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職場でのZ世代との付き合い方

みなさん、職場で後輩との付き合い方に困っていないですか?今回はそんなお悩みの助けとなるような記事を書いていきたいと思います。

Z世代という言葉は耳馴染みがよいので若者を示す言葉としてよく使われています。幅は色々ありますが、だいたい1995〜2015年に生まれた方々がZ世代と呼ばれています。

医療業界でも、Z世代医師が臨床現場にデビューし、注目されています。先日、メディカルプリンシプル社とのコラボで、Z世代医師400名に意識調査をしました。この結果から学んだことをシェアしていきます。医療業界だけでなく、多くの業界の方に生かしていただける内容です。

「重視する価値観」「期待する職業上の教育」「期待する上司の姿勢」「期待する職場環境」という4つのセクションでアンケート調査をしました。

詳しいデータや考察は、講演会などでご紹介していますので是非、Xアカウントからご連絡ください。この講演は医学教育学会で発表したほか、国立大学のFaculty Development (教育スキル向上の取り組み)として招聘を受けました。

では3つのセクションに分けてZ世代について勉強していきましょう!


1. 内発的動機を支援しよう

今時の若者はやる気がなくて打算的‥と言いたいところですが、アンケート結果からは「やりがい」「他人のために行動」といった価値観を重視していることがわかりました。つまり内発的動機 (自分の中から発生した要因から生まれるモチベーション)を大切にしています。

一方、外発的動機付けは「がんばれば、金銭や権力を与えるよ」という感じです。もちろん今回のアンケートでも「金銭」は重視されていました。しかし内発的動機と外発的動機は共存します。

内発的動機に基づく行動を支援するには、以下のダニエルピンクの「モチベーション3.0」の理論が参考になります。これは現代における、やる気の維持の3原則と言ってもいいかもしれません。

1. 自律 (Autonomy): 自らの意志で選択して仕事を遂行する
2. 熟達 (Mastery): 価値のある技術を磨き続ける
3. 目的 (Purpose): 仕事の社会や環境に対する意義を明確にする

 

つまり自己決定感や、価値のある成長が大切であって、やりがい搾取的な空気を感じると、若者はサーッと引いていきます。またフェアトレードやSDGsのようなワードが飛び交い、エシカルであることが自然に染み付く時代に育ったこともひとつ特徴ですね。

Z世代の後輩に教育をするときは「自律」「熟達」「目的」を意識して接すると受け入れられやすいかもしれません。

2. フィードバックはすぐに

さてアンケート結果から「期待する仕事上の教育」として、Z世代はリアルタイムでのフィードバックを好む傾向が明らかになりました。彼らはSNSやインスタントメッセージの文化の中で成長してきたため、即時性が求められるのは自然なことかもしれません。

この世代を象徴するキーワードにFOMO(Fear of missing out≒情報を逃す恐怖)があります。自分の知らないところで面白いことがあるのが心配といったイメージでしょうか。アニメや映画を倍速でインプットしまくったりするのは、なにもZ世代だけの特徴ではなく、FOMOは現代に広く蔓延る価値観かもしれませんね。日本経済新聞電子版の広告コピーである「大丈夫になりたい。」もFOMOのひとつの形ですね。

話を戻すと、情報の遅れや逸失に対する敏感さを持っており、すぐにフィードバックやコミュニケーションを取ることが、後輩のモチベーション維持に役立つ可能性があります。

3. コミュニケーションは「非同期」「タイパ」

電話もメールも使われなくなってきたコミュニケーションツールです。

電話は、同じ時間を共有しなくてはならない「同期型」のコミュニケーションで、非同期型に比べ、時間を合わせる障壁があります。同期型コミュニケーションは相手の時間を奪うことになるのではないかという申し訳なさを生むこともあります。「そこは電話で連絡しろよ!」というシチュエーションも実は気を使ってのことかもしれません。

またメールは時間効率(タイパ)が悪いツールです。チャットで「👍」とダブルタップすればいいだけのことを、「○○病院××科△△先生机下 平素より大変…」とやるわけです。「若者からメールの返信がこない」という愚痴はよく耳にしますが、悪気があるというより価値観に合っていないという問題があるのかもしれません。逆にいうと、メールの標準的な送り方(宛名と挨拶を冒頭に書く、丁寧な文章を書く、ラリーが少なくなるよう話題を完結させる、絵文字を使わない、CC/BCCの仕組みなど)は改めて教育すべき内容なのかもしれません。

今回のアンケート調査でもまた、Z世代医師はメールよりもチャットツールを仕事上のコミュニケーションとして利用したいという結果が得られています。ということで、私の所属する部門ではシームレスなコミュニケーションのためにチャットツールを導入しとても重宝しています。

まとめ

Z世代という言葉があまりにキャッチーであり、揶揄に使われることが多く悲しんでいます。世代論は揶揄ではなく、世代間の交流のために使われるとよいと思います。もちろん世代内にも多様性があり、画一化することもまた、後輩たちの自尊心を傷つける可能性にも注意するとよいですね。
仕事での後輩との関わり方として「内発的動機を支援する」「フィードバックをすぐにする」「非同期でインスタントなコミュニケーションを活用する」ことを意識して、円滑な関係を築けることを祈っております。

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