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ああ、この人、業界人なのに根本的には美とか創作なんて興味が無いんだなーと思う時(2)

先日書きました

【ああ、この人、業界人なのに根本的には美とか創作なんて興味が無いんだなーと思う時(1)】

の続きです。

私がこのnoteに書いているのは、内容を問わず、私の実際の体験談が殆どです。本当にいろいろな事が起こったり見知ったりで面白いです。

ものづくりや創作系の仕事を長年しておりますと、

創作系業界人でも、実は創作に興味が無かったり、全然知識も能力も責任感も誇りも無い人が、ナゼか重鎮扱いされていて驚いたりするものです。

ようするに「ニセモノ」が重鎮扱いされているのです。

創作全般が好きでそういう業界にいるのではなく、チヤホヤされるためのツールとして使っている、という感じですね。それはそれである意味「世の中でウケる資質と才能はある」わけですが。

そういう人たちは「いかにもそれっぽい雰囲気ではある」場合が多いです。彼らは「自分の才能の高さを匂わせるけども、結局最後までやらない(出来ない)」ので現実の仕事はおぼつかないのに、人間関係のポジショニングや天然の詐欺師の資質で乗り切って、結果的に手柄だけを手にするのが上手い。

それと、有名人やメディアの人たちと仲が良い。

まあ、そういうのは創作系に関わらず社会ではそうだ、という事ですが、特に創作分野ではそれが露骨です。

逆に言えば「社会では、それっぽい雰囲気を持っている事は非常に効果的」だという事です。

そのような雰囲気や人脈を得ることも大切な営業戦略ですから、私はそれを否定しません・・・。ただし、私がそういう人たちとの仕事に巻き込まれるのはご免です。

そういう人たちと関わると、こちらに実損が出るし、仕事をした後からもいろいろ大変になるので、最初に怪しいと思ったら、途中からでもそれ系の人と気づいたら、極力素早く、かつ自然な形で離脱する事が大切ですね。

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私は好き勝手書いても問題無い立場なので「そういうのはどうなの?」と感じる事を書いておりますが、どこかに所属があると、それは胸に秘めておかなければならないのかも知れません。

何か制作して販売する事を生業に長年生活しておりますと、仕事で関わる人の行動で「あー、この人、創作自体に興味無いんだなあ・・・」「えー?それって人間性疑うわぁ・・・」と受け止めざるを得ない体験を沢山するわけですが、今回の話題も、ギャラリーやお店で展示会などをしていただいた際に、割と良く起こることです。

(いつものように、ちゃんとしたところがあるのは前提のお話です)

今回の話題は

「自分のお店やギャラリーでの展示なのに、その展示している作家がお客さまやメディアから批判を浴びると全然味方になってくれずに、一緒になって作家を批判する店主さん」

です。

これは、本当に多いです。

まあ、かといって、どの業界でも珍しい事ではなく業種を問わず起こることですが、創作関連だと創作への純粋性のようなものがあって、そういう事はあまり無いのかと思っている方が多い気がします。実際には、一般社会よりもむしろ創作分野の方が酷いです。見栄や承認欲求の世界ですので。

例えば、どこかで私の個展をやって下さったとします。

これは大変ありがたいことです。

しかし、お店やギャラリーの人が、私の作品を気に入っていない、私の作品が良いんだか悪いんだか分からない、と感想を持つ事は良くあります。私の作風が一般的ではないだけでなく、何の所属も認定も受賞歴も学歴も無い・・・ですから、それはある意味仕方が無いですけどね。

作品の感じ方は個人の感受性の問題なので仕方が無いのですが、だからといって「プロとしてちゃんとした仕事をしない」のは問題です。

「自分のお店やギャラリーで個展を行う作家や作品の情報が、関係者に周知されていない状況」で個展を開催する事になってしまうからです。それはお客さまに失礼だと私は思います。それはプロではないですよね。

そうなると「既にファンのお客さま」(その作家の作品を購入しているし、作家の事に詳しいし愛情を持っている)「興味を持って観にいらしている方」(何だか面白そうだなと前向きになっているお客さま)と「売り場の店員さん」(その作家の事をほぼ知らず、作品そのものに興味が無い、下に観ている)の温度差が激しくなってしまい特に「ファンのお客さま」は「自分が大好きな作家と作品が、尊敬も無くぞんざいに扱われているのを観る不快感→そんな場では買いたくない」と、去ってしまうのです。面白そうだな、といらしたお客さまへ対しては経済的機会の損失になります。

