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雪よもぎ
2023年2月26日 00:08
心の中で、しゃがんで水を見ている。真っ暗で、深くて、底の見えない海。遠くで祭りの賑やかな音が聞こえている。楽しげな笑い声が響いてくる。夜の街は提灯がいくつも並んで、昼間のように明るい。そんな景色に背を向けて、水を見ている。この暗闇の先に行きたいと、手を伸ばして水面に触れる。冷たくて、同時に怖くて、手を引っ込める。けれどまた、その水面に手を伸ばす。その繰り返し。誰かに呼び
2022年4月14日 02:06
懐かしい音に足を止めた胸の底に落ちる雨音「君の側に」と手を伸ばして無垢の花を手折る雷鳴折れた茎から始まるの今、生まれ変わりの咆哮が彩る祝福の宴呼び覚まして あなたの横顔を追いかけた日々が叩きつけて 私の心臓を震わせた指が刻んだリズムは この夜に降り注ぐ手放した涙をほどくように新しい杖で円を描いた腹の底で溜まる騒音「君のように」と目を逸らして冬の雲を払う黎明
2021年9月19日 07:08
深く 深く 沈んでいくこのまま いっそ 眠れたなら消える 消える 泡となり明日は きっと 来ないまま記憶の底で鳴り響くのは水の音 森の木漏れ日 揺らめく朝傷ついた言葉を寄せ集めれば秘密の箱を開く鍵となる流れるような筆跡はこの余白を彩るのだろう脆く 脆く 壊れていくいまさら そっと 許せたならそよぐ そよぐ 風となりけして なにも 残らない水面