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『壊れものにつき、取扱い注意』R・シュトラウスの愛の詩を聴く のための日#27

今日にぴったりな、今日の音楽を紹介

リヒャルト・シュトラウス(1864-1949)/  歌曲『Morgen!』

大学生の頃に、声楽のレッスンがあった。ものすごく歌うことが苦手で、ずっと逃げて来た(たとえば高校生までは必ず歌いたくないのでピアノ伴奏者に立候補していた、普段の授業中なんて先生に指されないようにずっと下を向いているような女の子だったけれど、この時ばかりは真っ先に手を挙げていた)
というわけで、悪夢のような時間だった。しかもスパルタ先生で、わたしの後にいつもレッスンを控えていた声楽科のおっきい男の先輩(いかにもバリトン)と一緒に歌わされたりした。はあ、悪夢
それでもあの時、スパルタ先生が言っていた声楽の素晴らしさや管楽器と精通する部分については今ではよくわかる。あ、歌いたくはない。


『壊れものにつき、取扱い注意』R・シュトラウスによる愛の詩

リヒャルト・シュトラウスといえばロマン派後期を代表するドイツ作曲家である。
この曲は1894年、シュトラウスが結婚したばかりの時に妻に贈った「4つの歌曲」の最後の作品である。


スコットランド出身の思想家ジョン・ヘンリー・マッケンの詩を基にしている。

Morgen!
John Henry Mackay
Und Morgen wird die Sonne wieder scheinen,
und auf dem Wege, den ich gehen werde,
wird uns, die Glücklichen, sie wieder einen
inmitten dieser sonnenatmenden Erde...
Und zu dem Strand, den weiten, wogenblauen,
werden wir still und langsam niedersteigen.
Stumm werden wir uns in die Augen schauen,
und auf uns sinkt des Glückes stummes
Schweigen...

明日太陽のもとで輝く二人は、再び一つになるだろう。という内容の詩で希望に満ちた明るいものだが、この詩にシュトラウスは儚さや切なさを感じてとても繊細な歌曲へと仕上げた。
そのためこの歌曲に関して、ジェラド・ムーアというイギリス人ピアニストは自身の著で「『壊れものにつき、取扱い注意』のラベルを貼るべき」と述べているほど。

ちなみにここでの「Morgen」は 明日、明日の朝、という意味

19世紀ロマン派時代の音楽の解釈に定評のある、ジョイス・ディ・ドナートの歌声で。


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