また、お店の人たちに「伝える熱」が無ければ、今まで知らなかった作家の作品を「へえー、じゃあ詳しく観てみようか」という気になりませんし、ちょっと観て気に入っても、クレジットカードを出してくれるようにはなりません。

その他・・・

お店やギャラリーの店主さんが個人的にお世話になっている人が「この人の個展をやると良い」と紹介して来た作家の個展を、断りきれずにやることになってしまった、しかし自分はその作家と作風は気に入らない・・・ということは起こります。

お店と企画部が別の、大きな会社なら企画部が呼んだ作家を、売り場の人たちが気に入らないというケースも割と良く起こります。

その場合は「不本意ながらこの作家の展示会をすることになった・・」という心情になるのは分かりますが・・・しかし「自分の仕事はちゃんとするべき」ですよね。

大きなお店やギャラリーだと、責任者さんだけではなくスタッフさんは、さらに輪をかけて私と私の作品に「まるで興味が無い」ので、私の事を全く調べていませんし、私が当日に現地に伺っても私だと分からないなんて普通です。それどころか「こんなもん、売れんのかねえ・・・」と私の作品の悪口を、私がいるのに気づかずスタッフさん同士で言い合っていたりする。笑

「・・・避けられない流れでコイツの展示会をやっただけで、別にオレ個人は、コイツのもの、認めてないからね。こんなものを気に入っているヤツだと思われたら心外だぜ・・・」

というオーラというか、汁を出している人が多い(笑)です。

それどころか、作品に興味を持ってワザワザ売り場に来てくださったお客さまに「私はこの人の仕事、認めて無いですけどね。こんなの誰でも出来るし、この人どこの会の会員でもないでしょ」なんてクサして、自分はあたかも素晴らしいものを沢山観ているし、エライ先生がたとも懇意だということを匂わせる店主さん、スタッフさんもおります。

会場のスタッフさんにそういうオーラがあると、その場で売上を立てるのはなかなか大変です。しかし、それに負けてはいけません。生きるために!

まあ、上記のような状況なら店主さんやスタッフさんがたの「事故に巻き込まれた感」が無くはないので、作者の私でも少しは同情します。

しかし、お店やギャラリーの店主さんが自らキミの個展をやろう!と企画して、打ち合わせもして個展をしているのに、お客さまから批判をされると、一緒になって作家を批判して、オレは本当はこの作家も作品も好きじゃないし、彼が個展をやりたがったから、ちょっと協力してあげただけだ、みたいな態度を取る人もいるのです。

それは流石に「じゃあなぜオレの個展なんてするのさ?」と思いますね。笑

お店やギャラリーは人気商売で、お店やギャラリーの主人は創作的先見の明があり、観察眼が鋭く、センス良く思われる必要がありますから「ケッ!こんなダサいもん出しやがって・・・」「こんな凡人の作品展をするなんて!」と思われることを避けたい、お客さんにそう思われたら極力自分は無関係のようなフリをしたい、と思う気持ちは充分に理解出来ますが、しかし、こちらも同じく創作で商売しているわけですから・・・個展をやる前には一緒に呑んで気炎を吐いたりしてたのにー、その裏切りはちょっと人間性疑うわー・・・と思います。

しかも、展示会の前にそのお店やギャラリーの人と「こういうのをやってよ、きっと売れるし、売れ残っても自分が全部買い取るから。うん!こういうの、いいね。」なんてやりとりした作品なのに、お客さんからの評判がイマイチだったり不評だったり、スタッフたちの評判が悪かったりすると「いや、僕もね、これはちょっとどうかと思ったんだけど、彼がやりたいと言うから・・・」なんて、あたかも自分はその作品とは無関係みたいな態度で一緒になって文句を言っていたりする。で、売れ残ったものはしれっと返品して来たり。

で、逆に、そういうタイプの店主さんは、そのギャラリーやお店にとってご意見番的な影響力がある人から「良くこんな人を見つけて来たね!スゴイ作品をつくる人だねえ・・・」なんて褒められたりすると、今まで「キミの作品は思ってたのと違った。正直失望した。正直、展示会やる気ないけど今更やめられないから、まあ、やるけどさ。正直、やりたくない・・・今回の展示会は僕は無関係みたいなものだ」と、作家にボヤき、来客にすらそんな言ってはいけない事を言っていたのに、0.1秒で意見を変え(笑)

