ファシリテーターとグラフィックレコーダーの協働に勿体無さと可能性を感じている話(後編)
この記事は下記の記事の続きです。
前半では、ファシリテーターとグラフィックレコーダーの人が一緒の現場に入るときにこういうところにもったいなさを感じるというケースについて書いてみました。
この記事では双方がより相乗効果をあげられるようにするために、こんなことを気をつけたら良いのでは?ということを書いてみたいと思います。
ファシリテーターとグラフィックレコーダーの連携のヒント その1.
同業の人との違いを認識し、自分のスタイル、大切にしていることを明確にする。
連携のための最初のステップとして、自分がファシリテーターならいろんなファシリテーターの人の場に参加したり、一緒に仕事をしてみたりして自分の大切にしていること、自分の場のスタイルを明確にしておき、伝えられる状態にしておくこと。
ファシリテーターの中には設計も進行もファシリテーターの役割と認識している人もいれば、任された場の進行をすることだと思っている人もいますし、グラフィックレコーダーの中にも、場の設計は自分がすべきと考えている人もいれば、設計された場のゴールに向かいやすくなるようにサポートすべきと考えている人もいます。
スタイルも、ニュートラルな場づくりを心がける人もいれば、ある程度目指したい方向性へ積極的に後押しするような人もいます。捻った問いを投げかける人もいれば、シンプルな問いかけを階段のように設定していく人もいます。
当たり前の話ですが、協働の前にまず自分がその仕事で立てるようにすることが先ですし、自分のスタイル、大切にしたいことはこうですと伝えられなければ、それを一緒に大切にする人と場を作っていくことは難しいからです。
参考までに私のスタイル・大切にしていることを書いてみますが
・ファシリテーターは場の設計をすべきと考えている
・心理的安全性を高められることを最優先するタイプ
・ネガティブもポジティブも両方扱う場が好き
・参加者の主体性を発揮しやすい設計にしたい、ファシリテーターがあれこれ全てやるべきじゃないと思っている
・チームでホストするのが好き。ファシリテーターもグラフィックレコーダーも、オーガナイザーも全員対等
・グラフィックレコーディングは使う場も使わない場も好き
・心理的契約はものすごく気にするタイプ
こんな感じです。
多分、見てみて合う、合わないと感じると思うのですが、こういう合う、合わないをはっきり判断させる軸がある状態の人の方が、効果的に協働しやすいと考えています。 (グラフィックレコーダーも同様。こういうスタイルが好き、得意と言ってくれる人の方が助かります。)
ファシリテーターとグラフィックレコーダーの連携のヒント その2.
グラフィックレコーディングを何のために取り入れて、どう活かすのか共通認識を持つ
合いそうなパートナーを見つけた後の、連携の基本は、グラフィックレコーディングの目的と活用方法に共通認識を持つことです。
効果的な連携のために話せたら良いことは他にもありますが、「グラフィックレコーディングは何のために取り入れることになったのか?」と「どうやって活かすのか?」は外せないポイント。
話し合った内容をある程度可視化して残すことで、次に話すときに思い出しやすいようにするため、とか1つのテーマをどんどん深めていくためとか、この場に参加しなかった人に分かりやすく伝える手段にするためとか、SNSで広めてもらうためとかグラレコの活かし方は、導入の背景と共にしっかりお互いに認識しておく必要があります。
たまにこちらの記事で書いたような「呼べば何か書いてくれるからアサインしとこう」ケースもあるのですが、その場合であっても今回はどうやってグラレコを活かそうか?という話をするところから始めます。
ファシリテーターとグラフィックレコーダーの連携のヒント その3.
ファシリテーターが進め方に、レコーダーが残し方に主導権を持って提案し合う
更に、連携のコツとして私自身が現在、最も良いなと思っている協働方法はファシリテーターが進め方に重点を置いて、グラフィックレコーダーが残し方に重点を置いて提案し合うという方法です。
そもそもファシリテーターはプロセス設計のプロ(だと私は思っている)なので、全体的なプログラムの設計を行い、グラフィックレコーダーの方に共有をして、グラフィックレコーディングを使いたい箇所、使う意図などを伝えます。
その後、それを聞いてもらった後にグラフィックレコーダーの方から、他にどんな活かし方があるかを提案してもらっています。これまで行ってもらった提案の一例を挙げると、
・書き残す順番や位置(模造紙の) を提案してもらった
・同じグラレコ を2周、3周と書き加える構成を提案してもらって話し合いを進める方法を提案してもらった
・他の参加者が書き込める余地と方法を提案してもらった
などがあります。提案をしてもらうにはグラフィックレコーダーの方が「書くことが場にどう貢献できるのか」という視点を持ち、実践を重ねてる人でないといけないので、ある程度の経験者という前提はあるのですが、一緒に場を創っていくことができる人だと、当日の場が「何倍にもよくなるなぁ」という実感があります。
前半の記事の最初に書いた通り、まだまだ私もグラフィックレコーダーの方との効果的な協働の方法を探求しているところです。「自分はこんな風にしているよ!」というような実践をたくさん知りたいので、ぜひあなたの実践も教えてください。