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143. 「テクニック」と「スキル」の違い

みなさんこんにちは!三浦優希です。

今日は、僕の思う「テクニック」と「スキル」の違いについてお話をしたいと思います。よろしくお願いいたします。

”Game Setting”か否か

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みなさんは、スポーツにおける「テクニック」と「スキル」という言葉を聞いた時、その違いは何だと感じるでしょうか?

僕の中では、この二つの言葉は明確に意味することが違います。

最も大きな違いは、「相手のプレッシャーが存在するか」もしくは、「状況判断が必要とされるか」というものです。

National Soccer Coaches Association Of America (全米サッカーコーチ協会)によると、テクニックとスキルは以下のように意味合いが分けられています。

Technique is the ability to perform a physical task, whereas skill is the ability to perform a task in a game setting.

テクニックとは物理的なタスクを行う能力のことであり、スキルとはゲーム時(実戦)にタスクを行う能力のこと。

- FROM SOCCER SKILLS & DRILLS BY NATIONAL SOCCER COACHES ASSOCIATION OF AMERICA.

この二つの言葉の意味を、もう少しかみ砕いてみます。

テクニックとは、相手のプレッシャーや状況判断を必要としない状態で行う身体的タスクです。例えば、パスの出し方、スケートの仕方、シュートなど、1対0で練習を行うものなどは、基本的にテクニックに当たります。いわゆる個人基礎練習などもテクニックの一種です。置いてあるコーン(パイロン)に当たることなくドリブルを出来るか、などの能力もテクニックとなります。

一方スキルとは、game setting (ゲームシチュエーション)においてタスクをこなす力を指します。つまり、1対1や2対2など、敵がいる状態、かつ判断を必要とする状況下で力を発揮できるかどうかです。ゲーム形式で行うドリルや、戦術系の練習で発揮するパフォーマンスは、スキルに当たることになります。

日本と世界の差は「スキル」にあるのかも

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そして、自分を含め、多くの日本人選手は「テクニック」の能力は高いものの、「スキル」の部分で世界と大きな差をつけられている印象があります。日本の選手の技術は本当に高いです。スケーティングなど、アイスホッケーに必要な基本的能力は、世界トップレベルにも劣らないかもしれません。

それでも、日本がなかなか世界で勝てない理由は、この、「テクニック」から「スキル」への転換が世界レベルで出来ないからではないかと思ってます。ものすごく簡単に言ってしまえば、「練習」で使う技術と、「試合」で使う技術は別物だということです。

この「テクニック」から「スキル」への転換は、僕自身が最も解決しなければいけない課題の一つです。

コーチから「優希はスペースがある状態だといいプレイができるけど、コーナーなどの狭いスペースで敵のプレッシャーがあるときに、パックを奪われてしまうことが多い」と言われたことがあります。

まさしく言われた通りで、個人的な技術(テクニック)では相手に劣らないと思っていても、こういった激しいバトルや、相手からのプレスがある状態でいかにその状況を打開できるかが、エリートプレーヤーとノーマルプレイヤーを分けます。

例えばの話をします。

パックを持ちながらフォアスケーティングとバックスケーティングを途中で混ぜて、置いてあるコーンを抜いて、ターンをして、ストップをして、最後にシュートを打つ、といった練習メニューがあるとします。

この場合、僕は良い成果を残せると思います。なぜなら、スケーティングやハンドリングを含め、自分のテクニックには自信があり、すでに自分のやるべきことが決まっているからです。

ただ、この動きが出来るからと言って、試合でいきなり活躍できるようになるかというと、そうはなりません。なぜなら、テクニック練習と違って、試合状況・相手の位置・相手のプレッシャーなどは目まぐるしく変化し続け、先ほどのテクニック練習のように自分のやるべきことが最初から確定していないからです。

つまり、敵や判断が出てくることにより、「適応」が求められます。僕は、試合で言う「上手さ」とは、「瞬時に自分のタスクを見つけ、それを高い精度でこなす力」のことだと思っています。ここが練習と試合の大きな違いです。

最初からやることが分かっていればテクニック、やることがわからない中でゲーム状況によって瞬時に判断を必要とされるものがスキルです。

スキルを身につけるには

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この、「スキル」を身につけるためには、普段の練習から、自分以外からのプレッシャーがある状態で、トレーニングを続ける必要があります。

ただ自分の前方に何もない状態でシュート練習をやるよりも、例えばコーチやチームメイトにDF役をやってもらったり、自分の練習エリアを狭くしたりと、少し自分が窮屈に感じたり、「やりづらい」と思うポジションで練習を積むことが大事だと思っています。

逆に言えば、何かを練習するときは、まずは「テクニック」(敵からプレッシャーのない状態)でしっかりとその動きをマスターして、その動きに慣れてきたらそこにプレッシャーを付け足してスキル練習に変えていく、という方法が良いかもしれませんね。

そして、僕がなにより大切だと思うことは、試合での経験です。やはり、練習でいくらプレッシャーありの状態のトレーニングをしたとしても、それは試合とは別物です。

試合においては、自分の周りの全ての状況がものすごい速さで変わっていきます。味方や相手の位置、試合の時間帯、自分のいる場所、疲れ具合、得点差など、さまざまな要素がある中で自分がいますべきプレイを判断していく必要があります。そういった環境はなかなか練習で実現できるものではないので、試合のような実践経験の場所が、最も成長できる時間になると思っています。

僕が日本のアイスホッケー界(特にユース年代)が試合数をもっと増やすべきであり、全員が試合に出れるようにすべきだと思っているのは、これが理由の一つです。試合での実践経験を繰り返し、その中でトライアルアンドエラーを踏み、日頃の練習で積んだ「テクニック」を「スキル」へと変換する機会がもっと増えたらいいなと思います。

この、テクニックとスキルの話に関しては、もしかしたらスポーツに限らずビジネスや日常生活などでも同じことが言えるかもしれません。自分一人でこなす物はテクニック、相手に対して行うものがスキル(仕事)、というような分け方もできるかもしれません。

みなさんはどのように思われるでしょうか?今回の、テクニックとスキルの分け方は、どちらかというとスポーツよりの意味合いになっているので中には違和感を感じられた方もいるかもしれませんが、僕にとっては、この違いを理解することはとても重要なことであり、いかに「スキル」の出力を高めるかが、競技力向上の命運を分けると思っています。

少しでもこの概念を知ってくださる方々が増えることを願い、今回のnoteを書かせていただきました。ぜひ、みなさんの意見も教えてくださいね。

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました!

三浦優希


P.S
現在僕が運用中のクローズドコミュニティである”FiNANCiE”では、このような話(1000字程度)を基本的に毎日投稿させていただいています。僕の投稿に対するコミュニティの皆さんからの意見も活発で、僕自身本当にたくさんのことを学ばせていただいている場です。もしよければ、発行中のトークンもご購入いただき、ぜひぜひ一緒にコミュニティにご参加くださいね!

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