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今年もまた、この季節がやってきた…
2年前の今頃、ピティリアーノという町を訪れた。
トスカーナ州の南の、凝灰岩の上にそびえたつ、小さな町だ。オリーブオイルの試飲会がある…という事で、フィレンツェから、わざわざ、車を走らせてやってきたのだった。
会場に着いたものの、お昼時という事もあってか、殆どが、席を空けていた。お客さんが来るとか関係なく平気で居なくなるところ、なんとも田舎らしい感じがする。人の居ないブースには、試食用のパンにオリーブオイルがかかったものが置かれていたけど、勝手に手をつけるのもなんだし…と思っていたところ、
「ブォンジョルノ〜!」
とても綺麗なお姉さんが、私に声をかけてくれたのだった。
フィレンツェに居たら、極々普通の日本人顔も、小さな田舎町では、まだまだ珍しい。こちらから声をかけなければ、なんとなくスルーされる雰囲気がある中、声をかけてくれたのが、そのお姉さんだった。
その年の搾りたてのオリーブオイルを試飲しながら、「でもね、昨年の方が個性があって、1年経った今でも美味しいのよ!」と、わざわざ、新しいボトルを開けてくれたりした。
ちょっとした事だけど、なんだか嬉しい。
田舎のオリーブ農家は、その殆どが家族経営である。海外はおろか、フィレンツェにすら、商品を発送する時間と余裕がないのだそうだ。
フィレンツェに居たら、トスカーナ州の全ての味を味わえる…というわけではない。だから、こういう小さな生産者さんのものを知るという事は、ある意味、貴重な話である。
いろんな話をした。
有機栽培の苦労、収穫する時期の選定、収穫してから搾油までの時間、ノンフィルターとフィルターをかける時期。
大きな生産者さんが、なかなか教えてくれないような話は、興味深くもあり、だからこそ、他の人たちにも、もっと知ってもらいたいなぁと思ったりする。
「そろそろ収穫が始まります。今年も必要で有ればお知らせくださいね。」
綺麗なお姉さんから、メッセージが届いた。
今年もまた、この季節がやってきた。
新しい、搾りたてのオリーブオイルが出来る時期をイタリアは迎えている。
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