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2022年Q4のアメリカにおけるソフトウェアエンジニアの採用市場動向

2022年も残りあと3ヶ月となったところで、現在の労働市場がどうなっているかを振り返りたいと思います。まずは、レイオフ情報をクラウドソース形式で収集している layoffs.fyi  で、四半期毎のデータをみていきたいと思います。

2020年初来からの四半期毎のレイオフ数とレイオフされた従業員数(出典: layoffs.fyi

このグラフを見ると、2022年Q2から明らかにレイオフが増えています。レイオフだけでなく、Microsoft や Meta(旧 Facebook)Alphabet(Google)は既に採用凍結を発表しており、最近まで採用を続けていた Amazon もついに採用凍結を決定しました。つまり、テック企業の求人需要は確実に縮小しています。また、同期間のアメリカ国内全体での求人件数も、同様の傾向が見られます。

Indeed 求人件数の2020年2月時点での求人件数との比較(%、出典: FRED

Layoffs.fyi のデータはいわゆるクラウドソースで集められたデータで、世界中からデータが集まってくるという反面、アメリカ国内の動向や、他業種の傾向を捉えることに適していません。一方、FRED が出しているデータのソースは Indeed でアメリカ国内をターゲットにしたデータですが、必ずしもテック系スタートアップの動向を強く反映しているとは限りません。しかし、双方において求人需要の減少を示すデータとなっている点は求職者にとって良いニュースではありません。

次に、スタートアップへどのくらい投資がされているかをみていきます。

四半期毎のディール件数とバリューの関係(出典: PitchBook)

このデータは9月30日現在のデータであり、9月中のディールが全て反映されていないことを考えると、この数値はもう少し上がると予想されています(Estimated deal count として記載されている)。PitchBook はこの推移を "Q3 deal count unexpectedly high" と表現していました。確かに昨年のピークからは減少傾向にありますが、未だパンデミック直後の水準と変わらない水準を保っています。また、ベンチャーキャピタルに集まった資金は2021年を超えて過去最大となっています。

ベンチャーキャピタルのファンドアクティビティ(出典: PitchBook)

このような状況を考えると、求職者の需要は既に縮小傾向にあるものの、本当の氷河期はまだ先にあると考えた方がよさそうです。また、2022年は Liquidation events(リクイデーションイベント、買収や IPO により非公開企業の株式が流動資産として扱えるようになるイベント)が冷え込んでいることもあり、2023年のベンチャーマネーは減少傾向にあると予測します。各国の中央銀行が金融引き締めに動いているので、どの規模の会社にも経済的逆風が吹いているような状況です。しかし、

  1. 2022年3月頃までにラウンドをクローズできたスタートアップ

  2. 金融引き締め下でも強い成長率を維持できている(ので、資金調達を有利な条件で行える)スタートアップ

にとっては、低迷した需要の中で積極的に採用活動を行えるまたとないチャンスとなることでしょう。逆に、求職者としては、昨年までのように「今は人材市場がホットだから」と安心していると、市場がさらに冷え込んだ時にどこにも仕事がないということになりかねません。もし今仕事を探しているというのなら、年末までにオファーを獲得しておくのが望ましいでしょう。


不況下においても、投資家のように働くスタートアップを選ぶべきという原則に変わりはありません。しかし、楽観的に投資できない状況下では、ベンチャーキャピタル同様により厳しい視点でスタートアップを評価する必要があります。この Note では、

  1. 投資家のようにスタートアップを目利きし、

  2. 日本にいながらリモートで仕事を得て外貨を稼ぎ、

  3. 日本人にもっと儲けてもらう

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