【月1絵本だより】心の存在を感じられる絵本|『世界でたった一つのおうち』
クタクタになって仕事から帰ってきたら、ご飯を食べて、溜まっていた家事をして、溜まっていた勉強をして、日付が変わる頃に寝る。翌朝、疲れたが溜まっているままに起き上がり、時間に追われながら身支度をして、出かけていく。
数年前までの生活は、タスクも、疲れも、やりたいことも、どんどん溜まっていく一方だった。
整理しようにも、時間は待ったなしに過ぎてゆく。やることリストでスケジュールがパンクしそうだとわかると、げんなりして溜息が出た。疲れて、体が思うように動かない。
そうしていくうちに、いま何を感じているのか。いま、どうしたいのか。何が好きなのか。こうしたシンプルな問に対する答えに、自信がもてなくなっていった。
私は、悲しいのかもしれない。寂しいのかもしれない。怒っているのかもしれない。どうなんだろう?と。自分でも、心と体がちぐはぐしているということに、薄々気がついていた。
このように、頭の中に「よくわからないこと」が渋滞していることは、誰にでもあることではないだろうか。
私自身はというと、一難乗り越えたものの、今も似たようなことが起きることがある。けれど試行錯誤してきたおかげで、予防できたり回復が早くなったりと、自分との付き合いは日々上達していると思う。
さて、もし今の私が、いっぱいいっぱいだった過去の私にアドバイスするとしたら、伝えたいことは、たったの2つ。
ひとつは、体をほぐすこと。毎日10分でいいから、筋肉をよくほぐして、よく眠りなさいと伝えたい。当たり前のことを、当たり前にやることの大切さを軽視しないほうがいいと、声を大にして、過去の私に言いたい。
そしてもうひとつは、「良質な質問」を自分に与えること。
なんで?どうして?と、自分を責めるような質問の仕方を繰り返すことは、自己否定につながりやすくなる。これは、自分の体験から身に染みてわかったことだ。
言葉は人を救う力もあるし、刃となって深く心に傷をつける力もある。だから、自分で自分に寄り添う質問を届けてあげたいというのが、心と体がちぐはぐしていた体験から得た気づきだった。
「世界でたった一つのおうち」(さく:坂本友香、Clover出版)には、そんな自分で自分に寄り添う質問が込められている。
この作品は、家族が亡くなり、生きる希望を見いだせなくなったひとりぼっちの「みっくん」が、自分の気持ちに寄り添うことで、自分らしさを取り戻していく様子が描かれている。
さぁ、あなたの心は今、どこにあるのだろう。みっくんに向けられた質問は、読み手である私たちの心にも届いてくる。
こうした質問をしてもらえると、不思議と気持ちが緩む気がしてくる。自分を責める質問ではなく、心を開放させてくれる質問が「良質な質問」なのだと思わせてくれるのだ。
忙しくて、心を亡くしてしまうことは、この先もあるのかもしれない。けれど、多少そんな瞬間があったとしても「大丈夫だよ」と言えるように、心の存在を感じられる習慣を、自分の中に持ち続けたい。
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