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海外音大受験にまさかの理由で落ちた話

ノルウェーに移住してきた当時、ベルゲンにある音楽大学に入学することが目標でした。入学するために必要な試験は3つ。
①実技試験
②音楽理論と聴音の試験
③ノルウェー語の試験

①実技試験
私はこれがメインだと思っていて、ここで良い結果を出していればノルウェー語がちょっと弱くてもどうにかなるだろうと思っていました。毎日音大の練習室をお借りして、そして寮の中でも隣人からたびたびクレームを受けながら地下室や自室で練習していました。
音大の教授にもレッスンしてもらっていてまあこの調子なら実技試験は合格するよ、と言われていました。
受験日当日は音大に用意してもらった伴奏の先生と弾くのが楽しくて結構早いテンポで弾いてしまいましたが割と満足に弾けました。試験は無事に合格。仲良くなった他の受験生たちと飛び上がって喜びました。

②音楽理論と聴音のテスト
これもそんなに難しくなかったのでちょこちょこ図書館で借りた本で勉強しながらなんとなく知識を詰め込んでいきました。大変だったのはノルウェー語でこの試験を受けないといけないので日本語でも曖昧な知識をノルウェー語に変換して覚えていかないといけなかったことです。
試験当日はコンピュータのたくさんある部屋でパソコンでの試験でした。ヘッドフォンで音が聴けるので大きな会場でのソルフェージュ試験より雑音も少なくストレスなく聴音が出来ました。自分の試験が終わるとパソコンを持って試験官のところへ行きその場で結果を教えてもらえました。結果は合格。安心しました。

③ノルウェー語の試験
これが私が舐めてかかっていた、そして本来一番念入りに準備すべき試験でした。音大の修士課程にはノルウェー語のテストはいらないのですが私は学士課程に出願していたのでノルウェー語能力を証明しなければいけません。必要なノルウェー語能力はB2(TOEICでいう785点くらいらしい)とノルウェーに来て半年の私には正直厳しいハードルでした。
それなのにどうしてこの試験を舐めていたのか。それは、前年受験した同じく外国人の学生がノルウェー語能力は足りなくても基本入れてくれるよと言っていたからです。彼女もB2には及ばなかったけど入った次の年までにB2に合格したら大丈夫と言ってもらって入学したらしいのです。
そういうわけでまあいけるだろうと適当にノルウェー語の試験を受けた結果、ライティングとリスニングはB2、スピーキングとリーディングがB1でした。今考えるとすごく妥当な結果、というか半年でこれなら十分だと思うのですが、結果を見た時はすごくショックでした。
結果を入試課に持っていくと、あー、残念だったね、来年挑戦してね、と言われました。

え、話がちがう

私はもう少し頑張ればB2に合格できること、ノルウェー語の授業にもついていけることをアピールしましたが、来年受ければいいから、とけんもほろろに断られました。
昨年から方針が変わったのか、その年は受験生の数が多かったのか、担当者が特に厳しかったのか、理由は分かりませんがノルウェー語能力不足で落とされました。

その担当者の言う通り普通の学生なら次の年受けたら良いでしょうが私は当時ワーホリビザでノルウェーに来ていて滞在できるのは一年だけ。その年から音大に合格して学生ビザをもらうか、仕事を見つけて労働ビザか、大学院に進学するか、という選択肢しかなく次の年に挑戦するほどお金もビザも時間もありませんでした。

今年は入れないよ、と言われた時は人前にも関わらず号泣しました。まさか落とされるとは思っておらず、実技試験や筆記試験のための努力が水の泡になったと感じたからです。そして音楽家への道も同時に断たれたような気がしました。日本にいる友人や家族にも音大に行くと宣言してノルウェーに来ていた手前すごく恥ずかしかったのを覚えています。

日本でお世話になったヴァイオリンの先生やベルゲンの教授になんて言えばいいか分からずもう途方に暮れました。

立ち直りは早い

音大に落ちてからしばらくはヴァイオリンを弾く気にもならず他に何をすればいいかも分からずぼんやり過ごしていました。
すると一通のメールが届きました。
大学院からの合格通知でした。音大に落ちた時のためにいくつか音楽とは関係のないノルウェーの大学院に出願していてそこに合格していたのです。
そのあともどんどん他の大学院から合格通知が届き今度はどこの大学院に行くか頭を悩ませることになります。

次回: 大学院進学してノルウェーまで来たのにまた遠距離恋愛。

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