裏話③~おにいさん編~ 短編小説「ハコダテのがごめ」
短編小説「ハコダテのがごめ」裏話③
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今回はがごめが立待岬(タチマチミサキ)で出会った男について。
あの男は《石川啄木の幽霊》という設定で書いています。
石川啄木は明治時代の歌人。
岩手県で生まれて、北海道の様々な街で暮らし、東京で亡くなりました。
函館の景色が好きだったらしく、立待岬の近くに「石川啄木一族の墓」があります。
「夏にはこのお墓へやってくることにしているんだ」
というセリフがありますが、亡くなった方がお盆にお墓に戻ってきているという設定です。
亡くなったのが26歳という若さ。なので、がごめはおにいさんと呼んでいます。
たはむれに 母を背負ひて
そのあまり 軽きに泣きて
三歩あゆまず
この句は母の老いを想って石川啄木が歌ったもの。
もともとどことなく物悲しさを感じる人物ですが、物語の中でも「死」や「老い」の香りをまとっています。
彼の「お母さんを大切にしなさい」というセリフがあったからこそ、最後にがごめは酔っ払いからママを守ることができたのかもしれませんね。
おまゆさんが描いた絵の男は和装です。
幽霊だから和装なんではなく、明治の方だから和装なんですね。
そういえば髪型も写真の石川啄木に似ている気がします……
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