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めんどくささを愛でに。③

今回の #週1note は「自分の好きなこと」について3週にわたって書くスピンオフ企画です。

統一テーマは「フジロック」。

第1回は「洋楽・ジャンルの広さ」、第2回は「散歩・広大な土地」について書きました。

最終第3回は、「年間遊べるコンテンツ」と題して。

フジロックの初日は「年明け」

第1回で、フェス好きの人でも「フジロックを特別視していて、みんなとても楽しそうにフジロックのことを語る」と書きましたが、そんな話をしていた人の言葉の中で印象的なことがあります。

それが、「フジロックの初日は『年明け』」だと、「私の一年は『フジロック』を中心にしてまわっている」と。

フジロックを体験する前に、最初それを聞いたときは「そんな大げさな」と正直思ったんですけど、今はその言葉が理解できます。

確かに、今や僕にとってもフジロックは1年を通して楽しめるコンテンツであり、ならばフジロック初日は「年明け」だなと。

1年を通して楽しめるコンテンツ

カレンダーに落とし込むとこんな感じ。以前を思い出して書くので、細かい時期は異なるかもだけど。

■12月~
この時期になると、次回のヘッドライナーは誰か?という議論が各所で巻き起こります。海外アーティストの多くは、新譜のリリース後、ワールドツアーやアジアツアーの一貫としてフジロックに出演したりします。

今年だと、ビリー・アイリッシュのアジアツアーで一部日程が空いていたからフジロック来るんじゃないか説がありました。(横浜アリーナでの単独公演になったね)

このヘッドライナー予想は邦楽フェスにはない特徴だと思います。

■2月~
祝・第1弾アーティスト発表。予想当たった!外れた!意外なところが来た!とか。2019年のSIAは予想外だったらしいです。SIAはこれが初来日、しかもその夏は、フジロックでしかフェス出演していないとか。

第1弾だと、だいたい発表されるヘッドライナーは1組か2組。残りのヘッドライナー予想が白熱します。

UK勢が多かったから、残りはUS勢じゃないか?まだロックが来てないから、最後はロックじゃないか?とか。

基本第1弾では、海外アーティストオンリーの発表。僕はかろうじてヘッドライナーの名前を聞いたことがあるレベル。なので予習にふけります。

また、フジロックと同週あるいは前後週の海外フェスのラインナップも出始め、(地理的に出演が)ナイネ枠とかが見えてきます。

■3月~
この頃になると、諸々の手配が本格化してきます。

第1弾発表のときに、早割として安いチケットが数量限定で販売されますが、じぇんじぇん当たりません。

入場チケットを買ったり、キャンプチケットを買ったり。宿の争奪戦(なんなら年明けくらいから)。オフィシャルツアーの予約も始まります。

僕は入場チケットの他、新宿からのバスと、ピラミッドガーデンのキャンプチケットを手配しました。

で、手配すると本格的に当日のことを想像し始めますよね。

あー今年はキャンプにあのギアを持っていきたい、あれを新調しないと、とか。

僕は昨年トレッキングシューズがぶっ壊れて、足の甲が擦りむけっぱなしと、地味に辛い目に合いました。次はどんなシューズを買おうかな。

あとヘリノックスが禁止になったので、イスも探さないと。

■6月~
ほぼすべての出演アーティスト・日割りが発表されます。お目当てのアーティストの時間帯が被らないでくれと祈ります。

邦楽勢なら、ここで見逃しても他のフェスでとか、来年に持ち越しとかできるけれど、洋楽勢ならここを逃すと次はいつになるかわからんのです。

2020年2日目のヘッドライナーであるTHE STROKESは9年ぶりだそうで。

今年だと、僕は3日目の忌野清志郎 Rock’n’Roll FOREVER、電気グルーヴ、FKA twigsがどういう割り振られ方になるのか恐れています。

前者2つはダブルヘッドライナーなので、グリーンの最後だとして、FKA twigsはどうなるの?グリーンだと嬉しいけど、ホワイトで時間帯も前者2つに挟まれる予感しかしない。。。

そして予習も加速。本格的にギアを揃え始めます。

■7月上旬
タイムテーブルも発表され、日々どうやってまわろうか妄想。

「いやこことここ、どっちも観たいけど、この時間帯だとホワイトの道混むから無理やん」

「このマイタイムテーブル、絶対途中で力尽きるやん」

「いつお風呂入るねん」

そしてワクワクしながらパッキング。絶対何か買うもの忘れてるという疑念。この頃にはもうフジロックのことしか考えてないです。はい。

仕事の調整も(何なら年中この時期はいねえと言っている)。

■前夜祭
実は昨年初めて前夜祭から行きました。集まったみんなが明日からの本祭を待ち望んでいる感。想像以上の高揚感。なるほどこれは大晦日。

■フジロック当日
年越しです。明けましておめでとうです。3日間朝から深夜・早朝まで悔いなく楽しみます。

フェス飯を食べ、予定外の刺激的な音楽に打たれ(2018年はボブ・ディラン観るかーと思っていたものの、道中別のステージのMISIAの最高のグルーブに心わしづかみにされ、結局最後までMISIAを楽しんでボブ・ディランは大幅に遅刻)、バカみたいに歩き回り、深夜にくたばる。

主に洋楽について話しているけれど、大好きで何度もライブに行っている邦楽勢がフジロックのステージに立つのを観るのも感慨深いです。

僕の中での二大巨頭であるスガシカオ(ホワイト)と長澤知之(アバロン)が昨年初出演だったのだけど、とても印象的だった。言葉に出来ない感覚。いつまでも記憶に残るのだろうな。

そんで3日目の正午くらいからおセンチになります。

でも夜にはまたぶち上がるのです。

■フジロック後
めちゃくちゃ予習したつもりでも、本祭中には新しい発見があります。

「ライブ版が最高だったあの曲はなんだ?」

「通りがけだったからちょっとしか観れなかったけど、あのバンド最高だったな」

本祭を通して感じた音楽を、自分の血肉とするのです。復習です。

改めて知ったアーティストたちの色んなアルバムを漁り、他に来日公演ないかなとか。

秋・冬になると、昨年までにフジロックに出演し、自分の血肉となったアーティストの来日公演が誰かしらあったりします。

そんなことをしていると、また来年のヘッドライナー予想の時期になっちゃっています。

終わりに

こんな感じで初めて行くまでは「本当にそんなに楽しいの?」「行くのにハードルが高いんよなあ」「邦楽しか普段聴かないだよね」と懐疑的だった僕ですが、今では年中フジロックのことを考えてしまうのです。

確かにフジロックはハードルが高い。他のフェスと比べてお金もかかるし(僕でだいたい10万円くらい)、1日だけというのもあまり現実的じゃないから3日~5日は不在にしないといけない。

行くことを決めても最寄り駅から50分ほどバスに乗らないといけないし、バス降りてからエントランスまでクソ遠いし、中に入ったら入ったでめちゃくちゃ広いし。あと馬鹿みたいに毎年どこかで豪雨になるし。

そんなめんどくさいフェスだけど、めんどくさいからこそ思い出に残り。他には代えがたいものを感じていて、愛でるために毎年戻ってくるんだろうな。

現在3時26分。深夜のテンションも相まっているけれど、思っている以上に僕フジロックのこと好きだな。そしてらしくない文体で、3000字超えちまった。


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