「いやあ、ボクは、彼のことは本当に評価していましてね、今後も伸びて行くと思うんですよ!ボクは彼のこと、いろいろ面倒見てあげたり、勉強させたりしているんですよ!な!」なんて言い出し、こちらに普段いろいろしてあげているという嘘に同意するように圧力をかけたりする。。。いやいや、あなた、普段、全く買取もしないじゃん、と内心思いながらあいまいな笑顔でごまかす・・・

そのような事があった後は、お店やギャラリーのご主人は「〇〇先生もね、彼の作品を評価してね・・・!」なんて吹聴するようになったりするわけです。今まで貶していたのに・・・

いやいや、そもそも、オレ、あなたに面倒みてもらったとか勉強させてもらったなんて事実無いじゃん・・・え?、アンタ個展やりたいの?うーん、人の集まらないこの時期ならまあ・・(閑散期に少しでも評判が取れたり売れたりすればラッキーだしな)みたいな事言って開催しただけなのに、褒められれば自分のおかげ、貶されれば作家のせい、って、あなた、精神的にも金銭的にも殆どリスク背負って無いじゃーん!

と、思ったりするのですが、まあ、しかしそうやってアウェイの場で評価をヒックリ返して行くのを繰り返して行かないと、私のような完全ノライヌ系作家は相手にされないわけですからそういう事を積み重ねるしか無いんですけどね。(未だにそうですわ)

しかし、そういう「作家と共に社会に新しい価値観を打ち立てるのだ!そのために共闘する!」という人じゃない、周りの評判でフラフラなびくタイプの人の方が、重鎮扱いされていたり、尊敬されているパターンが多いので、私が独立したばかりの頃は「ああ、いわゆるアートの世界だなんだといっても一般社会と何も変わらないんだな。いや、それどころかアートだの創作だの言っても所詮人間のやること、むしろ自意識過剰な人間の集まりで、人間の自尊心や承認欲求なんかの性質が余計に濃縮されている場だから、しょうがないんだよなあ」と人間社会のリアルを観て「なるほどねえ」と納得したものです。

しかしなんだかんだ言って、やっぱりそういう人との人間関係は自然消滅したり、どこかの地点で揉め事が起こったりして、長くは付き合えないものでした。といっても、長い場合は20年ぐらい続いてしまう場合もあります。

私は「お前の作品展をやっても売れないから来年からやらない」と言われる分には全く当然だとしか思いません。

ただし、お互いに創作について尊重しあっているのかと思いきや(お店やギャラリーは作家への尊敬、作家はお店やギャラリーへの尊敬)実際には「全然リスクを背負わず、手柄だけをいかに抜けるかということばかり考える人」が多いもので、小説や漫画や映画のように「共に社会に新しい価値観を構築するのだ!」「オレはアイツを信じる!」という方向性で一致することは無いもんだなあと思いました。

しかし、逆の立場になったら、視野も視点も違うでしょうから、私自身が「作家とかテメエらいい加減にしろよ(怒)」となっている可能性も充分にあります。多分ある。笑

まあ、単純に、私のようなノラには、そういう扱いなのは仕方がない、というだけでもあるようですけどね。

そうそう、これも良く起こるのですが

私の、その場での初めての個展でほぼ完売、評判も上々、ということになっても、その当のお店やギャラリーのご主人が「オレはこんなもの認めねえ」という事で、次の展示会の話は来ない、なんてことも起こります。(ならばナゼ私の個展をしたのさ・・・)

もちろん、私が何か生意気な態度だったとか、商売上で不正を働いたわけではないのですが、作家がお店やギャラリーの店主さんの想定以上に評判を取ったら取ったで気に入らない、という事も起こるのです。

信じられない事ですが、本当にそれは起こります。

私が、弟子にそういう事もあるんだぜ、と説明した時に「まさか・・・」と思ったらしいですが、しばらくウチの工房にいて、本当にそういう事が起こった時に「うわあ。本当にこんな事が起こるんだ!理解出来ない・・・」と驚いたそうです。

全く、摩訶不思議な世界だなあ・・・と思います。


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