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旅行記 ヨーロッパ短期旅行最終話

早く目が覚めてしまった。私は顔を洗い、着替えを済ますと荷物を持ってロビーに向かった。手早くチェックアウトを済ますと私は駅へ向かった。飛行機へは時間の余裕があったので最後少しだけ寄り道することにした。目的地の駅に着いたあとしばらく歩くと次第に木々が生い茂った場所が近づいてきた。ここは墓地だ。有名な墓地らしいが名前を忘れてしまった。墓地の管理所に荷物を預けさせてもらい中を見学した。美しい糸杉の木立の中に様々な形をした墓地があった。キリスト教、ユダヤ教、イスラム教、仏教。ほぼすべての宗教の墓をみることができた。人間は生まれ死ぬ。宗教は死後の世界を仮定し人間の生を導いてきた。貧しき者も富めるものも等しく死に地上で得た宝は無に帰する。私たちの生活は死から遠のきすぎたのかもしれない。死を意識せず無いことにしてるのではないだろうか。死を意識し地に足をつけて生きれば、なんとかこの人生乗り切れるかも知れない。旅行終わりに若い私はなぜかそんなことを思った。
モンマルトルの丘の方に飛行機が一機キラリと光った。鉄の大きな船は私をまた遠い現実へ運んでいくだろう。

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