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【読書記録#8】 若き数学者のアメリカ 藤原正彦 著

<2023年5月16日にインスタに投稿したものをシェアしています>


70年代初頭にミシガン大学の研究員として招かれ渡米し、その後コロラド大学の助教授に推薦され、2年ほど教鞭に立った当時青年数学者であった藤原正彦先生のアメリカ滞在記。

藤原先生は、想像以上に子供好きで、子供のお友達もたくさん出来たり、ビーチで出会った若い女性と仲良くなって、その彼女のお婆様のご自宅に数日ホームステイや、ひょんなことからマリファナパーティーに参加、そしてまさかのストリーキング体験など、かなりぶっ飛んだ体験をされたりして、読んでいてドキドキした。

また、アメリカ人学生と日本人学生の違いや、ベトナム戦争から帰ってきた元兵士の学生の様子が印象的だった。

アメリカ人というのはいつも自信に満ちているイメージであったが、意外にもその当時のアメリカ人は自信を失っていたということ。その理由に、60年代の反戦闘争を通して、結局、世の中は自分たちの手の届かない所で自分たちの意志とは無関係に決定され、なるようにしかならないことを知ったことからくる挫折感と無力感や、ベトナム戦争の敗戦を例に挙げられていて、なるほどと思った。

また、彼らは「故郷を自らの意志で捨てた人々」の集まりであり、アメリカ人の国民性などあってないようなものであること。実際にアメリカ人自身が「自分はアメリカ人らしくない」とほぼ例外なく言うということや、彼らの根底にある価値観を知ることができた。

「自分の日本性を除去することでアメリカに溶け込もうとすると失敗する。それは日本性を失っただけの無国籍人間でしかない。日本人らしさ、考え方を維持し表現できること、それがアメリカ社会の一員となる近道である。」という部分は、アメリカで暮らす日本人は元より、海外で暮らす日本人にも自信を与えてくれる。

同性婚の許可を申請するも却下されなかった話や男女差別及び、基本的人権の侵害だとキレた男の一人が牝馬を連れて市役所にやってきて、「この馬と結婚したい。同性ではない」と言い張って譲なかったが、馬が16歳以下であったことから「親の承諾書を持って来ない限り許可できない」と言って追い返した話など、同性婚はまだしも、動物と結婚したがる人のような「行き過ぎたLGBTQ問題」は、この時から既ににあったのかと驚いた。このような行き過ぎた多様性は、国家の崩壊につながることを本書でも感じた。

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