見出し画像

被爆3世の私が8月6日に思うこと(2)

前記事(1)で、
①広島で被爆した祖父の話
②祖父の最初の妻の話
③後妻となった祖母の話  を書きました。その続きです。


④被爆2世の母とその姉兄の話

母は末っ子で、姉とは母親が違います。真ん中に兄がいます。
母の姉は胎内で被爆したので、2世と呼ぶのか被爆者と呼ぶのか分かりませんが、70代の3人とも今なお健在です。
その私の伯母さんは、何年も前に乳がんが見つかりましたが幸い手術で切除でき、その後も元気で暮らしています。

母たちはパン屋を自営する両親(私の祖父母)のもとで育てられ、雇っていた従業員さんもいたけどよく手伝ってもいました。
里帰り出産で実家に帰った母も、大きなお腹の上にパン箱を乗せて運んだりしていたそうです。

3人が結婚などで家を出ると、祖父母は金物屋(かなものや)に切り替えました。金物店って今ではあんまり聞かないですよね。食器や調理器具や日用品を売るお店です。便利屋さん的なことも。
昔はホームセンターやショッピングモールなどは今ほど多くなかった時代、人々は商店街の小さな金物屋さんで食器や鍋を買っていました。

しばらくして伯母さんと旦那さんが戻ってきて、一緒に金物屋をやっていました。なぜ金物屋にしたか祖父が言うには、
「パンは毎日焼かないといけないし朝が早い。金物は腐らないから楽だし、店の開け閉めも自由で融通がきくから。」
だそうです。

祖父母はそれから、店は長女夫婦に任せて旅行に行きまくりました。
母の旅好きはこの両親の影響です。パン屋時代はなかなか長期旅行にも行けなかったでしょうしね。

祖父は85歳まで、祖母は81歳まで生きました。
被爆の影響や後遺症を感じさせないくらいに元気で長生きし、大往生でした。

⑤被爆3世の私が思うこと

被爆2世の母やその姉兄も、私たち3世も、みんな元気で大病など患うこともなく健康に暮らせています。
なので、普段はそんなことはなんの意識もしておらず、毎年この時期8月初旬になり、テレビやニュースで【戦後何年】的な特集などを見て思い出す程度です。

原爆が落ちて、祖父の最初の奥さんが亡くならなければ、母も私も生まれてこなかったことは事実ですが、だからといって、広島に原爆が落ちてよかったなんて思うはずもない。と前記事にも書きました。

そもそも、1組の両親からひとりの子が生まれる確率って、遺伝子の組み合わせから計算すると【70兆分の1】の奇跡なんだって。
同じ親から生まれる兄弟だって、違う人格と個性があるわけだし、精子や卵子の数からしても途方もない数字だし。

その上、その両親がもし出会っていなかったら?祖父母が、曾祖父母が出会わなかったら?出会っていても結婚してなかったら?
それすべてに【70兆分の1】を掛けたらどうなる??
祖先を明治時代・江戸時代・鎌倉・平安・縄文・石器etc…時代まで辿って考えていくと、今私がここに居て息をしていて生きていることって、どんな凄い奇跡やねんっっ!て話ですよ。

青い薔薇の花言葉は【奇跡】だそうです。

だから、そんな数えきれないくらいの確率で人は生まれてくるのだから、原爆が落ちたからどうだとか、落ちなかったらどうだったんだ、とか、起こった過去のことを「もし、~してなかったら」なんて仮定の話をすること自体、次元の違う話なのです。

人間生きてりゃ辛いことも苦しいこともあって、そんな時は死にたくなる気持ちになることぐらいあるかもしれない。が!!!
だがしかし!!! 死にたい、なんて絶対に、思ったとて口に出したり行動に移しちゃダメなんですよ!

給料は安いまま物価がどんどん上がっていく日本で、国や時代や制度に不満があるとしても、そんなことは命の奇跡に比べたら鼻クソ程度のささいな・みみっちい事象のひとつに過ぎません。
私だって、今までずっと能天気で幸せで、とんだハッピー野郎だったわけでもないですよ。悩んだり落ち込んだりしたことだって人並みにあります。今は凄く幸せだけど。

でも、これらの命の奇跡をすべての人が感じて理解できていれば、自殺とか殺人とか戦争とか、起きなくなると思うんだけどなぁ。
私が思う【平和】って、こうゆうことなんだと思います。

⑥祖父の手記について

広島・平和記念資料館

祖父は自身の被爆体験を手記に残してくれていました。
広島の平和記念資料館に寄贈され、今でも閲覧することができます。

大阪生まれの私や姉が小学生だったころの道徳だったか社会の授業でも、祖父の手記が使われました。母も、是非授業で使ってほしいと望んでのことでした。
私が知っている祖父の被爆体験は、直接聞いたものではなく、この手記や母から伝え聞いた話です。

私はロシアが戦争を始めたとき、人の上に爆弾を落とすなんて本当に信じられないと思いました。NATOが何?国の独立?対立姿勢?歴史観や国家観の違い?
はぁ??? プーチン政権は頭がおかしいの?
どんな理由があるにせよ、人間の頭上に爆弾を落としていい理由なんてあるわけがない。それがどんなことになるのか、想像できない馬鹿がやることとしか思えない。どんな大義名分を振りかざしたって正論にはならない。
領土が~、人種が~、主義が~、母国が~、なんて戦争を正当化していい理由にはならない。

平和って、もっと単純でいいんですよ。
【人の命は大切に】ただ、それだけ。

私が、この2023年8月に思うことは、こんなことでした。
長文でしたが、読んでくれた方、ありがとうございました。
皆さんも、是非【平和】について考える機会となってくれたら幸いです。

この記事が参加している募集

この経験に学べ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?