④ZINE『わたしの移住歳時記』より「蓮」
栗林公園で一番好きな場所はハス池だ。栗林公園の四季がハスという植物の面白さを教えてくれたと言っても過言ではない。
秋冬はカラカラに末枯れていて「もう二度と咲かないんじゃないか」と不安になるくらいの荒廃ぶりを見せるのに、夏を迎えるとあっという間に葉がのび、見事なピンク色の花を咲かせる。だから、秋冬のがらんとしたハス池も好きだし、春夏の「いよいよこれから」という空気に満ちたハス池も好きだ。しかも夏のハス池は、子供の頃よく遊んだスーバーポールのような化学物賞っぼい香りがして、なんとなく癖になる。もしやこれが極楽浄土の香りなのかしら、と考えながらハス池のほとりを散歩すれば、爪の先っほくらいならお釈迎様の気分を味わえる気がする。
ありきたりな表現だが、ひとつの側面ばかり見て物事を判断してはいけないんだよなと、ハスの花があってもなくても、 ハス池を見るたびに思う。
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ZINE『わたしの移住歳時記』が完成しました。
季語をめぐるショートエッセイが60本ほど収録されています。また、これまで発表した俳句をそのところどころに添えています。
7/28の文学フリマ香川にて販売します。また、その後も様々なイベントで販売予定ですので、よろしければ手にとってみて下さい。
なお、文学フリマ終了後はこちらのサイトで通販も予定しています。
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