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資源・エネルギー・環境教育雑記帖(8)〜教科書で扱われている資源・エネルギー・環境(中3理科・力学的エネルギー)〜

2023年より、資源・エネルギー・環境教育の推進に深く関わってきました。
この分野への興味を抱き、暇を見つけては関連する書籍を読み、研究を重ねています。
同じ関心を持つ仲間たちと立ち上げた研究会では、教育における資源・エネルギー・環境問題に積極的に議論を交わしています。
この不定期連載では、中学校及び高校での資源・エネルギー・環境に関する教育内容をご紹介します。


エネルギーとは?

中学校3年の理科では、エネルギーの定義や本質を力学的な観点から理解します。
教科書によれば、エネルギーは「物体が別の物体に仕事をする能力」と定義され、物体が持つエネルギーの大きさは、その物体に対してされる仕事の大きさと等しいとされています。

位置エネルギー

位置エネルギーは、高いところにある物体が持つエネルギーです。
その大きさは、基準面の高さと物体の質量によって異なります。
次の2つの性質が重要です。

  • 基準面が高いほど、位置エネルギーは大きくなる。

  • 物体の質量が大きいほど、位置エネルギーも大きくなる。

また、発展的な内容になりますが、式で表すと以下の通りです。

<式>
物体にした仕事〔J〕=物体を引き上げる力〔N〕✕引き上げる高さ〔m〕
位置エネルギー〔J〕=物体にはたらく重力〔N〕✕基準面からの高さ〔m〕

仕事と位置エネルギーは、物体に作用する重力が引き上げる力と等しいときに等価となります。

運動エネルギー

運動エネルギーは、運動している物体が持つエネルギーです。
その大きさは物体の速さと質量に依存します。
また、発展的な内容になりますが、運動エネルギーの求め方は次の式で示されます。

<式>
運動エネルギー〔J〕= 1/2  ✕ 質量〔kg〕✕ 速さ〔m/s〕✕ 速さ〔m/s〕

力学的エネルギー

位置エネルギーと運動エネルギーの合計が力学的エネルギーです。
この合計は、力学的エネルギー保存の法則により、一定です。
振り子の運動では、位置エネルギーと運動エネルギーが変化しますが、力学的エネルギーの合計は一定です。

しかし、ジェットコースターのように高低差を変えて運動する場合、熱や音の形でエネルギーが失われるため、力学的エネルギーは完全には保存されません。

エネルギーの解釈

力学的エネルギーを考えるとき、「仕事をする=力を加えた方向に物体を動かす能力」としてエネルギーを定義できます。
しかし、他のエネルギー形態では、必ずしも力の方向に物体が動くわけではないため、この定義にズレが生じます。
教える際には、力学的エネルギーを「仕事をする能力」と捉え、他のエネルギー形態を「何らかの現象を引き起こす能力」として拡大解釈することが、教育的に有効です。

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