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OLIVE DELLA YUKI

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OLIVE DELLA YUKI が綴る、オリーブオイルづくりに纏わるストーリー
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#つくってみた

働くイタリア人

働くイタリア人

ようやく夏の気配が感じられるようになったイタリア。
気がつけば、オリーブ畑でも、セミの鳴き声が聞こえる。

先週の金曜日、搾油所に立ち寄った。
この時期はもう過渡期で、週末は開いていないとのこと。
だから、金曜日か月曜日に行く必要があった。
搾油所の事務担当シモネッタは、相変わらず忙しそうで、
「早くバカンスに行きたい…」と嘆いた。
仕事の出来るイタリア人は、本当に大変。
その他大勢の仕事の出来な

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微妙なお天気が続く中

微妙なお天気が続く中

日本一時帰国から戻ってきて、20日ほどが過ぎた。
ようやく落ち着いてきたので、
お土産を持って、友人に会いに行く。

「ユキさん、いつも忙しそうだから…」
そう言われてはじめて、
私って、忙しいのかしら?と思った。

フィレンツェとオリーブ畑のあるマレンマ地方を行き来している現在は、
週の半分、フィレンツェ、残りをオリーブ畑で過ごすことが常になっている。
やることはそれなりにあるけれど、
とりわけ

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物々交換

物々交換

早いもので、もう5月。

時折、降り続く雨と太陽が顔を出す日と入れ替わり立ち替わりで
花芽も増えているけれど、雑草も半端ない。

いつもは、5月の中頃か6月あたりに
草刈りをするのだけれど
今年は、もう少し早くやりたい…と思うくらい
雑草の背が伸びていて
オリーブ畑の奥の方まで行くのも
掻き分けていかないと前に進めないほどになっている。

「俺がやってあげるよ。」

意気揚々と、そう言ってくれたの

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気になる樹形

気になる樹形

4月も、あっという間。

いつもより暖かい…というより、暑い日が続いた初旬は、
もう夏が来たのか…と思ってしまうくらい暑かったけれど
中旬過ぎから標準を下回るくらいに肌寒い日が続いている。
お天気はいつも、読めない。

オリーブは、いつもより少し早めに花芽をつけていて
今年は早く咲くのかな…と思うのだけど、どうだろう。

日頃お世話になっている農業組合へ
オリーブ畑の状況確認という名の年会費の支払

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花の咲く時期

花の咲く時期

4月の初め。

新芽が出たなぁ…と思ってからわずか2週間ほど経って、
気がつくと、もう花芽をつけているオリーブの木々たち。

販売の方が一旦落ち着いて、剪定も終えた最近は
もっぱら、新年度の価格改定で
計算機とにらめっこをしている。

「値段を設定するのって難しいね。」友達と、そんな話になった。

これから本格的に事業を展開しようとしている友人は、
どんなふうに、そのサービスに値段をつけて良いのか

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春の装い

春の装い

3月も終わりに近づいている。

オリーブ畑は、春の装いで、
新芽が顔を出し始めた。
「今年は雨が多いねぇ。」
世話役フランコがポツリと言った。

この時期、雨が降った方が
オリーブの木々にとって良いのか否かは、
よく分からない。
ただ、ものすごい勢いで
雑草が生え始めている。

定期的に草刈りしているご近所さんのオリーブ畑には
黄色い花が咲き乱れていて
ああ良いなぁ…と思っていたら、
実は、うちの

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美味しいものは、美味しいうちに

美味しいものは、美味しいうちに

今日も、搾りたてオリーブオイルをいただく。
勿体無いような気がして、遠慮がちに使いそうになるところを
あえて、沢山使う。

オリーブオイルの賞味期限は、ボトルに詰められてから18ヶ月間の日があるけれど、
搾り取ってからまもなくのほうが、断然美味しい。
オリーブオイルは、光に弱いから、遮光性のあるボトルであっても、徐々に酸化していく。
酸化すると、香りも変わってしまうし、油っぽくなる。

