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ほんとうの私は、、、。読書記録 i(アイ)

読書記録 あいi
西加奈子先生著
発行元 ポプラ社
発行年 2016年

久しぶりの読書記録です。
このところ、本を読んでも心にコツンと何か残ることがあまりありませんでした。

やっと、記録に残しておきたい本に出会いました。


そして西加奈子さんの作品を読み記録を書くのは3冊目。

人から癒される存在として見られることを問うた
ふる    






家族、海外生活、多様な価値観の中で成長する物語

サラバ





今日の記録は、
i (アイ)
ある少女の心の旅かな。



◎あらすじ
アイは高校生の女の子。ただ生まれはシリア、父はアメリカ、母は日本だ。

アイはまだ乳幼児のころ、今の両親のもとにきた、養子だ。

両親は経済的にも裕福だったし、アイのことを心から愛してくれた。



アイは聡明な子だった、両親の愛を一身に受けて、自分のことより周囲の人のことを考えた。


小学校まではアメリカ、ニューヨークで暮らし、色々な人種のカラフルな世界があたりまえだった。


そして、自分のような肌や髪の色の違う両親の元で育った里子も珍しくはなかった。


しかし、父の仕事の都合で日本に帰った中学では、アイは特別な存在だった。

どこにいても目立った。

ただ、私立の中学で制服があったのはアイを安心させた。これを身につけていれば、みんなと同じだから。

でもそんなアイを孤独感がつつんでいた。

そして、アイは自分1人の時間が多くなり、数学を解いている時間が好きになっていた。


付属ではない進学校を受験したアイは高校生になった。


ある日、数学の授業の教師のことば、

「アイi (複素数)は、存在しない」

に、胸をつかれる。

その後、アイはいくつかの出会いを通して、、、。





◎気になった箇所
✴︎本文 7ページ
アイはだだをこねて両親を困らせるようなことはしなかったし、嫌なことをじっと我慢した後も、チョコレートドーナツやブライス人形などの見返りを求めなかったそうだ。

だが、アイには分からないことがあった。グッドガールだった自分は、ナチュラルにグッドガールだったのか、それとも「そうでなければいけない」と思っていたのか。



✴︎✴︎本文37ページ
ミナは皆が敬遠するタイプの子ではなかった。大人びた容貌とは違って、ミナはとても無邪気で子どもっぽいといってもよかった。
一中略一
「アイと友達になる」と決意して話しかけたのではなさそうだ。ただ単に聞きたかったのだ、生物室はどこか、と。その自然な態度はアイの輪郭を柔らかくした。アイとミナは友達になった。


◎感想
✴︎子どものいない夫婦が養子をとることは、珍しいことではないと、思う。むしろ少子化に拍車がかかる今、経済的、身体的理由が備われば、私はもっと子どもを育てたいと思う。いや今からは体力的に無理だから、過去形ですげど。

でも、子どもをどう育てていくかは、やはり今の日本が置かれている現実を見ながら、時にはこころのケアも必要だろう。

みんな同じであることが暗黙の了解だったりする中、自分だけが養子であるということで、心理的な抑圧がかかってしまうもしれない。常に自分の存在意義を確かめたかったアイは、ありのままの自分でいられる場所がほしかったかもしれないなあ。



✴︎✴︎
アイには、養子であるということに加えてシリア生まれの中東の人の容姿が加わり、集団では目立つ存在だった。
そんなアイに意図的にではなく、自然に声をかけてくれたミナに好感をもったようだった。

友達って意識して作る、、っていうより同じ場所、同じ経験をする中で何気ない話を重ねていって、ふとした瞬間のひと言に、心地よかったり、そうなんだ、私もって笑いあえるそんな関係の人がいたら、いいなあと年齢を重ねた今は思える。


やっぱり、日々の暮らしは好きなもの、愛すべき人に出会うためなのかもしれないなあと、本を閉じた今は思うのです。

◎今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。

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