中途採用の面接官に「感動した」と言ってもらえた1通のメール

わたしの書いた1通のメールで、中途採用の面接官から「感動した」と言ってもらえた出来事がある。

ある制作会社の選考を受けていた。2次選考では、面接と1時間半の課題があった。課題は、テーマに沿ってWEBメディアの企画と500字程度の記事を作成するといった内容で、ここ数か月出せなかった集中力をだして取り組んだ。企画と記事が完成したのは約5分前、かなりギリギリだった。それでも自分としてはなかなかいい企画ができたと感じた。記事を読み返しながら「おもしろいねとか、いい着眼点だと褒められちゃうかも」「ひょっとしたらその場で採用が決まってしまうかも。。。」と1人ワクワクしていた。

課題終了後の面接では、企画内容を3人の面接官にプレゼンした。正直自信はあった。ただ、面白いねぇと笑ってくれるはずの面接官の表情は変わらず、じっと企画書を眺めている。しばらく沈黙が続いた。こちらから話すわけにもいかず、だまっている。真ん中にいた面接官が突然口を開いた。

「この企画、だいぶ絞り込んだタイトルにしていると思います。WEBメディアだと定期的に更新していく必要があるけど、ネタ切れになりませんか?」

うかつだった。企画内容はバナナ×サラリーマンをテーマにしたWEBメディアにしており、かなりターゲットを絞り込んでいた。その鋭さを面白いと言ってもらえるかと思ったけど、メディアの更新について全く考えられていなかった。どうにかしどろもどろになりつつ返答したけど、プロである面接官を納得する回答はできなかった。

面接終了後、これは落ちたんじゃないかと思った。志望度は高かった。面接官の雰囲気もよく、仕事内容も興味あり、直感的に「ここで働いてみたい」と思った。それでも、企画に対する質問に上手く答えられなかった。気づけばお昼過ぎだったので、近くのカフェに入った時あるひらめきが浮かんだ。

面接で質問に上手く答えられなかったなら、これから答えればいいんじゃないか?私はPCを開き、質問に対する回答をメールに打ち込んだ。会話と違って、メールだとたくさんアイディアが浮かんだ。もちろん送っても、見てもらえるかは分からない。そもそもこのメールアドレスは人事宛のもので、面接官に直接届かない。もしかしたら、面接後の後出しはルール違反なのかもしれない。色々不安はあったが、とりあえず長文メールを送信した。

返信があったのは、翌日の17時半だ。ひょっとしたら合格通知か、いや結果は1週間後と言っていたし不合格通知かも……。ドキドキしながらメールを開けた。メールには結果の通知は一切なく(面接で1週間後に通知すると聞いていた)、なんと面接官からのコメントが記されていた。

どうやら課題に対する追加レポートを送ってきたのはわたしが初めてだったらしく、「感動した」と言ってもらえた。感動していただいたおかげか、追加で出したアイディアは総じて褒めてもらえた。そして積極的なアイディア出しをする姿勢は素晴らしい、浜川さんのやる気とレスポンスの速さは編集者に向いていると言ってもらえた。私と同じくらい長文のメールだ。面接中は鋭い指摘が多く、あまり笑顔を見せない面接官だっただけに、熱のこもった返信をいただけたのはすごくすごく嬉しかった。仮に不合格になってしまっても、まあいいかと思える嬉しさだ。

「好きなことだけして生きていけ」と話す人の気持ちがわかった気がする。好きなもの、好きな人のためなら、プラスアルファの行動が自然とできる。今回の追加レポートも、まさか面接官に感動したと言ってもらえる行動だとは思わなかった。落ちたくない一心でひねり出した思い付きだ。ただ、何となく受けている企業では、こんな行動には出なかったかもしれない。やっぱり、スキってすごく大切だ。

これからも、自分が好きだと思えるものに全力を注げるような人生にしたいと改めて思った。

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