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記事一覧

詩的計画の序

裸の切なさを共有するシステムとしての 液晶の価値を金額で比べる普遍人の情動 一匹で群れ始…

雪屋双喜
5日前
4

現像

 一人でいるとき、誰かを思い出すのは  熱と色と夏が来る期待感と切なさを  不意に思い出し…

雪屋双喜
13日前
6

天使の翼をレンタルできて 名も知らぬ鳥と似た羽を背負う時代 動かし方を忘れた後で 理論だけ…

雪屋双喜
1か月前
3

現代詩でハグして死んで

自分の恋を綺麗だと信じている10代のグロテスクな輝きが手元に無くなる虚しさが憎くて恋は全部…

雪屋双喜
1か月前
8

詩 互換性

今まで が違う私に わかる と言ってくれる優しい人に 来ないで と言えずに甘えた私に こんなこ…

雪屋双喜
1か月前
7

青春

青の色は変わっていった 水性絵の具を絞り出して 小さなキャンパスに 傷をつけながら塗りたく…

雪屋双喜
1か月前
4

【現代詩】十分な自由

配慮と邪な優しさは裏を返しても十分な人間らしさを持ち合わせている。想えば色が変わるなら心はきっと恋をした。指先の震えが文字になるなら絵描きはきっと心をどこかに奪われて不自由に帆を立て波を切り遠くの蛍を頼りに泳ぐ。溺れるほどに光は滲み幻想の主体が表現を曇らせる。第二の自分を仮定した不確実な世界に分け入る身代わりをここに与えるそれが創造と破壊の同時性を僅かに歪める。 安寧で満ちる欲を持ち 空腹を恐れた我我が 詩をかたる 求めた先は、知らぬ何かの腹の中 飲まれて漸く自分を見知

恋を愛して乙女よ歩め

あたしもあなたもあの人も いつかに向かって歩いてく 夜を猶予う春風に 私は心を預けては ま…

雪屋双喜
2か月前
1

甍を越えた蝶 果てを探る冬蜂 燭台を倒した春風 気紛れに夜を泳ぐ 純粋よりも強かな殺意に …

雪屋双喜
2か月前
6

現今

ずっと誰かの記憶を見た。 白鷺が首を縮めて飛び往く姿。 電線の先の油彩のような月夜。 紫陽…

雪屋双喜
2か月前
8

沈黙

揺らぎの隙間の同時性を持った緊張 乱視の混じった視線の先には たった今気が付いた他人が見え…

雪屋双喜
3か月前
7

十五月の指先にあなたがいますように 小声の唇に揺れる吐息が頬を撫で 瞬きの一つが時間をつく…

雪屋双喜
3か月前
12

ファティマ

あなたは言った。私の頬を左の手で触りながら。 砂漠の光が舞う。あなたは言った。私の頬を左…

雪屋双喜
3か月前
7

詩 帆

人を待つ。 雲が動く。 少しだけ、夢を見た。 これは長い抒情詩だ。 色褪せた表紙もない物語だ。 伝わることのない震えだ。 小振りの筆で色濃く描く。 想い出しながら。 意味付けながら、意味を探しながら。 ゆっくりと。 海月のない空を眺めていた。 春が日常を変える前に、この景色を憶えていたかった。 机の端の落書きがいつまでもあるみたいに。 欠けたコップが捨てられるみたいに。 動物を育てるなら何がいいと尋ねる。 知らない何かに心が拒絶する。 戸惑ったままに可能性を遠ざける