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沈黙

揺らぎの隙間の同時性を持った緊張
乱視の混じった視線の先には
たった今気が付いた他人が見える

零下に抗う指の伸びた先が
声よりも早く
視線には追い抜かれ

でも確かに

その靄のような形を
廃墟の実存と為して
世界から切り取るのは

言葉のそれのように
暖かで緩やかな不完全性と
冷酷で国境に線をわざと引く諧謔性と

遠くの蛍に似た思考の停止が有りました

答えのない沈黙の後で
口を開くことに言い得ぬ恍惚を感じ
戒めのような愛を科していく

ああ
やっと

沈黙の中に
自分がある



沈黙 2024.2.13
雪屋双喜
言語的な沈黙の限界の先に求める何かの一形態としての自分。
見たいと思って見えたものなど、やはり幻想だろうか。

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