対話の場は "心理的契約" を意識せよ。私が主催イベントが満席になっても決して増員しない理由
今回は、イベントなどを主催する方向けで特に「対話」の場を開く方向けの記事。( 私が自分で主催するイベントは基本的に対話のイベントです。)
対話とは、私の言葉で表現すると自分にとって大切なことを言葉にし、相手にとって大切なことも聴くこと。頭で考えたことではなく、心で感じたことを聞き合うこと。 そして言葉を交わすことで何か解を得ることを目指すのではなく、何かが生まれたらいいなぁとちょっとだけ意図するプロセスのこと。
なので、対話の場を開くときにはいかに「安心感・信頼感が高い場に設計できるか」ということをすごく意識しています。というかそれしかしていないくらい・笑。
参加者に「この場は安心だ」と感じてもらえたら対話の場は半分は成功したようなもの。参加者の満足度が「どれだけ安心して自分が話せたか。聞くことが出来たか」(+新たな視点で気づきがあったか、つながりができたか、など付随した要因ももちろんあります。) だからです。
心理的契約とは?
安心感を高めるために最も大切なことは、場を開く時の心理的契約を意識すること。心理的契約のポイントは主に2つあるのですが、その1つは告知文と当日のしつらえを変えないこと。
例えば、定員を変えちゃう、とか。人気イベントでよく見かけますが、告知文で10名と書かれていたら、「10名程度の規模なら参加したい」と思って参加している人がいるはず。少人数でじっくり話せるなら参加したいなぁとか。
逆に50名で講演形式のはずだったのに、参加者が集まらなくて20名程度でワークショップ形式になるとか。これも「講演=聞いているだけなら参加したい」と感じて申し込んだ人への心理的契約違反になります。 ( 私は、集まらなかった場合は正直に参加者に「想定していたよりも人数が少ないですが、それでも参加したいと思っていただけますか」と聞くようにしています。)
私が主催するイベントの中で最も人気が高いのは「死の対話」というイベントで約一ヶ月前〜3週間前に20名が満員になります。そのまま告知し続ければ参加者が増えるかもしれませんが、「満員になったので大きい部屋を借り直しました! 40名までどうぞ!」とは絶対しません。だって告知文に20名程度、と記載したから。 20名くらいならと思って申し込みを早めにしてくれた人に対して最も誠実でありたいので、変えない。これがポリシーです。
これ、「えー、そんなの気にしてないよ」って感じる方もいるかもしれませんが、一見、気にしていないようでも人は「潜在的に」この主催者は事前に伝えたことと当日を変える人だと印象づいてしまい、これが当日の安心感に影響するんですね。
「定員20名です」と伝えて20名集め、開催する主催者と、「20名です」と伝えておき「人気があったから50名にしました〜!」っていう主催者の場のどちらが安心感を持って話せる場でしょうか。
ここで注意いただきたいのは、あくまで「安心感を最大限高めて話しやすい場」を想定しています。繰り返しますが、私が主催する場は対話してもらうもの(私が説明したり、レクチャーしたりする場ではなく、参加者同士て話し合う時間が大半を占めるもの)なので、安心感が大切だからです。
こういう記事を書くと、たまに「いや!私はキャンセル待ちしている人にも参加してもらうことの方が大切です!」とコメントやらメッセージやらがきて困るんですが、それがあなたのこだわりならそうしたら良いと思いますよ。( 主催するのが「どんな場」でその場で「最大限尊重されるべきもの」は何かという話です。)
話がそれましたが、「心理的契約は何も定員数を変えないようにしよう!」という話だけではありません。例えば、私が参加者として過去に経験したものだと下記のようのケースも。
ある手法を体験できる場に参加しようと思っていて、全てのプロセスを経験できるという告知だったから参加したのですが、、、当日参加者の1人が途中で帰ることになったため「じゃあ今日はXXまでをやることにしましょう」と急遽変更。
( 「えっ、全部体験できると思ったから今日来たのに…」) と私は心の中でつぶやいてみましたが、伝わるはずもなくそのままその日は途中までで終わりました。
こういうのも、事前に告知文に入れておかないと心理的契約の違反になります。参加人数が○人を下回る場合、途中までしか出来ない可能性があることを予めご了承ください、とか参加者が少ない場合、事前にその旨を伝えるとか。
繰り返しますが、「告知文をみて参加者が意図する場」と「当日の場」が一緒だと参加者が無意識に安心感を感じ、その場での話しやすさに影響していくのです。
場を開くということは、細かいしつらえ1つ1つがその場に影響を与えます。あなたの開く場ではいかがでしょうか。