧と太平洋高気圧は北への張り出しが強い見込みで

ダブル高気圧による猛暑というのは全体的にみれば多くはないのではないかと思います。

ただ、全体的に気温が高いために一時的にダブル高気圧が生成された場合は

記録的な暑さとなる地点がどこかに出てもおかしくありません。

オリンピック大丈夫でしょうかね、、、

しっかりと水分補給して熱中症にならないよう気を付けましょう。

9月はなかなか暑さ収まらない

太平洋高気圧の張り出しが9月になっても強いために

平年よりも晴れる日が多く、気温が高いでしょう。

厳しい残暑が続くことが予想されるので

真夏を過ぎても熱中症対策が必要です。

7月は北日本大雨警戒

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向こう3か月の降水量はほぼ平年並みの予想です。

ただ7月は東日本日本海側と北日本で平年並みか多い予想となっています。

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梅雨前線の北上が平年より早いためで

平年と比べ曇りや雨の日が多くなるでしょう。

梅雨末期の大雨に警戒が必要です。

8月は北日本でも猛暑

一方、8月は北日本は少雨傾向で

高気圧に覆われやすく晴れが多い予想となっています。

これにより、全国的な高温傾向の中でも

特に北日本で気温が高いと予想されています。

いつも以上に暑さ対策を行いましょう。

2.専門向け

ラニーニャ的

6月10日発表のエルニーニョ監視速報ではラニーニャの終息が伝えられたが

この夏〜初秋にかけてはラニーニャの名残が残りそうだ。

海面水温平年差は太平洋赤道域中部〜東部で低く

インド洋〜太平洋西部では高い。

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海面水温偏差(3ヶ月平均)

200hPa速度ポテンシャルで赤道域に注目すると

太平洋赤道域中部〜東部(正偏差)と

インド洋〜太平洋西部(負偏差)のコントラストが明瞭。

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200hPa速度ポテンシャル(3ヶ月平均)

これにより、太平洋赤道域の中部付近では東風が例年より強く吹くことが予想されておりまさにラニーニャ的である。

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モンスーン強化と偏西風北偏

太平洋西部の赤道域で対流活発となるため、そこに吹き込む風が強化され

インド洋の赤道域では西風偏差が強まる。

これにより、インド洋北部では850hPa流線関数場で低気圧性循環偏差が生まれており

モンスーンが強化されることが予測される。

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850hPa流線関数(3ヶ月平均)

このため対流活動が活発となり(降水量が正偏差)大陸付近で偏西風が北偏する。

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降水量偏差(3ヶ月平均)

200hPa流線関数場に着目すると北半球中緯度帯は広く高気圧性循環偏差であり

偏西風の北偏を示唆していることがわかる。

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200hPa流線関数(3ヶ月平均)

これはチベット高気圧の北への強い張り出しにも関連している。

太平洋高気圧の強化

850hPa流線関数場にもう一度注目すると太平洋西部の15°N付近に高気圧性循環偏差が見られる。

南半球にも赤道で対となるの高気圧性循環偏差があるため

偏東風の強まりにより生成された高気圧であると思われる。

この高気圧やモンスーンの強化がモンスーントラフの北偏に繋がり、

結果、太平洋高気圧は北への張り出しが強まる。

日本付近には暖気が流れ込みやすく、普段より北側まで暖気が強く流れ込むために

北日本で特に850hPa温度場で正偏差が大きくなっているものと思われる。

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850hPa温度(3ヶ月平均)

7月の三極構造

月毎に特徴を拾っていく。

7月の850hPa流線関数場は、北西太平洋熱帯域で高気圧性循環偏差となっていて

これは3ヶ月平均の偏東風強化により生成されたものと思われる。

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850hPa流線関数(7月)

これに対応し、日本付近は相対的に低気圧性循環偏差、

その北側に高気圧性循環偏差があり三極構造を示している。

このため西・東日本は南風偏差となり例年に比べ湿りが入りやすい。

また、500hPa高度場では逆位相気味のトラフが中国東北区から黄海付近に見られ負偏差でもあり西谷傾向と言える。

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500hPa高度(7月)

これは梅雨前線の対流活動の強化に結びつく恐れがあるため、

梅雨末期の大雨に警戒が必要だ。

8月は猛暑か不安定か

8月の850hPa流線関数場では7月に見られた三極構造がより明瞭に現れる。

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850hPa流線関数(8月)

このため西・東日本で湿りが入りやすく不安定な天候になる可能性がある。

200hPa流線関数場では日本付近は高気圧性循環偏差であり偏西風は北偏傾向であり西・東日本も高温傾向と思われるが

不安定な天候が続き相殺される可能性もある。

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200hPa流線関数(8月)

一方、三極構造最北にあたる北日本は高気圧に覆われ日照が多く猛暑になる可能性が高いだろう。

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850hPa温度(8月)

9月のチベット高気圧

9月の200hPa流線関数場で、日本付近は大陸上の高気圧性循環偏差域の西端がかかっている。

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200hPa流線関数(9月)

これはチベット高気圧の後退の遅れを示唆しているものと思われる。

また海面気圧は日本付近は正偏差で太平洋高気圧の後退の遅れも示唆しており

9月は全国的に高温傾向となる。

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上:850hPa温度、下:海面気圧(いずれも9月)

中国東北区に高気圧が見られ、もしかしたらチベット高気圧と太平洋高気圧の重なり合いによる高気圧であるとすると

長期の高温も視野に入れたほうがいいのかもしれない。

逆に日本の東には負偏差が広がっているが

これは500hPa高度場ではその上空が負偏差となっているものに対応している可能性があり、

そうだとすれば日本は東谷傾向となり上空には乾いた空気が入りやすく

晴れベースとなりそう。

これも高温に一つ寄与すると思われる。








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