”一生の友達”からの1通のメールで、友情を知る
わたしには10年以上前から「一生の友達」がいる。
小学校を卒業する日、女子たちは卒業アルバムをもって歩き回っていた。後半にある空白のページに、みんなからメッセージを書いてもらうためだ。
いつも一緒にいたグループの子はもちろん、たまにしか話さない子や友達の少ない子にも、そして男子にも書いてもらった。高学年に入ってからはまともに男子と話せなかったのに、アルバムと「最後だから」という気持ちで15人程度は集められた。
メッセージの中で、特に印象的なものがある。同じグループに所属していたレイちゃんからの言葉だ。
この一年は笑ってばかりで楽しかったよ!ゆき、本当にありがとう!!一生の友達でいようね。本当にありがとう♡お別れは悲しいなあ…また会おうね(*‘ω‘ *)
わたしとレイちゃんが所属していた女子グループは、いつも些細なことで2つに割れて先生の説教を食らっていたので、「この一年は笑ってばかり」というのがいつを指しているのかは不明瞭だ。それでも長い時間を過ごした彼女からの感謝の言葉は純粋にうれしかった。
時は過ぎ、中学生のとき。メール全盛期だったあの時、女子たちはムダにアドレス変更を繰り返していた。わたしもその一人で、アドレスの中に「v3v」「ouo」という顔文字をどうしても入れたくて、アドレス変更に踏み切った。
10人ずつくらいのグループを作り、地道にメールを送り続けた。送信作業を5回ほど繰り返すうちに、1通のメールが届いた。レイちゃんからだった。卒業以来、レイちゃんとは会えていなかった。私立の中学はどうだろうか?彼氏はできたのだろうか?聞きたいことを浮かべながらメールを開く。
このメールアドレスは存在しません
……
……え!?なんと、レイちゃんのアドレスは既に変更されていたのだ。アドレス交換していたのに、わたしに知らせることなく……。たまたま抜けてしまったのか、もう連絡する用なんてないと思われたのか、そもそもアドレスなんて登録されていなかったのか…。今となっては、送信エラーの理由は知る由もない。
あれから約13年、一度もレイちゃんと会うどころか、連絡もついていない。携帯電話からスマホに変えたタイミングで、私の携帯からもレイちゃんのアドレスは消えた。SNSで発見しない限り、わたしとレイちゃんは会うことはないだろう。きっともう会えない”一生の友達”というのは、はかない友情なのか、むしろ強く結ばれた友情なのか。。レイちゃんはどう思うか、ほんの少し気になった。
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