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本当に、子どものためになっているのだろうか。

相手のためと思ってやっていることが、相手のためになっているのか。本当のところは、相手に聞いてみないとわからない。
実は自分のためになっていないかと、客観的な目が持てればいいのだけれど。
盲目的になってしまうことの、怖さを感じる。

「塔の上のラプンツェル」を観た。地上波の放送を録画したものだ。初めから終わりまで全部通して観たのは、これが初めてだった。

魔法の髪をもつラプンツェルは、本当はお城のお姫様。でも魔法の髪から発せられる不思議なパワーで永遠の若さを手に入れたい魔女によって、幼い時にお城から連れ去られてしまう。

以降、魔女はラプンツェルが真実に気がつかないように、塔の外に一歩も出ることを許さない。ラプンツェルは、外の世界に出ることを憧れている…。そしてひょんなことから塔に忍び込んだ泥棒によって、ラプンツェルの冒険は始まっていく。

最終的には、ラプンツェルの髪が切られてしまうことにより魔女は若さのパワーを失い、よろけて塔の上から転落してしまう。ラプンツェルは本当の両親(王様とお妃様)のもとへ戻り、幸せに暮らす、というエンディングだ。

映画として楽しみつつ、気づくと教育的な観点で見てしまっていた。
純粋にこの映画が好きな人は、以下見なくてもいいかもしれません、、(この映画そのものを批判しているわけでは全くないです、、)


ラプンツェルは魔女のことを母親だと思い、18歳になるまで一緒に暮らしていた。

何回か「外に出たい」と申し出てみるが、母親は「外は危険だから」「あなたのためよ」「あなたを守るため」と申し出を頑なに受け入れない。「あなたのため」と言われてしまうと、引き下がらざるを得ないラプンツェル。

この「あなたのため」という言葉は、相当な威力があると感じた。親からそう言われたら、子は反発できない。

実際に魔女がやっていたことは、ラプンツェルのためではなく、全て自分のためだ。

自分が若さを手に入れ続けるためにラプンツェルがいなくなっては困るから、何とか側に置いておきたい。その理由として「外は危険」「あなたを守るため」という言葉を用いていた。

ずるいな、と思った。本当は自分のためなのに、子どものためであると言い、縛りつける。子どもは、親の本心は知らない。自分のためにやっていることなら仕方ないと、がまんする。

「子どものため」という枕詞は、万能なのだろうか。子どものためなら何をしてもいいのだろうか。

子どもと接するときに、いつも問う。

この魔女のように、明らかに自分のために子どもを利用することは少ないとしても、「子どものため」と思いしていることが、実は子どものためになっていないことは、あるのではないだろうか。

昨日見かけた記事で、高学歴の両親が子どもに偏差値の高い学校に行ってほしいために厳しく勉強を要求し、子どもは大暴れでこれまで何度もパトカーを呼んでいる、という内容が載っていた。

きっとご両親はお子さんのためにそうしたことと思う。でも子どもが全身で示す拒否に蓋をしてまで、「子どものため」は通用するのだろうか。

ただ「子どものため」かそうじゃないのか、それを客観的に判断するのは難しい。あくまでそう捉えるのは主観だからだ。

上記のケースについても、「子どものためにやっていることだから正しい」と言われたら、それ以上何も言えなくなってしまう。でもどうか、子どもが発しているサインを受け取ってほしいと、切に願ってしまう。 

一つの判断軸としてあると思うのは、「子どもの意志」だ。子どもがこうしたい、という意志を明確に伝えているなら、それは「子どものために」別の選択をとらせたいと思っても、子どもの選択を尊重すべきだと思う。

また映画の話に戻ると、ラプンツェルは「外に出たい」「外にある~を見に行きたい」と明確に伝えていた。それを尊重しない理由が、見つからない。

仮に魔女が本当にラプンツェルのことを心配して外に出したくない、という理由だったとしても、最終的にラプンツェルのためになったとは思えない。

もちろん場面によっては、子どもの意志を尊重できないこともあるかもしれない。あれやりたい、これやりたい、に対応はしたいけどできないよ、という状況もすごくわかる。

でもできるかぎりで、子どもの意志を尊重したい。小さいことでも、自分で選択できるようにしたい。子どもが意志を伝えているのにかぶせる形で「あなたのために」を使うことは避けたい。


本当に怖いのは、子どもが自分の意志を伝えてこなくなったときだと思う。何を言っても尊重してもらえないと思ったら、意志を伝えることを諦めてしまうだろう。

そうなる前に、子どもの小さな声に耳を傾け続けたい。

傾け続けられる人が、子どものそばに、どうかたくさんいますように。


そんなわけで、今日はここまで。


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