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フィンランドで愛される音楽家、オスカル・メリカントを知っている? のための日#31

今日にぴったりな、今日の音楽を紹介

オスカル・メリカント(1868-1924)/  牧歌

秋がやってきた、急に。肌に当たる風がこのあいだとは全く違う。ひんやりとした秋の風。おいしい季節がやってくるね。
最近、過去の楽譜を整理していたら、メリカントのピアノ曲集をみつけた。
メリカント、きっとピアノをやっている人じゃないと知らないかもしれないけれど、とってもいい曲がたくさんある。懐かしい気持ちになる、穏やかな曲たち。


フィンランドで愛される音楽家、オスカル・メリカントを知っている?

オスカル・メリカントは、そう、フィンランドが生んだ大作曲家シベリウスよりも少し先輩にあたる音楽家である。シベリウスは世界中で知られる作曲家だが、オスカルの知名度はそこまで高くない。
わたしは、なぜだろう?と思う。
そのくらいに彼の音楽は、すんなりと馴染んでくる自然さと、素朴な美しさとがある。それでいて、安易に想像できるような(いい意味で)旋律の滑らかさ.....!とてもとてもロマンチック。彼もやはりシベリウスのように、まだロシア帝国の支配下に置かれていた国で育ったので、国民意識あふれる想いが曲に映し出されている。そんなふうに思う。
とりわけ彼の作品でわたしが好きなところは、右手の和声進行である。単純なのに、なぜか引き込まれしまう魅力がある。同時期のロマン主義作品には無いような、そんな組み合わせが多いと思う。フランスやドイツなんかではきっと生まれないであろう、そういう音の重なり、音の響き。

今回紹介している『牧歌』も、単純な左手の伴奏のうえに右手の旋律が乗っかっているだけなのに、何故かすごく聞き惚れてしまう。短い曲の中で情熱的に盛り上がる部分もあり、コンパクトでありながらさまざまな感情を映し出している作品である。

ちなみにメリカントの作品は、聴いていているだけでももちろん感情が揺さぶられるけれど、実際に弾いてみるとさらにその良さが身にしみて感じ取れると思う、不思議な効果をもたらす作曲家。あくまでも個人的な主張だけれど、そんなに難しく無いので試しに弾いてみて欲しい。



実は彼の息子アーッレ・メリカントも作曲家で、シベリウスに憧れていたらしい。けれども彼が作曲家を目指した時期にちょうど独立を果たしたフィンランドをみて、彼は国民的音楽よりももっと前衛的な音楽を作ることに専念し始めたそう。
そのため、お父さんとは全く違う作風である。おもしろい。


こちらはシベリウスの代表作のひとつを紹介した時の記事。


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