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✈️5/11-5/14 ベルリンでの観劇記録2

うおーーー脳の記憶をnoteに転送していくぅ!
今回はウィーンからベルリンに戻ってTheatertreffenが始まった時期にみた3作品を紹介する。

Das Vermächtnis (The Inheritance)

観劇日:2023.5.12
場所:Haus der Berliner Festspiele
価格:?

サイトの中で『エンジェルスインアメリカ』の後継とも言われている本作品は、ニューヨークのゲイコミュニティを描写する7時間の長編である。元々見るつもりはなかったのだがチケットをもらえることになり急遽観劇。
劇中劇の手法を取る。今我々は演技をしていますよ〜というのを作品の中で言ってしまうし、物語が行われている端では登場人物以外の黒服の男性たちがその様子をじっと見ている。舞台に枠があり、その枠の中では演劇が行われ、枠の外の人物は芝居の外にいる、という構図がはっきりとしていた。
主人公は早い段階で自分がエイズであることを医者に告げられるのだが、そのあとに若いパートナーと出会って関係を結んでしまう(理解が正しければ)。若いパートナーにとって主人公は本などを買ってくれる父親のような存在でもあり、恋人としての慕いもある。ある時、主人公は自分の死期を悟ったのか忽然と姿を消してしまう。その間にパートナー側のエイズが発覚する。主人公の友人が探し出して二人は再び再開するが、パートナーは主人公に強く抱擁したあと、ビンタをし、やりきれない感情が止まらず何度も叩いてしまう。6時間くらい見てこのシーンが来て、パートナー側の感情に観客も沿っていたような気がする。
ただ、この作品を7時間もかけて演劇でやる意味は?と問われるとなんとも言えない。もう少し短縮することはできなかったのか。元々Howards Endという小説、映画が原作らしいがあらすじ読んだらほぼ内容が違くてオリジナルって言ってもいいレベル。ラストの樹と家の廻る舞台セットは映像的というか確かに映画っぽいとも思った。題材と作品の長さが珍しがられてTheatertreffenに選出された可能性はなきにしもあらず。
時には全裸になったり、ベットシーンもあったり、友人の結婚式のシーンもあり。さっきまで熱心に演じてたのに急に「今の芝居どうだった?」と言わんばかりに役者が素に戻ることがある。
あと、休憩中にネットで「ドイツ ラブホ あるのか」って調べてしまった。なぜかというと主人公と主人公の若いパートナーのいる部屋が、こうピンクっぽい照明のエロスな雰囲気のいかがわしい感じの部屋だったので、これが主人公の部屋だとは思えなかったから。でも、調べた結果そんなものはなかった。というか原作はアメリカの話だし。(ちなみにアメリカにもないらしい)

Ophelia’s Got Talent

観劇日:2023.5.13
場所:Volksbühne
価格:16ユーロ

昨年京都エクスペリメントに『TANZ』が来日し一部で話題になったホルツィンガー。私も気になってはいたものの予定が合わず行けず後悔していた。今回Theatertreffenに選出され、ベルリンで見ることができた。過激な演出だとは知っていたのだが、想像の100倍過激だった。
まず、最初に果敢に現れたホルツィンガーはほぼ素っ裸だった(!?)というかこの作品に出てきた人物は最終的にほぼ裸になった。
3人の審査員が現れ、オーディション番組である「ゴットタレント」を模して作品が進む。何人か変わった人が出てきては審査員があれこれ言う。剣を丸呑みし、胃の中には魚が泳いでいる人、水の中で何秒息を止められるか挑戦して失敗し舞台裏から救助がきた人(どこまでガチか分からない)など。作品全体をとおしてカメラマンがパフォーマーを近距離から捉え、舞台横の2つのスクリーンに近距離からの映像が出るので遠い席からでも迫力を感じられる。
章が進み、徐々にゴットタレントの番組の形式は壊れ、出演者もどんどん出てきて舞台上にはプールが現れる。プールでは魚釣りをし、裸の人たちが一列でラインダンスし、泳いだりする自由さはカオスである。でもこの時点で自分が服を着ていることがバカらしくなるような、ただ座ってじっとしている自分が醜いような、不思議な感覚がある。実際そのくらいのタイミングで「客席から舞台上に上がりたい人はいるか!」と募られ、手を挙げた女性二名が連れて行かれ裸になって出てきた。私は流石にそこまでの勇気は出ず。

