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読書記録 サラバ

読書記録 サラバ
西加奈子さん著 小学館 2014年


西加奈子さんの本を読むのは、「ふる」以来です。


図書館でこのインパクトのある装丁を見て、心が少し刺激を受けそうな予感がしました。

そして上下巻がある単行本、久しぶりの長編にちょっと心躍らせながらページをめくりました。



◎あらすじ
主人公は圷(あくつ)歩。父の海外赴任先のイランで生まれる。家族は父母と4歳上の姉。そしてメイドと運転手。


平穏だったが幼稚園に行っていた姉は気性が激しく、母を手こずらせていた。姉は偏食で母の作った料理はほとんど食べなかったし、気に入らないとすぐ癇癪を起こした。



主人公の歩は家庭内の姉と母のいざこざに巻き込まれないよう、常にいないかのように振る舞っていた。そして父は一緒にいたが、その心は更に歩よりも家庭から遠かった。


歩は父の赴任先がエジプトになった時、小学生になる。姉もいる現地にある日本人学校に入学し、穏やかな歩は、友達ができた。


しかし、一番仲良くなったのは、偶然出会ったエジプト人のヤコブだった。

ヤコブと歩は毎日、広場で待ち合わせ通りのあちこちを歩いた。

またヤコブの家に行き、人懐こい家族と談笑した。歩はそこでは、安心して笑うことができた。夢のような楽しい時間だった。

2人は毎日別れる時に、

サラバ!

と、言って別れた。ヤコブがこの言葉の語感が気に入ったからだ。

サラバ!
サラバ!

2人は出会いと別れを繰り返した。

しかし。それも終わりになる時がくる。父が東京に戻ることになったのだ。

歩はエジプトから離れること、大好きなヤコブと別れなければならないことが、辛く悲しかった。


この後日本に帰ってきて、中学、高校と成長していく歩と、姉、母、父の家族一人ひとりの成長と変遷の物語。




◎気になった箇所
あなたは、あなたの信じるものを見つけてほしい。

そしてこの物語に、信じるものを見つけることが出来なかったのであれば、他の物語を読んでほしい。

この世界には、数えきれないほどの素晴らしい物語が存在している。何を信じるのかは、いつだって、あなたに委ねられているのだ。









◎感想
前半は歩の成長を眺めているようで、心穏やかに読んでいました。後半はちょっと、どうなんだろうと、歩の生き方に疑問を持ちながら、姉の成長にも驚かされました。

これから、人生の熱い季節を迎える、高校生いや大学生の私に読んでほしい本です。

人間の成長について、考えさせられました。

人は皆社会の中で生きていく。社会の最小単位は家庭だと思う。家庭の中で、人と人との信頼関係を作るための基盤が必要らしい。

しかし、実際には病気を持った人、生まれたばかりやてがかかる子ども、など家族は色々な人で成り立ってるから、いつも安心した場所とはかぎらない。

そうは言っても、ずっと波風を立てないようにしていると、自分の感情を押し殺したままでいると、自分で自分の気持ちがわからなくなる時がある。

だから、誰でもいい、どこでもいい、自分の気持ちをそのまま出せる場所とか、人とかもてるといい。

それが、どこか、探すのも、選ぶのも自分なんだと思う。

◎今日も私のnoteを、読んでいただきありがとうございます😊

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