Yukinsky

はじめまして。旅行と洋服好きのサラリーマンです。日常や自分の体験したことを文章にしています。宜しくお願いします!

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最近の記事

情けは味方、仇は敵なり

これは私が学生時代、就職活動をしていた時の話である。当時私は留学から戻ってきて就職活動を始めたため、その遅れを取り戻そうと毎日説明会と面接に参加するばかりの日々を送っていた。一生懸命にやるのだが、毎日繰り返される似たような人事の説明と就活生による同じような質問が繰り返されるのを見て、つまらない、やってられないとう気持ちも起こらないでもなかった。もともと協調性にも乏しく、団体行動も嫌いな自分は尚更自分の気持ちを押し殺して無理をしていた。 その日は大手信託銀行の幹部との面接であっ

    • 旅行記 ヨーロッパ短期旅行最終話

      早く目が覚めてしまった。私は顔を洗い、着替えを済ますと荷物を持ってロビーに向かった。手早くチェックアウトを済ますと私は駅へ向かった。飛行機へは時間の余裕があったので最後少しだけ寄り道することにした。目的地の駅に着いたあとしばらく歩くと次第に木々が生い茂った場所が近づいてきた。ここは墓地だ。有名な墓地らしいが名前を忘れてしまった。墓地の管理所に荷物を預けさせてもらい中を見学した。美しい糸杉の木立の中に様々な形をした墓地があった。キリスト教、ユダヤ教、イスラム教、仏教。ほぼすべて

      • 旅行記 ヨーロッパ短期旅行第八話

        目がさめると何か騒ぎ声が聞こえた。3人組の日本人の男たちが着替えや充電器を盗まれたというのだ。それもそのはずである。私がいま泊まっているのは12人部屋の一番安い部屋である。おかしなやつが紛れこんでも仕方はない。私は自分のものが盗まれていないことを確認した後、ホテルの前にあるムフタール通り沿いで朝ごはんを買うことにした。通りにはお惣菜屋やパン屋が軒を連ねておりなかなか楽しい所である。パン屋に入ると何匹かのハチが私の方へ飛んできた。ディジョンのパン屋と同じく、このパン屋もハチに寛

        • 旅行記 ヨーロッパ短期旅行第七話

          朝になると列車は既にフランスに入っていた。残っていたペットボトルの水を飲んでいると車掌が入ってきて昨日預けたパスポートを返しにきた。車掌はもうすぐディジョンだから準備するようにと伝えてきた。なかなか丁寧な車掌である。 身支度を整えていると「次はディジョンです」というアナウンスが響きわたり、それから程なくしてディジョンに到着した。私は荷物を引きずりながら列車を降り、駅の電光掲示板を見るとTGVが30分遅れているようだ。朝食も食べていなかったので駅の売店でパンでも買うことにした。

          旅行記 ヨーロッパ短期旅行第六話

          起きた頃には11時半になっていた。明日にはパリに向けてしなければいけないので一応町を見ておかなければと思い外に出ることにした。ウィーンと違い太陽の光が強く、歩くにはなかなか暑かった。腹も空いてきたので適当にピタパンにハムとチーズと野菜が挟まれたサンドイッチを売店で買った。食べてみるとこれが絶品である。なんてことないサンドイッチだが素材の旨味が引き立っており、明らかにそれまで行ったことのある欧州とは食事の質が違うことがすぐに分かった。イタリア料理は美味しいというのはよく聞くこと

          旅行記 ヨーロッパ短期旅行第六話

          旅行記 ヨーロッパ短期旅行第五話

          私は電車のプラットフォームに向かって歩き始めた。途中駅員と思われる男にEチケットを見せプラットフォームの位置を聞くと、恐る恐る教えてくれた。あまり外国人に慣れていないのか、その姿はまるで日本の中高年の外国人に対する態度とまるで同じだった。ホームで待っていると10分程遅れて鮮やかな青色の夜行列車が滑りこんで来た。自分の列車番号と部屋番号を確認し列車に乗り込み、自分の寝台のある部屋に入った。部屋は四人部屋で、先客のイギリス人女性2人が2台ある二段ベッドのそれぞれの下段に陣取ってい

          旅行記 ヨーロッパ短期旅行第五話

          旅行記 ヨーロッパ短期旅行第四話

          また朝がやってきた、今日も相変わらず気持ちのよい晴天だ。携帯を見るとクリストフからスイス行きの電車に乗ったとの連絡があった。「ヨーロッパを楽しんでくれ、次はぜひスイスで」。今日だがこのウィーンを出発することになっている。次の目的地はヴェネチアだ。とは言っても夜行列車で行くので夜中10時半までは時間がある。特に予定も決めていないので、出発までの膨大な時間をつぶさなければいけない。まず初めにウィーン美術史美術館に行こうと思ったが、あいにく日曜日のため休館だった。7日目の休息を邪魔

          旅行記 ヨーロッパ短期旅行第四話

          旅行記 ヨーロッパ短期旅行第三話 下

          シェーンブルン宮殿の見学時間にはまだ時間があったので食事にすることにした。しかし休日に営業している店を探すのはなかなか難しかった。ようやく見つけたレストランでシュニッツェルとパンとビールを頼み一休みした。テラス席に座ったので人々がまばらに歩いていくのがよく見えた。東京でなかなかこんなのんびりとした光景はもう見られないだろう。ウィーンは人口がそれほど多くないこともあるが極めて町が落ち着いており調和が取れていた。かといってただの古くさい町かというとそうではなくEUの大都市としての

          旅行記 ヨーロッパ短期旅行第三話 下

          旅行記 ヨーロッパ短期旅行 第三話 上

          明くる朝起きるとからっとした快晴だった。私は着替えと身支度をすませると本や洋服の整理のためにガサガサとカバンをいじりはじめた。すると一人の東洋系の女性が部屋に入ってきた。どうやらこの部屋は男女共用だったらしい。挨拶がてら話しかけ、どこから来たのと聞くとChinaという答えが返ってきた。北京語で話しをするとより打ち解けることができ、色々と話してくれた。いまは会社を辞め一人でヨーロッパを旅行してるとのことだった。社会にでると旅行へ行く暇がないため長期旅行となると会社を辞めたタイミ

          旅行記 ヨーロッパ短期旅行 第三話 上

          旅行記 ヨーロッパ短期旅行 第二話

          朝になり私は何か騒ぎ声のような音で目が覚めた。おぼろげながら目を開き周りの様子を見ると数人の老人が傍にあるテレビを囲み何やら笑顔を浮かべながら騒いでいる。どうやらそのテレビでU20のサッカーの試合結果が放送されているようで韓国が私の国に勝利したことが報じているようだった。しきりに老人たちはウリナラ!と勇むように話していた。私は寝たふりをしながら老人たちの様子をうかがっているとツアーガイドか誰かに促されその場そそくさと立ち去っていった。彼らの旅の出だしはかなりよかったようだ。そ

          旅行記 ヨーロッパ短期旅行 第二話

          旅行記 ヨーロッパ短期旅行 第一話

          7月の暮れ、私は外国への旅行を企てていた。会社に勤めながら長期の休みをとることはこの国ではなかなかに難しい技である。幸いにも人事部は形式上、有給休暇を最低5日はとらなければならないという社内報を打ち、なおかつ私がまだ入社して時期もたっておらず、上からは5日の休みを取るように下達された。私は大学時代に中国、インド、ロシアなどに歴遊したことがあった。今の時代は安いチケットを発行する航空会社も増え、中流の私も容易く海外へと行くことができるようになった。幕末や明治の時代に比べると恐ろ

          旅行記 ヨーロッパ短期旅行 第一話