データサイエンス最前線

プロファイリングとは何か?


 「プロファイリング」とは、AIが個人や企業のプロファイルを推測するための手法だ。
 このために、検索履歴やSNSのデータ、ブログ等の媒体を通じて発信される大量の非構造化データ(つぶやき,音声,画像など)などのビッグデータが用いられる。
 プロファイリングが正確にできるようになれば、個人の性格や嗜好意見などを推測したり、個人の行動を予測できるようになる。したがって、さまざまな場面で個人個人に合わせた対応が可能になる。

 この技術が最初に用いられたのは、下記のように、広告の分野だった。ユーザの個性に合わせ、一人ひとりの好みに合わせて広告を出すのである。
 最近では、広告以外にもプロファイリングの応用が広がっている。
 選挙にも利用された。政治的なメッセージを、誰に対しても同じものを送るのではなく、個人に応じたものを送るのである。
 プロファイリングの技術は、保険でも利用されている。自動車にセンサーを搭載し、運転の状況によって保険料を変える自動車保険がすでに提供されている。また、血液検査などのデータから、保険金の支払いを自動的に変える保険も登場している。
 金融機関が融資の判断に個人の信用度を算出する試み(スコアリング)も始まっている。また、医師に代わって病気を診断することも試みられている。

◇プロファイリングによるターゲティング広告で成長したGAFA企業
 プロファイリング技術を事業活動にどれだけ応用できるかが、企業の発展にとって重要な意味を持つようになっている。
 事実、グーグルやフェイスブックなど「GAFA」と呼ばれる企業は、プロファイリングを用いた広告によって急成長してきた。
 グーグルの検索履歴や、フェイスブックの「いいね!」のデータから、その人がどのような人であるか推測できる。そのデータを用いて、個人個人に合った広告を送るのだ。
 これは、ターゲティング広告(「狙う広告」)と呼ばれる。

 ターゲティング広告は、配信対象ユーザーを区切り、最適な広告を届けることだ。その商品に興味があるユーザーを対象に広告を配信する。

 これは、「セグメンテーション」と呼ばれる手法だ。
 これが重要であることは、昔から知られていた。ただし、問題は、セグメンテーションをするための有効な手段がないことだった。インターネットの登場によって取得できるユーザー情報の量が飛躍的に増加したため、より正確なセグメンテーションとターゲティングができるようになったのだ。

 日本経済新聞(2018年9月3日)によると、 国内のネット広告市場の規模は、2018年には1兆4397億円になるが、このうちターゲティング広告が1兆1千億円となり、ネット広告の8割になる(なお、アメリカでは、16年にネット広告費がテレビを上回った。日本でも、ネット広告全体はすでに地上波テレビの約8割になっており、数年以内にテレビを上回ると見られている)。

参考文献
AI 入門講座』(東京堂出版、2,018年11月)、第3章

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