マガジンのカバー画像

詩 短編

41
心情を詩に表わしました。 辛い気持ちを抱える方に。 勇気と笑いを持ちたい方に。
運営しているクリエイター

2021年4月の記事一覧

山ペンギン 4 高速の星

山ペンギン 4 高速の星

イマドがエレキギターを弾いている。

もちろんオレのものだ。

あの手でどうやって弾いているのかはわからない。
だが音は鳴っている。

以前は通電させていたが、今はアンプはつないでいない。

ヤツの羽毛のせいか、感電したからだ。

家に帰ると何か真っ黒なくるくるに縮れた毛の塊のようなものが踊り狂っていて、

オレは自分が何を見ているのかわからなかったが、焦げ臭いので感電したイマドだと理解した。

もっとみる
山ペンギン 3 蜃気楼

山ペンギン 3 蜃気楼

蜃気楼が出た。

いきなりですまないが、出たものは出た。

険しい山の、そのてっぺんに家が建っている。

イマドが俺に「あれは何か」とたずねるが、オレにもわからない。

「てっぺんにあるのは家じゃねえか?」というと

そんなことわかってるわ・・・と言いたげな目でこちらを見ていらっとする。

「はまぐりが見せる幻らしいぞ。」と少し利口ぶったことを言ってやると

お約束通り海に走った。

しばらく静か

もっとみる
山ペンギン 2 ひろいものの蚕

山ペンギン 2 ひろいものの蚕

イマドが蚕を拾ってきた。

某まじないを知っているオレは問い詰めたが、財宝は近くになかったようだ。

飼うと言って聞かない。

「クワが無いと飼えねえぞ」

と言ったら、お約束通り鍬を5本買って帰ってきたので、そのうちの1本でぶん殴って、後の4本を返品に行かせた。

最近イマドは腹を使ったホバークラフト状の移動で体育館などの掃除を請け負い、小銭を稼いでいる。

家にはなぜか「3780円」を毎月入れ

もっとみる