【Vol.6】ペイ・フォワード⑥:「日本の賃金って低いよね」問題
noteの記事を通じて、今までずーっと「グローバル女子(グロ女)の皆さん、もっと海外をめざそう、世界で頑張ろう!」と言い続けている私ですが、それと共に、日本から優秀な人材がどんどん海外に流出してしまっていることも、危惧しています。
あれ、あなた、結局どっちなの?
デキる女性達に、もっと世界を目指してもらいたいわけ?
それとも、国内に残って頑張ってほしいの?
確かに、ちょっと混乱させてしまいますよね。すみません。
私が推したいのは、日本では学べないことや経験しえないことを、たくさん海外で学んでこよう。そして、それをいつか日本に還元しよう、ということなのです。
世界で学んだことや得たことを、最終的に日本に「ペイ・フォワード」できるのが、真のグローバル女子(グロ女)だと私は思っています。
ところで、真のグロ女とは?もっと知りたい方は以下の記事をどうぞ ↓↓
優秀な人材が海外へ流出している
昨今では、
「今の環境に満足していないから」
「今後日本の社会がよくなるように思えないから」
と言った感じで、現状に不満があるから海外に出る女性も増えていると聞きます。なぜなのでしょう。
海外在住日本人女性の1人である私から見ると、主に以下の理由が考えられるのではないかと思っています。
前章では、理由①の「日本人女性が活躍しにくい」について触れたので、本章では、理由②の「日本の賃金が低い」について触れてみましょう。
理由②:日本の賃金が低い
私が高校生だった1990年代、コンビニのおにぎりは110~150円程度でした。
そして時は経ち、2024年。
先日、久しぶりに日本に帰国したときに、何気なく1個130円のおにぎりをコンビニで購入。「こんなおいしいおにぎりがこんなリーズナブルな価格で買えるなんて、さすが日本!」と感動してしまいました。
モリモリと日本のおいしいおにぎりを食べて、一息、ふぅ~。
そこでふと、ちょっと待ってと思ったのです。
高校時代に購入していたコンビニのおにぎりが、30年以上経った今もほぼ同価格で買えるって、一体どういうこと?
● 日本の賃金は平行線
内閣官房・新しい資本主義実現本部事務局が出した「賃金・人的資本に関するデータ集」によると、1991年から2019年の賃金上昇率は、日本は1.05倍となっています。イギリスは1.48倍、アメリカは1.41倍なところを見ると、かなりフラットだと言えますね。
産労総合研究所が発表した2022年度の決定初任給調査によると、日本の大学生の平均初任給が、1か月あたり210,854円。年収にすると約253万円です。それにボーナス(夏1か月・冬2.5か月)を加えてみると、日本の平均年収は、大体約327万円となります。
一方、アメリカはどうでしょう。
Indeedが2024年に発表した、アメリカの大学生の平均初任給年収は$43,262。$1=140円で換算すると、平均年収が約605万6千円となります。
年収327万と605万。うーん、ほぼ倍違う…。
色々と考えされられますよね。
もちろん各国での生活費や住居費、雑費など違いますし、円とドルの為替レートも大きな影響を及ぼすので一概に単純比較をしてはいけませんが。
ちなみに今回は$1=140円で計算しましたが、昨今の円安のせいで、今は$1=158円程度になっているので、実際はもっと大きな差があると思います。
● アメリカの賃金事情
私はテキサス大学ダラス校のビジネススクールで教えているのですが、先日キャンパスの入り口で、下記の立て看板を見つけました。
ここには「サプライチェーン・マネジメント学科を卒業した、新卒大学生の平均年収は$76,500」とあります。$1=140円で換算すると、1千万以上!
大学生(大学院生じゃありません、大学生です)が、新卒の初任給で年間1千万円以上もらえるなんて、日本ではちょっとあり得ないですよね。
私は仕事がら、ダラスに留学している日本人女子大生達と話す機会が
多々あります。
そんな彼女達が口をそろえて言うのが、
「日本の賃金が魅力的ではないので、帰国を躊躇してしまう」
「日本で働くと、自分の業績や結果が給与に反映されるのかが不安」
といったコメントです。
せっかく海外で学んだ優秀な人材が日本に戻ってこないなんて、何とももったいない話です。
● 日本の賃金問題も、緩和傾向?
でも、そんなに悲観的にならなくてもいいのかもしれません。どうやら日本でも、ようやく風が少しずつよい方向に吹き始めたようです。
日本では今、この低賃金問題をなんとかしようと、さまざまな取り組みが行われています。
厚生労働省は賃金引上げ特設ページを開設し、賃上げを実施した企業の事例や各地域の平均賃金額がわかる検索機能などを設けて、「賃上げしようよ」というメッセージを積極的に発信しています。
また、政府は大手企業向けに「賃上げ促進税制」という新しい税制を設置しました。令和6年度の改正案を見ると「全雇用者の給与等支給額の増加k額の最大35%~45%を税額控除(企業の規模による)」とのこと。こういった政府の援助があれば、企業側も賃上げを導入しやすくなりますよね。
「日本=給料が安い」という先入観が、これから少しずつ改善していくといいですね。
海外で学んだたくさんの優秀な人材が、そのまま外に流れてしまってはもったいない!それが日本に還元されるような社会となりますように。
海外では多様性も大事。でも日本でそれをどうやって還元すべき?
次のページを見てみましょう。 ↓↓
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