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詩 短編

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心情を詩に表わしました。 辛い気持ちを抱える方に。 勇気と笑いを持ちたい方に。
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#短編

山ペンギン 13 こんびに再

山ペンギン 13 こんびに再

売れない商品はやっばりできる。

厳選して陳列しているのがコンビニストアではあるのだが。

最近はそういう商品を買い込んで、

オレの部屋に主任が飲みに来ることが多くなった。

イマド目当てなのか、オレ目当てなのか、不良在庫の処理目当てなのかは分からないが、

居酒屋などに行けないことも一つの理由だろう。

「オレくん、これ飲みなさい!!」

もう出来上がっている。

「大体さーー。コンビニなんて

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山ペンギン 9 すりやけど

山ペンギン 9 すりやけど

イマドの腹に火傷を負った。

前日、どうしても山女か岩魚が喰いたいと言い出し、腹が立ったので

イマドの腹の毛を多めにむしったあと、毛バリにした。

その後奴がアルバイトに出掛け、ホバークラフト掃除をした結果、

羽毛が薄くなっていた腹に火傷を負って帰ってきた。

痛そうかというとそうでもない。ただ、「見苦しい」感じがする。

そもそもいつぞや感電して全身が焼けたときだって本人(鳥)は平気だった。

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山ペンギン 6 傘がない日の雨

主任とオレは同じ時間に退勤になった。

大した距離じゃないが、同方向だ。
「オレ君、今日もありがとう。」

オレのセリフだ。

「あ・・。」

雨が降ってきた。天気予報ではせいぜい曇りだったんだが・・。

傘がない。

「オレ君、折りたたみ傘なんで、濡れちゃうかもしれないけど、入ってく?」

え・・相合傘・・

「あ、じゃあ、オレ、傘持ちま・・」

イマドがこっちに近づいている。

ただ近づいてく

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山ペンギン 3 蜃気楼

山ペンギン 3 蜃気楼

蜃気楼が出た。

いきなりですまないが、出たものは出た。

険しい山の、そのてっぺんに家が建っている。

イマドが俺に「あれは何か」とたずねるが、オレにもわからない。

「てっぺんにあるのは家じゃねえか?」というと

そんなことわかってるわ・・・と言いたげな目でこちらを見ていらっとする。

「はまぐりが見せる幻らしいぞ。」と少し利口ぶったことを言ってやると

お約束通り海に走った。

しばらく静か

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