美味しいオ

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イタリアの農家デモで思うこと

イタリアの農家デモで思うこと

今、イタリアでは、農家によるデモが繰り広げられている。

イタリアの各地から、多くのトラクターが出動し、トスカーナ辺りだとローマまで向かって集結し、デモを行っている。もう、何日も。

それは、ヨーロッパ共同体が推し進める「グリーンディール政策」というのに立ち向かうためである。
「グリーンディール政策」では、増え続けるとされている二酸化炭素を減らす為の対策として、家畜や肥料の制限、軽油の廃止、二酸化

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悩みどころ

悩みどころ

1月終わりのオリーブ畑。

透き通った青い空と、緑の絨毯に囲まれたオリーブのコントラストがなかなかに美しい。
遠くを見ると、パタパタと羽を羽ばたかせた沢山の鳥たちが、土を耕すトラクターの後ろを占領している。
鳥たちにとって、きっと何か美味しいものが掘り起こされているのであろう。
この時期は、畑を耕すのに良い時期なのか。
そんな姿を眺めている。

近くのオリーブ畑では、もう剪定を始めているところもあ

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どんどん値上がりする中で…

どんどん値上がりする中で…

1月も中旬が過ぎ、オリーブオイルの販売が少しずつ落ち着きを見せ始め、代わりにやってくる支払いのあれこれ。
搾油の料金、配送料、忘れそうになるけれど、会計士にも払わなくてはいけない。
請求書を見ると、今年もやっぱり、値段が上がったなぁと思う。
高くなる一方。
これからこの先、上がることはあっても、下がることはないのだろうかと、思ってしまう。
そこのところを、なんとか抑えたい。

まだ、今年度のものを

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オリーブオイルの味を楽しもう

オリーブオイルの味を楽しもう

11月から販売したオリーブオイルの注文が、ひと段落つきそうな1月の半ば。
ようやく一息つける時間が取れるようになってきた。
3年目となる今期は、ちょっと駆け足で進んだ感じがしている。
搾油の最終日が11月の2日で、フィルターにかけたのが、その1ヶ月後。

搾油してみないと分からない、その味を表現するのは、実は、難しい。
3年目にして、少しずつ、自分の手がけている畑から出来るオリーブの特徴を掴みつつ

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思いは、いろいろ

思いは、いろいろ

新年が明けた。

本当ならここで、新年の抱負だとか、今年の目標というのを書き記したりするんだろう。
最近は、新しい年だからとかなんとかではなく、その時思いついたものや事をこなすような生き方になってきている。
多分、歳をとったのだと思う。
「オリーブオイルを作るなんて、凄いですね。」とか、「夢が叶って素敵ですね。」とか、
周りの人は、私のことをとても素敵に表現してくれるのだけど、当の本人はといえば、

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2023年 ありがとうございました。

2023年 ありがとうございました。

2023年が、もうすぐ終わる。

日本とイタリアの時差が8時間だから、これをアップする頃には、日本はきっと新年を迎えていると思いつつ、これを綴っている。

年の終わりのご挨拶。

このやりとりが、なんとも好きで、
ああ、一年が終わるなぁ…という思いと、
沢山の方が今年もオリーブオイルを買ってくれた…というありがたい気持ちと、
来年は、こうしていこう…という思いと、
いろいろな気持ちが織りなすご挨拶

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オリーブオイルの現実

オリーブオイルの現実

12月も、もうすぐ終わる。
今年の冬は、適度に雨が降って、適度に晴れていて、だからオリーブ畑が青々としている。

注文分のオリーブオイルを毎週末、搾油所に取りに行く。
私がお願いしている搾油所は、作り手別にそれぞれのタンクを真空状態にし、温度調節された部屋で保管してくれている。
少しでも鮮度を保つには、ギリギリにボトル詰めをした方が良かろうと、こうして、週末になると搾油所にやってきては、フィレンツ

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