この作品は下手にやるとグロエロのショーなのだが、その中に神聖さがあるからホルツィンガーは面白い。例えば、裸なことにしたってその状態がありのままで惜しげもなくパフォーマンスしているから、だんだん聖母マリア様や、有名な美術館にあるような聖なる存在としての裸体に見えてくる。最後の方で、ヘリコプターの上での 集団オナニーのシーンがあるのだが、ここまで見ると不思議と下品には見えない。
下品ではないが、その上でもショーとしての見応えは凄まじい。女性が横たわり、料理人?の女性が女性のことを魚を捌くようにしてナイフで鱗を取ったり切っていく動作をする場面や、かなり際どい姿勢を取りカメラマンもその様子を近距離で収めながら自分の生い立ちなどの深刻な話をする場面、手を念入りに消毒したかと思えば唇の横に大きなピアスを力技で開け(もちろん血が出る)観客がみんな息を呑む場面、お尻に専用のタトゥー彫り機でその場で海賊のマークを入れられる女性の場面、などとにかくカオスなシーンはたくさんあった。
中盤で客席の仕込みの子役7人くらいが舞台に上がり、ラストのシーンでは子役たちは水着を着て舞台上のプールで泳ぐ。この時点での舞台は途中で上から落下してきた大量のペットボトルや、たくさんの人が泳いだ痕跡として真っ赤になった水などで散乱している。子供たちが泳いでいたプールは赤くなっていない方のプールだったが、環境汚染された水で泳ぐ魚を想起させられた。子供たちはこの作品についてどう考えているのかは気になる…。怖くないのか。

DIE DREIGROSCHENOPER

三文オペラ。ダンジョン、秘密基地のような独特なセットの中で進む。衣装も現代風で、最初ポリーは登場の時ウエディングドレスを着ていて夢見心地の少女感を増幅。ルーシーも蛍光色のジャケットを着ていた。
目を引くのはメッキースの圧倒的チャラさ。もちろん役柄的にちゃらいのだが、歌も身のこなし方も軽くて、渋谷にいそーなあの感じ。
歌は、役者全員飛び抜けて上手いってわけじゃない。ただそこがアンチオペラというか、貧民のためのオペラっていう趣旨と合っている気がする。
やっぱポリーとルーシーの嫉妬の歌、からの和解しメッキースの悪口で盛り上がる感じ面白いな。ルーシーがお腹の中のタオル出して妊娠してるフリをポリーに明かして、空気がふっと緩み距離が縮まる。女性が一番距離が縮まる話題は男性の悪口であることは今も同じである。
メッキースは脈絡なくいきなり解放されて財産もめっちゃ与えられて謎のハッピーエンドを迎える訳だけど、このオチ面白いなーと。三文オペラって面白いんだなーという感想。

この週会った人
Theatertreffenの会場でぽつぽつ会った人はいるけどこの週でちゃんと話した人はいなかった!強いて言うなら大学の友達と電話して夏休みの企画について打ち合わせした!帰国後も忙しくなりそうだ!

次回→✈️ブリュッセルでの観劇記録
倉田翠/akakilike『家族写真』庭劇団ペニノ『笑顔の砦』Kate McIntosh"Lake Life"Lara Barsacq"La Grande Nymphe"を観劇しました。ブリュッセルは観劇には恵まれ本当に素晴らしい体験をしましたが、他の場所で色々あり大変でした。

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