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【エッセイ】分断の時代

いろいろな”分断”を、至るところで感じるようになった。

テレワークによる時間の分断

今までは移動をして、お客様や会社の仲間と面会して会話をしていた。
それのほとんどがPCのWeb会議のアプリの“ 接続”ボタンを押下するだけに変わる・・

”効率化”という一見聞こえのいい言葉は、時間を分断して細切れにする。

移動時間という合間の時間
余裕を持って早く到着して一休みする時間
会議が終わって、次の訪問予定の準備をする時間

スケジューラーに分単位で刻まれた予定に隙間はなくなっている。

「一昔前は60分単位で組んでいた予定が、テレワークが当たり前になったニューノーマルな時代は、15分単位で予定が組めるようになった。仕事のスピードがあがり生産性は向上した」

なにかのビジネス本に書いてあった。
分断された時間を埋め尽くすことで、生産性は向上したのだろうか?

在宅勤務による場所の分断

職場・オフィスに、今までは自分専用のワークスペースが確保されていた。
それがいつのまにか、フリーアドレスで自分専用の場所はなくなって、ロッカーだけになり、職場には電話ボックスのような個室ができた。
そして、気づいたら自宅がオフィスに変わる・・

”働き方改革”という一見聞こえのいい言葉は、場所を分断して細切れにする。

自分のデスクの文房具や本やメモ書き
お気に入りの椅子や置物・ぬいぐるみ
隣の席の同僚との会話、見慣れた職場の景色

今まで仕事が終わって、くつろぐ場所だった自宅が職場に変わっている。

「某大手企業は、テレワークを基本とする社員を対象に、期間限定で転居費用を負担する制度を開始すると発表した」

最近そんなニュースをみた。
分断された場所の中で、今までのような自分だけの落ち着いてお気に入りになる場所はできるのだろうか?


人の心も分断されていく

いままで当たり前のようにあった時間と場所。
時間が分断されて効率化されると、余白の時間が消滅する。
場所が分断されて共有化されると、余計な場所が削減される。

いままでの休息していた場所で、一人で働き、PCの画面の映像と音声に向かって一生懸命会話している。

PC画面の”接続”ボタンと”切断”ボタンを繰り返し押す。
ひとりでマウスとキーボードをタイピングして会話したつもりになる。

相手のプレゼンスを確認せずに電話をかけることは非常識になり
電話をかけても不通が増えて、電話することも少なくなる。

訪問しての面会はよっぽどな重要なタイミングに限られるようになった。

ひとりの時間が増えて、考える時間も増えたはず・・

人と人の繋がりが希薄になった中で
人の心も分断されてきているような気がしている。


余計だと思ったときこそ、電話をしてみたり
ちょっとしたチャットやメールで一言をかえしたり
待っていないで、こちらから行動したり
待たされる余裕を持つことも大切。

余白の時間、落ち着ける場所
自分の心にゆとりをもって、分断の時代をいきてゆきたい。


©️Mahalopine

記事執筆のための、いろいろな本の購入費用として活用させていただきます!